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2022年04月21日

<解説&考察>「ムーンナイト」第4話:脚本家、ついに暴走を始める。

<解説&考察>「ムーンナイト」第4話:脚本家、ついに暴走を始める。

第4話のラストは一体?



今回のクライマックスには、驚きのあまり、理解が追い付かない視聴者の方も多かったのではないか。

強敵・アーサーの襲撃に倒れた主人公は、瀕死の状態で深い水の底へ。

しかし、その後の場面で彼は精神病棟と思しき場所で目覚め、これまでの物語は全て彼の妄想だったことが明らかになった。

彼が大好きだという映画『トゥーム・バスター』(架空の映画ではあるが、そのヴィジュアルには『インディ・ジョーンズ』シリーズを、タイトルには『トゥームレイダー』シリーズを彷彿とさせられる)に自分を投影し、物語を創造していたというのだ。

この展開に関しては、原作のムーンナイトが精神病を患ったキャラクターだったということ、過去に製作者の1人が「本作が“メンタルヘルス”という題材に向き合っていた内容である」と言及していたことなどからも素直に受け入れるべき展開なのであろう。

また、今回のエピソードを担当した脚本家の1人・ピーター・キャメロンは、過去のマーベルドラマ「ワンダヴィジョン」でも脚本を執筆していた。

こちらの作品では、冒頭数話の展開が主人公・ワンダの作り出す虚構の世界だということが中盤で明かされる内容となっていた。

物語を読み解く、もうひとつのマーベルドラマ



一方、この超展開にMCUのファンは「ワンダヴィジョン」を思い出したであろうが、熱心なマーベル作品のファンは、X-MENのスピンオフドラマシリーズ「レギオン」を思い出しただろう。

本作はX-MEN初の公式TVシリーズでありながら、『ファーゴ』のノア・ホーリーが原案と脚本を手掛けた独創的な内容で批評家からも高い評価を受けた一作。

統合失調症に悩まされ、精神病院に通う主人公のドラマを彼の妄想と現実を織り交ぜながら、進んでいく展開はまさしく「ムーンナイト」にも通ずるもの。

ホラーテイストで大人向けな描写が多い点も共通しており、本作を観ておくと、今後の「ムーンナイト」の展開により理解が深まるかもしれない。

>>>ディズニープラスで「レギオン」を観る

今後の展開を大胆予想!!



さて、今回の衝撃のラストを踏まえ、今後の「ムーンナイト」はどうなっていくのか。

筆者が考えうる展開は3つだ。

1:妄想の世界に立ち向かい、現実を克服する
2:実は精神病棟の世界が妄想である
3:マルチバースへと繋がる


(C) 2002 Warner Bros. All Rights Reserved. (C) 2002 Village Roadshow Films (BVI) Limited.

1は、いわゆる映画『マトリックス』に通ずる展開ともいえる。

『マトリックス』シリーズでは、主人公が生きていた世界が、実はコンピュータによって作られた仮想現実であることが第1作で判明する。

シリーズを重ねた末、主人公は最終的に再び仮想現実の世界に戻り、宿敵・スミスと戦うことになるのだ。



「自らを救わぬものは救えない」

これは本作の悪役とされるアーサーが幾度か口にした言葉だ。

このセリフが強調されていることからも、主人公が再びこれまでの世界に戻り、悪に打ち勝つことで自分を克服するという展開はありうるのかもしれない。

2は、さらなるどんでん返し展開が起こるという可能性だ。

これまでにも述べた通り、「ムーンナイト」が精神病患者であるという設定は原作ファンにとっては、自明の事実である。

また、主人公の妄想を描いたドラマは、過去のマーベル作品でも「レギオン」と「ワンダヴィジョン」がすでに扱っていることから、ここから、さらにひっくり返すという展開もあり得る。



悪役・アーサーの能力が詳しく明らかになっていないという点から、彼が主人公に見せている妄想の世界という場合もあり得るのだ。

3に関しては、今回のメタ構造を認めたうえで、さらに残された謎から予想される展開だ。

本エピソードのラストでは、マークと呼ばれている主人公とスティーヴンが遭遇する。


(C)2021 Marvel

全く同じ顔で姿かたちが同じ人物というと、双子やクローンというパターンもあるが、近年のマーベル作品の展開を考えると“変異体”である可能性も否めないではないか。

変異体とは、ドラマ「ロキ」で提示された設定である。

異なる宇宙が存在し、さまざまな世界が存在する"マルチバース"というMCUの設定では、同一人物が複数人いると考えられる。

「ロキ」では、主人公・ロキの前に女性・ワニ・子供の姿をした別世界のロキが登場していたが、今回のラストで遭遇した主人公とマークは、別世界の同一人物という可能性もあるのだ。



「ロキ」、『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』、さらに、5/4に公開を控える『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』と、マルチバースの要素が強まっていくマーベル作品。

果たして、本作の超展開の真相はいかに。

ここまで、1週間が待ち遠しいことはないかもしれない……。

(文:大矢哲紀)

>>>Disney+ (ディズニープラス)

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