(C)バード・スタジオ/集英社 (C)「2022ドラゴンボール超」製作委員会
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映画コラム

REGULAR

2022年06月14日

『ドラゴンボール超 スーパーヒーロー』史上最高のピッコロさんが爆誕した「7つ」の理由

『ドラゴンボール超 スーパーヒーロー』史上最高のピッコロさんが爆誕した「7つ」の理由


ここが好きだよピッコロさん 1:幼稚園のお迎えをなんだかんだで引き受ける

今回のピッコロさんは、悟飯の3歳の娘であるパンちゃんに戦い方を教えている。悟飯へのスパルタ教育というか虐待を超えて普通は死ぬ教え方をしていたあの頃のようなものではなく、愛情も節度もある教え方だった。それだけでもああ〜!好き〜!大好き〜!なのに、さらにピッコロさんはパンちゃんの幼稚園のお迎えを頼まれているのである。

ここでの注目ポイントは、母親であるビーデルに「今日の午後、空いてます?」と聞かれて、ピッコロさんが「ま、まあ…修行があるから、忙しいと言えば忙しいが…」と返していることである。明らかに、ここでピッコロさんはパンのお迎えを頼まれると気づいていて、ちょっと用事があることを匂わせつつも、「しょうがねえな」な感じで受けるつもりでいる。正しいツンデレの在り方であるし、もはや親切なおじさんを超えて家族の一員である。

ここが好きだよピッコロさん 2:ぬいぐるみをもらい続けていたのはなぜか?

この幼稚園のお迎えで付随するさらなるピッコロさんの萌えポイント、それはお迎えの対価として「ペネンコ」というぬいぐるみをずっと悟飯夫婦から貰い続けていたことである。今回は「なぜぬいぐるみ?」「いらん!いつ俺がそんなものを好きだと言った!?」とツッコミをしているが、裏を返せばここまでぬいぐるみがたくさん溜まるまで言い出せなかったということである。かわいいよピッコロさんピッコロさんかわいいよ。



その「なぜぬいぐるみ?」という疑問の答えは本編の中では語られなかったが、豪華版パンフにおける鳥山明の言葉で氷解した。ピッコロさんはパンちゃんからぬいぐるみをもらったことがあり、その時に気を遣って喜んだそぶりをしていたため、それを見た悟飯とビーデルにピッコロさんはぬいぐるみを好きだと勘違いされたそうなのだ。パンちゃんが大好きだからこそ、好きでもないぬいぐるみをもらって喜んであげるピッコロさんは本当にいい人だよ!

あと、ピッコロさんのスマホカバーもよくみると、このぬいぐるみと同じ「ペネンコ」である(スマホを指でつまんで離して会話をしているのはたぶんナメック星人の聴力が敏感だから)。このスマホカバーも、鳥山明によるとビーデルから強引にプレゼントされたものだそう。なんだかんだで使っているんだねピッコロさん!俺もピッコロさんに何かあげたいよ!

さらに、このシーン以外でもピッコロさんは、ブルマのしょうもない願いごとにもツッコミを入れているし、その後には「なんで気づかないんだよ!」的なボケボケな面も見せている。ピッコロさんとブルマの漫才も一生見ていられる気がする。

ここが好きだよピッコロさん 3:子どものお迎えよりも研究を優先する悟飯にマジギレした理由は…

前述した通り、今回のピッコロさんは「しょうがねえな」な感じでパンちゃんの幼稚園のお迎えを引き受けるが、父親の悟飯のところに先に行き「子どもの迎えにいけないくらい、研究が大事かって聞いているんだ!」とマジギレしている。

また、原作においてピッコロさんと同化することになる神様は、子どもの頃に両親が残した「あとでいくから待っててくれ」と書かれた手紙だけを頼りに、食べるものもろくにない場所で20年、いや30年も待ち続けていたという過去もあった。ピッコロさん(マジュニア)自身も、生まれた時にはすでに父と言えるピッコロ大魔王は死んでいて、悟空への復讐心も植え付けられていた。

何十年も親が迎えに来ないという辛い経験をした、または親の顔さえも知らないピッコロさんだからこそ、たかが仕事で幼稚園のお迎えに行かない悟飯には憤りを隠せなかったのだろう。もちろん、だからこそ、同じような辛い思いをさせないため、パンちゃんのお迎えに自分が行かなければならないという責任感も持っていたのだろう。そんなピッコロさんが愛おしくて仕方がないし、幸せになってほしいと心から思う。

ここが好きだよピッコロさん 4:悟飯に自分と同じ服を強制的に着させる

そんな風に悟飯にマジギレしたピッコロさんは、仕事中の悟飯に強制的に自分と同じ服を強制的に着させていて、悟飯に「この格好じゃあ仕事しにくいですよ〜」とまあまあウザがられていた。

思い返してみれば、原作でフリーザ星に向かう時に悟飯は、自主的にピッコロさんと同じ「おかあさんにないしょでつくった服」を着ていた。この時にクリリンは「おまえ、ほんとうにピッコロを尊敬してんだなあ…」と言い、悟飯は「はい!おとうさんとおなじくらい」と返していたのだが、今の悟飯は子どもの迎えよりも研究を優先してピッコロさんに任せるまでになりやがったのだ。

ここでピッコロさんが悟飯に自分と同じ服を着させたのは、俺へのリスペクトを忘れるんじゃねえ!ということだったのかもしれない。

ここが好きだよピッコロさん 5:変装した自分に気づかない悟飯にショックを受ける

その後にピッコロさんはレッドリボン軍の一兵士に変装する。周りに気づかれないよう、お腹を下すフリをして心配されたり、下っ端だからこそ敬語を使うピッコロさんもレアでかわいい

その後に変装したままで悟飯に会うシーンで、「俺に気づかないだと…!?パンでさえすぐに気づいたのに!」というピッコロさん、めちゃくちゃショックを受けていてかわいい。かわいいよ。もう辛抱たまらん。

あと、悟飯の家に来たときに、普通にインタホーンを鳴らしてもムダであることを告げ、仕事場の窓のところに来るピッコロさんもかわいい。今まで玄関から来ても無反応でイライラしていたであろうピッコロさんの苦労もよりわかった。

ここが好きだよピッコロさん 6:「ただのピッコロ」と主張する

今回のピッコロさんは「ピッコロ大魔王か」などと言われても、「今はただのピッコロだ」「いろいろと複雑なんだよ」と自分を称する。説明が面倒ということももちろんだが、ただピッコロという個人として認知されている存在なんだ、ということも主張していたのかもしれない。

ピッコロ大魔王の生まれ変わりであり、かつ神様と融合したりといった出自と関係なく、今のピッコロさんは悟飯夫婦にとってかけがえのない、家族の一員になっている。そして、3歳のパンちゃんからも心から慕われているのだから。「ただのピッコロ」でいいと、本人も思っているに違いない。

ここが好きだよピッコロさん 7:ありがとう...それしか言う言葉が見つからないクライマックス

もうこればっかりはネタバレになるので、詳細は言及しないでおこう。これまで原作でずっとピッコロさんと悟飯の関係を追ってきたファンが観たかった、とびっきりのご褒美が待っていたのだから。これが、ありがとう...それしか言う言葉が見つからないクライマックスでないなら、なんだというのか。


おまけ:ピッコロさんが赤ちゃんのパンちゃんへの愛を示す『超』43話も要チェック

この『ドラゴンボール超 スーパーヒーロー』でピッコロさんとパンちゃんの関係にメロメロになった方には、現在はAmazonプライムビデオやU-NEXTなどで見られる、テレビアニメシリーズ『ドラゴンボール超』の43話「悟空の気が制御不能!?パンのお世話で四苦八苦」をおすすめしたい。



こちらでは、ピッコロさんがパンちゃんが好きな離乳食を熟知していたり、他の人間には人見知りするが自分には懐いていることを誇らしげに語るなど、パンちゃんがめちゃくちゃ大好きなピッコロさんの姿を堪能できるからだ。そんなピッコロさんのことがめちゃくちゃ大好きだよ!

まとめ:ピッコロさんが新たな家族像も示してくれる

本作のピッコロさんは新しい時代の家族像を示しているとも取れないだろうか。それは細田守監督が『バケモノの子』で示した価値観にも近い。

【関連記事】『バケモノの子』細田守監督の“狙い”がわかる5つのこと【解説/考察】

『バケモノの子』の劇中には「親がダメ人間でも、彼と子どもを支えてくれる友人がいれば良いのかもしれない」という家族像がある。もちろん悟飯とビーデルは真っ当な親である(ただしおじいちゃんの悟空はよく父親失格となじられている)が、そうでなくとも現代社会の親は共働きが多いため、ピッコロさんのような「もしもの時に子どもの面倒を見てあげられる」存在はとても助けになると思うからだ。

また、そんなピッコロさんだって常に正しい保護者というわけでもない。中盤でパンちゃんに「あること」を協力させる様は、いくら彼女が超強いからと言って「ええっ…それはいいの?」と思う方もいるだろう。

だが、終盤でとある活躍を見せたクリリン(と人造人間18号)が「なあ、俺がいて良かっただろ?」と言うなど、ピッコロさん以外もパンちゃんを助ける様も描かれていたりする。誰か1人の親だけが正しいというわけではない。でも、実の親以外の誰かが、子どもをためにできることがあると、さりげなく示されているように思えるのだ。

もっと言えば、今回のピッコロさんは独身者に希望を与えてくれる存在でもあると思う。結婚しない人も増えてきた現代で、ピッコロさんのように独身者が、知り合い夫婦や親戚の子どもの面倒を見たりすれば、その夫婦の助けになるだけでなく、独身者本人にとっても子どもに慕われることが喜びになるだろう。

どうでもいいことだが、筆者(30代独身)もたたまに甥っ子2人と姪っ子の面倒を見ていたり、保育園のお迎えに行ったりしているので、今回のピッコロさんを見て「俺も…俺もピッコロさんみたいにカッコいい存在なんだ!」という自己肯定感が生まれた。実際の筆者の戦闘力はラディッツに秒殺されたおっさん以下だが、独身者のみんながピッコロさんみたいになれば、世界はちょっと平和になると思う。

(文:ヒナタカ)

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