2022年01月27日

『バイオハザード:ウェルカム・トゥ・ラクーンシティ』原作の再現度がものすごかった「3つ」の理由

『バイオハザード:ウェルカム・トゥ・ラクーンシティ』原作の再現度がものすごかった「3つ」の理由


2:『1』と『2』の両方の要素を詰め込む大盤振る舞い

その予告編を観た時点で、個人的に疑問に思っていたことがある。それは「え?ゲームの『1』と『2』の両方を1本の映画でやるの?」と。その予感は的中していた。けっこうなボリュームがあったはずの『1』と『2』の要素を、わずか107分の映画の上映時間に詰め込んだ内容だったのだから。

メインプロットは『2』の再現であり、兄との再会を願う女性や新人警官がゾンビが出現する街で戦う様が描かれている。



それと同時進行で、警察チームが『1』の謎の洋館へと捜査に赴く様も追っており、その洋館の内装は(ややサイズは小さくも思えるが)忠実に再現され、その中で初めにゾンビに遭遇するシーンは見せ方が「ほぼそのまま」だったりもするのだ。



さらには映画ではやや不自然にも思える「謎解き」も忠実に再現され、2002年発売のリメイク版『1』の人気キャラも登場し、伝説的かつネタ的な言葉「かゆうま(かゆい うま)」も半ば無理やり提示されたりもする。



これらのゲームへの愛情とこだわりぶりは極限にまで達しており、そのおかげで物語が二の次……いや物語はゲームの再現のためだけに存在しているというレベルにまでなっている。おかげで「そこでそのキャラがそうするのはおかしくね?」「舞台の位置関係どうなってんの?」などのツッコミどころは無尽蔵、ゲームを全く知らない方にとってはその雑さが目に余ってしまうかもしれない。

それでも、新人警官の成長や兄妹愛など必要最低限のドラマはあるし、さまざまな伏線が複合的に積み重なっていく工夫もあるにはあるので、個人的には悪い印象はない。それよりも「ゲームの美味しい要素をたくさん再現してみたよ!」という作り手の無邪気さのほうがはるかに上回ったので、ずっとニヤニヤできたというわけなのだ。



ツッコミどころや無邪気なゲームの再現ぶりの大盤振る舞いは、後半ではもはやシュールなギャグの領域に達しており、クライマックスのとある「お約束」はもう完全に爆笑だった。原作ゲームファンにとっての『バイオハザード:ウェルカム・トゥ・ラクーンシティ』は、ホラー映画として怖いとか怖くないとか、もはやそういう次元ではないのである。実際にゲームとは関係のない悪意たっぷりのギャグシーンもあるので、コメディ映画だったと言っても過言ではない

そのコメディ要素に一役買っているのが、アヴァン・ジョーギア演じるレオン・S・ケネディである。原作におけるレオンの新人警官という設定が「ヘタレ」「イジられまくる」という要素をもって格段にパワーアップしており、その情けなさや愛らしさにはたまらないものがある。ゲームの『4』の皮肉混じりのジョークを言うクールなレオンとは似ても似つかないので賛否は分かれるかもしれないが、それも個人的には好きではある。他のクセの強い人気キャラの再現度もまた、ゲームファンには見逃せないポイントだろう。

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