「科捜研の女」第14話レビュー:移植手術で記憶が移る?超科学的な謎に立ち向かうマリコ(※ストーリーネタバレあり)
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沢口靖子主演の木曜ミステリー「科捜研の女 season21」が、2021年10月14日(木)より放送スタート。
画像分析やDNA鑑定などの科学技術を駆使し、難解な犯罪捜査に立ち向かう様を描いた本シリーズ。榊マリコ(沢口靖子)の活躍もさることながら、ともに捜査に精を出す刑事・土門薫(内藤剛志)の熱血ぶりも魅力だ。
本記事では、その第14話をcinemas PLUSのライターが紐解いていく。
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「科捜研の女 season21」第14話レビュー
死者の記憶が別の人に乗り移った?この不思議な話を科捜研に持ち込んだのは呂太(渡部秀)。近所に住む少年・賀茂井大翔(潤浩)の前に、他界した父の記憶を持つ男が現れたという。
なお、呂太は小学生の大翔にスケボーを教わっているらしい。日野(斉藤暁)たちは若干飽きれ気味だったが、基本誰に対してもタメ口視線で接するマイペースな彼らしさが伝わってくる。
科学で解明しきれていない記憶のメカニズムという点からこの話に興味を抱いたマリコ(沢口靖子)。早速大翔に会いにいく。
公園でマリコたちが見たのは、大翔に親しげに接する男性(橋本じゅん)。彼は「臓器提供意思表示カード」を所持していた大翔の父・賀茂井健治から腎臓を提供され、その際に記憶も一緒にもらったと話す。しかも「お父さんは殺されたんだ」と意味深な言葉を残してその場を去った。
一ヵ月前に階段から転落死したという賀茂井。彼は大学の准教授で、記憶を生物の細胞そのものに蓄えられるという学説「セルメモリー(細胞記憶)」を研究していた。
賀茂井の死は単なる事故ではないかも?と考えたマリコ。賀茂井の研究室を訪れて、研究員の高平理香子(柳美稀)や、研究に出資している企業の社員・児玉(石田剛太)らに話を聞く。
さらにマリコたちは大翔の母・恵美(遊井亮子)をたずねて賀茂井が事故当時着ていた服を提供してもらう。鑑定した結果、謎の第三者の指紋が見つかった。
翌日、新たな殺人事件が発生。児玉が遺体となって見つかったのだ。
児玉の解剖を担当した風丘(若村麻由美)に記憶の移植について話すマリコ。自分が病気で風丘から臓器をもらったとする……という彼女のたとえを聞いて、風丘が思い浮かべたのは「まいど!」とお菓子と解剖結果を携えてやってくるマリコ。なかなかさまにはなっていたが、当の風丘は「いやいやないないない……だめ!」と否定。自身のお株をとられるのは不本意らしい。
その後、賀茂井の服に付いていた謎の指紋が児玉のものと判明。児玉が賀茂井を殺害し、賀茂井の記憶を持つあの男が復讐のために彼を殺したのでは?という記憶の移植ありきの仮説が浮かび上がる。
もう一度大翔にあの男の話を聞こうと公園に行くマリコ。しかし、そこへ恵美もやってくる。塾をさぼってスケボーに熱中する息子をしかりつけ、夫についても「知らない誰かに臓器は残しても、私たちには何も残してくれなかった」と悲痛な言葉を口にした。
そんな中、謎の男の正体がようやくわかる。彼の本名は笠城覚士。仮釈放中の前歴者だった。
記憶の件で笠城を問いただすマリコたち。そこで医者の風丘があることにひっかかる。
「移植医療において個人情報の管理は徹底されているから、レシピエント(移植を受けた人)がドナーを知るなど不可能なはず……」
気になった風丘が笠城のお腹を調べると、そこにあったのは盲腸の手術をした傷のみ。彼は嘘を付いていたのだ。笠城の服役理由は詐欺だった。
遺体を発見して賀茂井が所持していたお金を盗んだ笠城。その後、臓器提供のことや賀茂井の研究内容を知って、記憶が移った芝居を思いついたという。なんとも人騒がせな話だが、最初はお金になると思ったけれど、自分の息子と同じ名前を持つ大翔と話しているうちに何かしてあげたくなった……という彼。人間味があり憎めなかった。
事件当時、賀茂井を抱き起こしていた笠城。犯人につながる証拠があるのでは……とマリコたちは彼の所持品を鑑定する。
結果、笠城のブルゾンからゴム手袋とネイルオイルの成分が検出。賀茂井と児玉を殺したのはネイルオイルを使っていた人物=高平理香子だった。彼女は児玉と一緒に研究費を着服しており、賀茂井がそれに気づいたので突き落として殺害。その後、殺した現場を見ていた児玉が脅迫してきたため、彼のことも刺し殺してしまったのだ。
事件解決後、笠城は大翔と恵美に会いにいき、賀茂井が持っていたスケボー大会のチケットを二人に返した。大翔と恵美が仲直りできるよう家族で試合を見に行こうとしていた賀茂井。それを知った恵美はスケボーに真剣な息子の気持ちをようやく理解。記憶の移植は嘘だったが、別の形で笠城は家族を思う父親の記憶を届けることができたのだった。
記憶が細胞を通して受け継がれる?という超科学的な謎を前にしても、終始科学者らしい姿勢を崩さなかったマリコ。「どんなに突拍子もない仮説でも、ありえないと科学が証明しない限り可能性を排除することはできない」という言葉が非常にかっこよかった。医療従事者の視点から嘘を見破った風丘や「その手の超常現象を信じない。ただ、刑事は疑うのが商売だ」と言っていた土門(内藤剛志)もしかり。自身の領域から事件に立ち向かう明快なプロフェッショナルたちが、本作にはいつでも存在している。
(文:田下愛)
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