「金田一少年の事件簿」最終回レビュー:もう1クール観たかった、道枝版金田一
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1995年の初放送以来、幅広い世代の支持を得続けている謎解きミステリードラマの金字塔「金田一少年の事件簿」。週刊少年マガジン(講談社)で連載された原作は、世界(12か国)累計で1億を超える発行部数を誇るメガヒット作。2022年に30周年を迎えた。
新シリーズは、選りすぐりのエピソードを現代の視点で再構築。主役は道枝駿佑(なにわ男子)。堂本剛(1995年/1996年)、松本潤(2001年)、亀梨和也(2005年)、山田涼介(2013年/2014年)と繋がれてきたバトンを受け取り5代目金田一一(はじめ)を襲名する。
本記事では、第10話(最終回)をcinemas PLUSのドラマライターが紐解いていく。
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「金田一少年の事件簿」第10話(最終回)レビュー
謎の手に引っ張られた一(以下はじめ・道枝駿佑)だが、その正体は監禁されていた剣持警部(沢村一樹)だった。頭に怪我をしていたものの大事ではなく、寝たら回復して食欲も旺盛だったのでまぁよかった。剣持警部を殺さなかったことから、犯人の殺人理由はやはり怨恨だろうか。はじめの予想では、剣持が襲われたのは劇場の鍵を持っていたからだという。
そういえば、剣持警部がはじめの祖父=金田一耕助だということを最終回にして初めて知ったというエピソードには笑ってしまった。じゃあ首狩り武者殺人事件のとき、全く知らないおじさんの名にかけて解決しようとしたんかい。
レオナ(山本舞香)を襲ったファントムと同じ仮面が、城(増田昇太)の部屋から出てきた。彼は白神(戸塚純貴)の提案により、一人で鍵のかかった劇場にこもって潔白を証明することになった。劇場の鍵が入った袋に毒蜘蛛が入っており、暖炉に投げ込んだことで、熱が冷めるまでの間鍵が使えない状況に。やっとドアを開けると、城は何者かに殺されていた。
はじめは、1分計と2分計に分かれた砂時計を見て、あることに気づく。初回の殺人と鍵の謎も暴き、はじめはみんなをひとところに集める。
犯人はなんと、レオナだった。劇場には地下があり、彼女は自分の席から操作してシャンデリアを落とすことに成功。ファントムに襲われたのは自作自演で、あらかじめ二人きりで会いたいと伝えていた三鬼谷(六角慎司)とメインの通路とは違う山道の真ん中(彼が発見されたあたり)で落ち合い(彼が別館の階段で転んだのは演技だった)、手首を切断。再びみんなで別館を探しに行った際、持っていた三鬼谷の手首を出して発見し、みんなに見せたのだ。殺害後元来た道を戻って、他の人たちが本館に到着する前に部屋に倒れていたのだった。偽物の紙の鍵を燃やし、城を殺害。本物の鍵は、煙突から投げ入れた。
なぜそんなことをしたのか。理由は前回、ファントムと恐れられていた元劇団員・霧生(古川雄大)だった。レオナと霧生は惹かれ合っており、彼が劇団を去った後もその気持ちは続いた。劇団員たちがレオナの誘拐事件と言っていた件は、誘拐ではなく駆け落ちだったのだ。レオナに執着した3人は、霧生を樹海に置き去りにして死に追いやったのだった。そう、これは復讐だった。しかし、そこまでのことをしてしまうなんて、執着って怖い。
レオナが犯人だったことには驚いたが、殺された3人が霧生にした仕打ちがひどすぎて、あまり同情できなかった。レオナが火を放った後「君を連れていくことはできない」と現れた霧生の幻覚(もしくは霊?)の切ない表情が印象的だった。出番こそ少なかったが、古川雄大のファントム姿がとても似合っていた。
ジャニーズによる実写化第5弾となる、道枝駿佑による金田一。5回もキャストを変えて実写化されることはそうそうないと思うので、あらためてすごい。道枝がジャニーズ事務所に応募したのは過去に山田涼介が演じた金田一を観たのがきっかけだったらしく、本人にとってもファンの方々にとっても、思い入れが深い作品だったのではないだろうか。
原作のはじめちゃんはそんなにシュッとしていないので、すごくシュッとしている道枝くんは「ずいぶんきれいな金田一だな~!」という印象もあったが、「金田一少年の殺人」での逃走劇は彼ならではの鮮やかさがあった。
はじめから美雪(上白石萌歌)への矢印がまだあまり見えず、はじめ・美雪とはじめを先輩として慕いつつ二人の仲をどうにかしたい佐木(岩﨑大昇)、という構図がとてもよかったので、できればこの先の続き、三人の関係性をもっと観ていたかった。一方で、佐木が途中で死んでしまったら嫌だなと思っていたのでそのようなことがなくて本当によかった。演じる役によって印象が大きく変わる岩﨑大昇くん(美 少年)、素晴らしい佐木だった。3人のわちゃわちゃが見られたラストは、いいハッピーエンドだった。
作品の性質上、毎回さまざまなゲストが出演するのも楽しみのひとつだった。個人的に印象的だったのは、白蛇蔵殺人事件で犯人役だった岡山天音が見せた涙と、金田一少年の殺人の真犯人でさまざまな表情を見せた戸塚祥太(A.B.C-Z)だ。オペラ座館の戸塚純貴の怪しい記者、先ほども書いた霧生役の古川雄大の強い表情もよかった。もう1クールくらいさまざまな作品を観たかった。
また、ドラマの尺におさめるためには仕方ないことだったかもしれないのだが、登場人物が省略され、消去法で犯人がわかってしまったり、原作に比べて犯行理由が浅いものになってしまっていた話があったのが少し残念だった。駆け足だったために、キャストならではの魅力も見えづらかった気もする。
やはり2クールくらい使って、じっくりやってほしかった。
ともあれいろいろと楽しませてもらった令和版金田一。あらためて出演陣とスタッフに拍手を送りたい。
(文:ぐみ)
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