『レイジング・ファイア』がすごすぎた! 私の“推しカンフーアクション鬼強い俳優”大紹介
ミシェル・ヨー
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香港映画で実績を積み上げ、『007 トゥモロー・ネバー・ダイ』のボンドガール役で世界的女優となったミシェル・ヨー。ハリウッド作品にも相次いで出演しているため『シャン・チー/テン・リングスの伝説』への起用は自然な流れであり、シャン・チーに武術指導する場面もしっかり盛り込まれていた点も素晴らしい。
トニー・レオンの経歴とは異なり、ミシェル・ヨーは香港時代からアクション作品への出演が多い。初期作では『レディ・ハード 香港大捜査線』や『ポリス・ストーリー3』などが有名で、主演作でありドニー・イェンとの共演作『詠春拳』や、アカデミー外国語映画賞を獲得した『グリーン・デスティニー』ではユエン・ウーピンから武術指導を受けている。
中でもウーピン監督作の『イップ・マン外伝 マスターZ』は、衰えを全く知らないミシェル・ヨーのカンフーファイトが鬼気迫るほど凄まじい。マックス・チャンを相手に徒手格闘から青龍刀戦へと移行するアクションは、目が釘づけになるほどキレッキレ。なおかつ息子に落とし前をつけさせるために取ったある行動の、躊躇を微塵も感じさせない勢いよ! 『クレイジー・リッチ!』などの非アクション作品でも存在感を放っているが、これからも変わらずキレのあるアクションもぜひ見せてほしい。
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チャン・ツィイー
(C)真:Everett Collection/アフロ
チャン・イーモウ監督作『初恋のきた道』で注目されたチャン・ツィイーが、次作の『グリーン・デスティニー』でまさかアクションに開眼しようとは誰も想像できなかったのではないだろうか。ユエン・ウーピンの手ほどきを受けた彼女はハリウッドへと渡り、『ラッシュアワー2』でもキレのあるアクションを披露。再びチャン・イーモウとタッグを組んだ『HERO』でも監督が求めるものに見事に応えた。ジェット・リー、トニー・レオン、マギー・チャン、そしてドニー・イェンと錚々たる共演者の中にあっても決してその存在が埋もれてしまうようなことはなかった。
三度チャン・イーモウに招かれた武侠映画『LOVERS』では、金城武、アンディ・ラウと共演。『HERO』に続くアクション監督チン・シウトンとのコンビネーションはさらに強固なものになり、『HERO』以上にふんだんなアクションシーンを見事に乗り切ってみせた。キレとともに体現されるアクションの“美しさ”の根源には、彼女が舞踊を学んでいたことも大きく起因しているのではないだろうか。
そんなチャン・ツィイーのフィルモグラフィにおいて、カンフーアクションの到達点とも呼べる作品が『グランド・マスター』だ。前半でトニー・レオンと手合わせをするシーンもさることながら、父親の仇を討つために対峙した馬三(マックス・チャン)とのファイトシーンは本作最大の見せ場。2人の対決は作品内で積み上げてきたドラマも包括しており、チャン・ツィイーが台湾のアカデミー賞と呼ばれる金馬奨最優秀主演女優賞を獲得したことも納得のクライマックスとなっている。
ジェット・リー
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長くなってしまったが、最後にリー・リンチェイことジェット・リーの名をどうしても挙げておきたい。現在こそ健康面を考慮してアクションからは距離を置いているが、ジャッキー・チェンに続いて香港カンフーアクションを支える礎として活躍したジェット・リーの功績は決して忘れ去られるものではない。カンフーの切れ味は鋭く、誇張でもなんでもなく“目にも止まらぬ速さ”とはまさにジェット・リーのアクションのこと。悪しき提督を演じたドニー・イェンとのバトルシーンが用意された『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ 天地大乱』は、筆者個人として今でも香港カンフーアクション映画の最高峰だと思っている。
ジェット・リーをおすすめしたい作品は数えきれず、ワンチャイシリーズなどの香港時代はもちろん『ロミオ・マスト・ダイ』や『キス・オブ・ザ・ドラゴン』、ジェット・リー対ジェット・リーが実現した『ザ・ワン』といった海外作品も良い。
夜に食べるお茶漬けのようにサラっと観つつでも、満足感の高い作品としては『ドラゴン・コップス 微笑捜査線』を。こちらはコメディ路線のアクション映画なので、香港ノワールやドラマ性の高い作品を浴び続けてへとへとになった精神を休めるには最適な1本。それでもコリン・チョウやウー・ジンら豪華ゲスト俳優とのバトルが盛り込まれ、ラスボスがチャウ・シンチー監督作『カンフーハッスル』などにも出演している香港アクションの重鎮ブルース・リャンという点も贅沢だ。
まとめ
まずは香港・中国産カンフーアクション映画の魅力を知ってもらうべく、入門編的な意味合いで話題作をざっとまとめてみた。往年のファンからは「あの作品がない!」「それよりもこれがおススメ!」と指摘されてしまいそうだが、まずは各俳優の代表作からでもいい。もちろん今回記事では紹介しきれなかったブルース・リーやジャッキー・チェン作品でもいい。カンフーアクション映画を浴びたその翌日は、きっと体がむやみやたらにきびきびと動く(動かしたくなる)はずだ。(文:葦見川和哉)
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