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2022年04月18日

「鎌倉殿の13人」第15話レビュー:非情、頼朝。強さとは、力か恐怖か。(※ストーリーネタバレあり)

「鎌倉殿の13人」第15話レビュー:非情、頼朝。強さとは、力か恐怖か。(※ストーリーネタバレあり)


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2022年のNHK大河ドラマは「鎌倉殿の13人」。三谷幸喜 脚本×小栗旬 主演で描く北条義時の物語。三谷幸喜曰く「吾妻鏡」を原作としており、そこに記されきれていない部分を想像と創作で補い、唯一無二のエンターテイメント大作に仕上げているという。

本記事では、第15話をcinemas PLUSのドラマライターが紐解いていく。

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「鎌倉殿の13人」第15話レビュー



水を得た魚ならぬ、戦を得た義経から始まった第15話。
が、本日の舞台は鎌倉である。

失敗する謀反

頼朝(大泉洋)に反旗を翻す御家人たち。が、頼朝たちには大方の情報は入ってきている。梶原景時(中村獅童)は内通者であるし、御家人たちを引っ張る上総広常(佐藤浩市)は義時(小栗旬)と通じている。
そもそも、御家人たちは一枚岩ではない。三浦義村(山本耕史)や畠山重忠(中川大志)らは頼朝に思うところはあるにせよ、源氏との対立をよくは思っていない。

そんな中、謀反決行の日がやってくる。鶴岡八幡宮で頼朝の長男・万寿の500日目の足固めの儀式の日だ。そもそも500日目の儀式も御家人方である文覚(市川猿之助)がでっちあげたこと。万寿を人質にして頼朝を追い出そうという企てだ。子どもを大事にしない大人に未来はないと思うが。

計画が丸裸にされている状態、さらに団結しているわけでもない御家人。上手く行くはずがない。広常の要所要所での誘導、重忠の機転。さらに、御家人たちが祭り上げようとしていた義高(市川染五郎)が体を張って万寿たちを守ろうとした。更に、義時の説得。
謀反は多くの血を流さずに鎮圧されることとなった。

上総之介、逝く


義時と通じながら、御家人たちをコントロールした広常。頼朝は広常を呼び、酒を酌み交わす。
「御家人が騒ぎ出したら俺がまたなんとかするよ」そう言う広常に頼朝が姿勢を正す。

「上総之介、そなたがいるから今の儂がおる」

頼朝の言葉に広常は照れくさそうな、でも嬉しそうな笑みを浮かべる。
よし、今日はもうここで終わろう、解散だ!

……が、当然終わらない。
丸く収めたとは言え、謀反を起こした御家人たちをそのままにしておくわけにはいかない。「謀反を起こしてもお咎めはない」「ならば言いたいことがあるときは実力行使」となりかねない。
そこで持ち上がったのは御家人の中からひとり、見せしめとして殺すこと。
もちろん、義時は納得しない。
さらに名前が挙がったのが広常となれば……。

実のところ、頼朝の狙いは最初から広常の命だったのだ。頼りになる男はそばにいれば心強い。しかし、敵になれば?
おまけに、さりげなく策を思いついたのは大江広元(栗原英雄)ということにしようとしていたのも、シンプルに嫌である。
猛反対する義時にそれなら処刑してもいい御家人をひとり挙げろという頼朝。義時にそんなことができるはずがない。

更に、その制裁を御家人たちに捕えられていた梶原景時に任せる。御家人たちと通じていなかったと証明するために、だ。
誰も、広常が殺されることを望んでいない。しかし、自分の命も大事だ。なんとも嫌な世界である。

頼朝にあるのは力か、恐怖か


広常を殺し、自分の力を見せつけた頼朝。自分に逆らう者は何人たりとも許さない。広常に駆け寄ろうとした義時に向かって「来ればお前も切る」と頼朝は言い放った。
15話のタイトルは「足固めの義」。頼朝の足固めの儀式だったというわけだ。

力を誇示したと同時に、人望と視聴者からの支持を失った。
驚きと失望、戸惑いの表情を浮かべた広常。純粋な広常は頼朝を信じていた。しかし、死の直前、全てを悟る。そして義時に微笑みかけて絶命する。

広常の鎧に隠されていたのは子どものような字で書いた文。頼朝……鎌倉殿のために何をすればいいかを書いていた。床に這いつくばり文字を一生懸命に書く広常の姿は真っすぐで胸を打つ。頼朝を支え、頼朝が京に上る姿を信じていたのだ。そんな広常の文字を「読めん!」と義時に投げ出す。そういうところである。
きっと、頼朝は誰も信頼できないのだろう、と思う。だから、自分を信頼してくれている人を危険だからと殺せる。それが彼の人生の行く末を想像させて如何ともしがたい気持ちになる。

政子、義時の成長


鎮圧のあと、政子は御家人たちに向かって「頼朝に言えないことは自分に言うように」と言う。少しずつ、御台所としてだけではなく、頼朝を支える者としての存在感を増していく。

一方、義時も真っすぐなままだけじゃいられなくなっていく。広常の死は義時にとって大きなターニングポイントのひとつとなりそうだ。
義村も義時に向かって「頼朝に似てきた」と言う。トップに立つ者は孤独で、残酷だ。しかし、それではいざというときに自分の元に残ってくれる人はいなくなる。義時はその部分をどう補っていくのか。
そして、八重が産んでくれた自分の子を抱いたときにどのような気持ちを抱いたのだろう。

頼朝も辛い立場ではあるかもしれない。というのが分かるが、今宵ばかりは全部頼朝のせいだ、と言いたい。



(文:ふくだりょうこ)


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