表現者・庵野秀明「5つの人物像」を考える<庵野秀明展 無事閉幕>
表現者・庵野秀明像1:作品に対する敬意が強い
先ほど説明した通り、庵野氏の過去・今・未来がわかる本展。
まず最初は「庵野秀明をつくったもの」のパートから始まります。
ここでは、『ウルトラマン』(1966)、『仮面ライダー』(1971)、『宇宙戦艦ヤマト』(1974)など庵野氏が少年時代に夢中になり、影響を受けたアニメ・特撮作品や漫画の立体造形物、原画など制作関連資料がずらりと展示されています。
その膨大な制作関連資料に多くの人が圧倒されるでしょう。
とくに、庵野氏と同世代で、1960〜70年代の特撮を見て育った方にとっては宝の山と言っても過言ではありません。筆者と一緒に本展に訪れた父(1967年生まれ)も感動して目頭が熱くなっていました。
少年時代に触れた作品たちが庵野氏の心を揺さぶり、大きな影響を与えたのは間違いありません。
例えば、庵野氏が大阪芸術大学在学時に企画や総監督を務めたアマチュア特撮映画『DAICON FILM版 帰ってきたウルトラマン』(1983)では、原作の『ウルトラマン』シリーズに寄せて精巧なミニチュアセットを用意して撮影。衣装やカラータイマーまでこだわったうえに、ストーリーもハードに作りこまれ、アマチュア離れしたクオリティーだったと言います。
こうした作品を観て感じたのは、庵野氏は原作の『ウルトラマン』への敬意や、生み出すものへのこだわりがとにかく強いということ。
1カットごと細部まで手を抜かずに作りこんでいるため、1つの作品になった時に人々をあっと驚かせるようなクオリティの作品が出来上がります。
作品に対する敬意は、2022年5月13日に公開する映画『シン・ウルトラマン』でも如実に現れています。この作品では、『ウルトラマン』シリーズでウルトラマンをはじめとするキャラクターや怪獣、メカ、防衛隊のコスチュームや基地のセットをデザインした成田亨氏の意志を汲み取り、成田氏が描きたかったオリジナルの『ウルトラマン』を再現したそうです。
公式サイトでは『シン・ウルトラマン』への庵野氏の意気込みが綴られています。
庵野氏の作品に対する情熱や敬意が存分に伝わってきた庵野秀明展。
庵野氏がアマチュア時代に制作した映像の一部が観れるうえ、衣装や画コンテも飾ってあるので、訪れた際はぜひ近くで観てみてください。
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©️HIDEAKI ANNO EXHIBITION