<新作レビュー>『truth~姦しき弔いの果て~』3人の女優たちがコロナ禍にめげず作り上げた、女たちのバトル&愛の映画
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■増當竜也連載「ニューシネマ・アナリティクス」SHORT
本作はコロナ禍で活動の場を大きく阻害されてしまった広山詞葉、福宮あやの、河野知美の3人の女優たちが「文化芸術活動の継続支援事業」助成金(700万円)を得てプロデュースした、不自由な今の時代ならではというか、だからこそ作り上げる必要性のあった自主映画作品です。
原案・監督は堤幸彦で、これが50本目の監督作品ですが、その記念作として初めて自主映画に取り組んだことも特筆しておくべきでしょう。
テレビ、映画を問わず数々のヒット作で知られ、つい先ごろも『ARASHI Anniversary Tour 5×20 FILM“Record of Memories”』が話題を集めたばかりの堤監督ですが、そのキャリアの合間には『チャイニーズ・ディナー』(01)『2LDK』(03)などダーク・テイストの作品も多く手掛けており、特に最近は『人魚の眠る家』(18)『十二人の死にたい子どもたち』(19)『望み』(20)など闇の描出から人間を描いたものが増えてきている感もあります。
その中で今回は女3人の壮絶バトルという点で、ふたりの女のバトルを描いた『2LDK』に連なるものもありますが、今回は撮影期間2日、1セットで舞台的な演出も多々成されるという実験的要素も強く、その意味ではまさにメジャーでは表現できない自主映画という特質を上手く活かした作りになっているともいえるでしょう。
死んだ恋人(佐藤二朗/ここではジェームズ・ディーンにそっくりという設定!)をめぐる「本命は誰か?」といった残された3人の恋人たちの激しい確執は、やがて思わぬ「愛の継承」的方向へ至ることになりますが、そこへ導いていくさまざまなHな台詞の応酬が実にパンチが効いていて、実際はそういったシーンは皆無なのにエロティックな情緒を大いに喚起させてくれています。
と同時に、そこから3人の女それぞれ異なる愛情の発露が見事に描出されているあたりもあっぱれといった印象。
タイトル『truth』&サブタイトル『姦(かしま)しき弔いの果て』の意味も、最後まで見終えることで理解できることでしょう。
この不自由な時代にへこむことなく創作意欲を増幅&実践していった3人の女優たち、そして作品の規模など問うことなく映画作家として撮りたいものを撮り得た堤監督のコラボレーションは大成功なのでした!
(文:増當竜也)
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