2021年12月30日

<新作レビュー>『ヴォイス・オブ・ラブ』セリーヌ・ディオンの成功は、周囲の愛に支えられてのものだった!

<新作レビュー>『ヴォイス・オブ・ラブ』セリーヌ・ディオンの成功は、周囲の愛に支えられてのものだった!



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■増當竜也連載「ニューシネマ・アナリティクス」SHORT


アルバムの総売り上げが2億5000万枚を超えるという世界的歌姫セリーヌ・ディオンの半生をフィクションも交えながら描いた音楽伝記映画。

フランスでテレビ・舞台・映画と活躍を続ける国民的エンタテイナーのヴァレリー・ルメルシエが監督・脚本・主演の3役を務めるという意気込みで、セリーヌの膨大な過去資料を調べ上げた上で制作に臨んだとのこと。

ヒロインの役名がセリーヌ・ディオンではなくアリーヌ・デューとなっていますが、これは「世界にひとりしかいない大スターに敬意を表するため」とのことでもありました。



《オール・バイ・セルフ》《アイム・アライヴ》など彼女の楽曲をはじめ(もちろん映画『タイタニック』のあの主題歌も!)、様々な名曲が全編に流れるのもお楽しみで、特にライヴ・シーンは圧巻です(ヴォーカルはヴィクトリア・シオが担当)。

伝記的な面では、何といっても14人兄弟の大家族の末っ子として生まれたという、それだけで『サウンド・オブ・ミュージック』以上の環境だった!?

また彼女は12歳で歌手デビューを果たしていますが、発掘したプロデューサーであるギィ(シルヴァン・マルセル)と26歳の年の差を乗り越えて結婚に至るというのも、何やら劇的ではあります。



ただし全体的には人生の波瀾万丈をことさら強調するのではなく、生来の彼女自身の信念の強さに加えて、時折不安や孤独にさいなまれたときの周囲の「愛」の力あってこその成功と栄光が成されたのだといったテイストがさりげなく強調されています(特にお母さんが良い味出していてナイス)。

そういった温かな多幸感によって、見ているこちら側も気持ちよくサクセス・ストーリーに身を委ねることが出来るのが、本作の最大の妙味といえるでしょう。

その歌声そのものが世界中のファンを魅了し、幸せにし続けるセリーヌ・ディオンさながら、映画もまた彼女と周囲の人々の「愛」をもって観客を幸せな気分にしてくれる……。

映画を見終えて真冬の外に出ても、心はどこかしらポカポカしていて心地よい、そんな映画です。

(文:増當竜也)

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