続・朝ドライフ

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2022年06月17日

「ちむどんどん」第50回:歌子(上白石萌歌)は嘘のように元気になってパンダを見に行く

「ちむどんどん」第50回:歌子(上白石萌歌)は嘘のように元気になってパンダを見に行く



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2022年4月11日より放映スタートしたNHK朝ドラ「ちむどんどん」。

沖縄の本土復帰50年に合わせて放映される本作は、復帰前の沖縄を舞台に、沖縄料理に夢をかける主人公と支え合う兄妹たちの絆を描くストーリー。「やんばる地域」で生まれ育ち、ふるさとの「食」に自分らしい生き方を見出していくヒロイン・比嘉暢子を黒島結菜が演じる。

本記事では、その第50回をライター・木俣冬が紐解いていく。

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暢子、ストーブ前をゲット


「偉い人にならなくてもいい。お金が稼げなくても 夢がかなえられなくてもいい。 ただ幸せになることを諦めないて生きてくれればそれだけでお母ちゃんは幸せだから」(優子)

検査したものの病名がわからず、歌子(上白石萌歌)はどうせ死ぬと自暴自棄になってしまいました。

原因がわかれば治療することができますが不明ではどうしようもありません。せっかく勇気を出して検査したのに解決策が見つからない。歌子の落胆もわかります。

ただここで歌子の病気は多分に精神的なものという線が濃厚になってきました。

優子(仲間由紀恵)が歌子を涙ながらに励まし(上記のセリフ)、暢子(黒島結菜)
歌子の好きなイカスミジューシーを作り、ふたりの愛情によって歌子は「生きててよかった」と元気になり、暢子とフランス料理を食べに行き、上野動物園にパンダも観に行き、銀座の横断歩道を走って渡るほど元気になります。

比嘉家の伝家の宝刀・掌返し。心配していた問題を華麗にひっくり返します。たぶん、これが幸せになる秘訣です。自分の思う通りに生きればいいのです。

暢子はイカスミジューシーをヒントにイカスミパスタをフォンターナのメニューに提案、みごと、ストーブ前を任せてもらうことになりました。

二ツ橋(高嶋政伸 たかははしごだか)も見た目は黒くて良くないが味に深みのあるイカスミパスタに感銘を受けて、心変わり。実家に戻るのをやめてフォンターナに残ることにします。一件落着です。

優子は房子(原田美枝子)に挨拶に来て(やっとふたりが出会いました)、房子と賢三(大森南朋)の過去を知ります。さらに房子が暢子に愛情を感じていることも……。

房子がじょじょに暢子に心を開いていってることは原田美枝子さんの演技でわかっていたのでここで一気に告白しても唐突感はありませんでした。優子はそれを聞いてもそれ以上は深堀りしません。微笑み今後とも宜しくお願いしますとだけ言います。

房子が愛情を注いだ賢三が沖縄で優子と結婚することを選んだ。ふたりの子供・暢子が
今度は房子の元に来た。房子と優子の間には複雑な関係はありますが、そこに多くの言葉は要らない。そこがかっこいいと感じました。

男同士の場面に、言葉の少ないものがよくありますが、女同士でそれを描いたところに注目したいです。

優子が、どうしようもないことがあっても幸せになることを諦めず生きていかないといけないと歌子を諭したとき、どれほど辛いことがあっても決して弱音をはかず生きてきたことの切実さが仲間由紀恵さんの演技で伝わってきました。

房子も優子も重いものを背負ってひたすら山を登るように生きているのですね。

涙をぬぐって「あーお腹すいた」という黒島さんの懸命にケロッと見せる演技も良かったし、歌子がイカスミジューシーをまず食べるのを見守ろうとする和彦(宮沢氷魚)
あたたかさを感じました。
また、フォンターナの従業員がイカスミを食べて歯が黒くなっているのを笑い合っているのも微笑ましかったです。

ただひとり、ストーブ前から外された矢作(井之脇海)がこのまま暢子の料理を食べて「うまい」と反応する役割ばかりなのか気になります。井之脇海さんがキャスティングされているのですからそれだけじゃないですよねきっと。


(文:木俣冬)

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