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2022年05月30日

「鎌倉殿の13人」第21話、愛し、愛された八重の最期

「鎌倉殿の13人」第21話、愛し、愛された八重の最期


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2022年のNHK大河ドラマは「鎌倉殿の13人」。三谷幸喜 脚本×小栗旬 主演で描く北条義時の物語。三谷幸喜曰く「吾妻鏡」を原作としており、そこに記されきれていない部分を想像と創作で補い、唯一無二のエンターテイメント大作に仕上げているという。

本記事では、第21話をcinemas PLUSのドラマライターが紐解いていく。

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「鎌倉殿の13人」第21話レビュー

気が重いが目が離せない。そんな回が続く。

ようやく幸せを得た八重


全国から兵を集め、奥州へと攻め入った源頼朝(大泉洋)。頼朝は泰衡を討ち、奥州藤原氏を滅ぼした。

源氏の世まであと少し。戦は終わりを告げ、ここからはまた別の意味で頼朝の手腕が試されることになる。

ホッと息が抜ける時間。その中で、義経(菅田将暉)の死を悼む御家人たちも多かった。苛烈な戦の天才。手を焼くことも多かったが、その才能はやはり人の心を惹きつけていた(だからこそ、現代にも義経が語り継がれるのだろうが)。
一方で、梶原景時(中村獅童)が頼朝に義経の告げ口をしなければ、と言う者もいる。景時と義経のやりとりをこれまで観てきた視聴者としては複雑なところである。

 
戦が続いていた中で、今回は少しばかり家族が集う時間が多く持たれていた。頼朝と北条家の家族が集うシーンも。
義時(小栗旬)の隣にいる八重(新垣結衣)を見て、政子(小池栄子)は幸せそうだという。ツヤツヤしていると。それはほかならぬ義時の力だろう。孤児を引き受け、共に暮らしていることも八重の生きがいとなっていることもあるかもしれない。



が、そんな八重を見て昔話をし出す頼朝。2人が恋仲だったころの話だ。
自分の妻と、相手の夫の前で。寝言は寝てから言ってくれ、という感じなのだが、気にせずペラペラと口が止まらない頼朝。
しかし、さすが政子、「わざと言っているのなら人が悪いし、わざとでないなら気遣いがなさすぎます」とピシャリ。どちらにしろ気分が悪いという話だ。

が、女性たちがいない場は、頼朝は「金剛は自分に似ている。自分の子の万寿よりも似ているかもしれない」などと言い出す。だから寝言は寝てから言ってほしい。それとも実は寝ているのだろうか。

義時はわかっていても不安になったのだろう。頼朝のその言葉を八重に聞かせる。
しかし、八重はきっぱりとその不安を打ち消した。
自分が選んだのは義時なのだと言い切る。頼朝に恋焦がれていたころの自分はどうかしていたのだと。
八重がどれだけ今、義時を愛しているのか。義時が足繁く八重のもとに通っていたころを思い出すと胸が締め付けられる。

義時の最愛の人、逝く


周りから見ても幸せそうな八重。そして義時の妻としても立派に勤めを果たしていた。

あるとき、八重は子どもたちを川で遊ばせていた。三浦義村(山本耕史)も一緒だ。義村が席を外したとき、子どもたちから声が上がる。新しく八重のもとにきた鶴丸という少年が川の真ん中で岩にしがみついて泣いていた。

八重の頭に過ったのは息子・千鶴丸だった。頼朝の子であったがために、川で溺死させられた千鶴丸。八重は無我夢中で鶴丸を助けに川に入る。鶴丸を助けた八重は、戻ってきた義村に鶴丸を託した。ホッとした様子の八重。しかし、少しして金剛が声を上げる。

「母上?」

八重の姿がどこにもなかったのだ。

懸命の捜索もむなしく、八重は還らぬ人となった。
義村、その筋肉があれば、鶴丸だけではなく八重も抱えて川に上がれなかったのか。
そんなふうに責めてしまいたくなるが、きっと義村は表情に出さずとも悔いているはずだ。

八重は幼い息子を奪われ、家族をみな失った。そんな八重を心から愛し、支えた義時と結ばれ、幸せを得た。そして、殺されてしまった自分の息子への想いを少しでも晴らすように親を失った子たちを愛した。八重の人生は悲しいばかりではなかったのだ。

しかし、遺された金剛はどうだろう。母は自分を愛してくれているのかと不安になり、母を求めた。その矢先に、他の子どもを守るために亡くなった母。その経験が金剛、のちの「北条頼時」にどのような影響を与えるのだろうか。

そして何より心配なのは義時である。この時、義時は伊豆にいた。奈良から招いた運慶という仏師が作った阿弥陀如来像を前に、酒をたしなんでいた義時。

阿弥陀如来像を見つめながら、運慶に向かって「ふと妻の顔を思い出してしまいました」と言う。きっとこの時、義時は八重に会いたいと思っていたのだろう。もしかしたら、実際に八重は義時に会いに来ていたかもしれない。

八重は最期の時、誰を想ったのだろう。幼くして亡くなった息子か、金剛か、それとも、自分を愛し続けてくれた夫か。

(文:ふくだりょうこ)


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