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2022年07月23日

「雪女と蟹を食う」3話:ついに北(重岡大毅)の過去が明らかに!彩女(入山法子)の思惑は……?

「雪女と蟹を食う」3話:ついに北(重岡大毅)の過去が明らかに!彩女(入山法子)の思惑は……?

Ⓒ「雪女と蟹を食う」製作委員会

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重岡大毅が主演を務めるドラマ「雪女と蟹を食う」が2022年7月8日より放送を開始した。

冤罪により人生を狂わされた男・北(重岡)が死ぬ前に蟹を食べようと思い立ち、図書館で出会ったセレブ妻・彩女(入山法子)を襲おうと家に押し入る。そこで彼女は思いもよらぬ行動をとり、謎の旅がはじまっていくというラブサスペンスドラマだ。

本記事では、第3話をcinemas PLUSのドラマライターが紐解いていく。

「雪女と蟹を食う」第3話レビュー

薬局の駐車場で倒れた彩女(入山法子)に駆け寄り、抱き締める北(重岡大毅)。その強さ、がむしゃらさは、まるでバラバラになってしまった大事なものを繋ぎ止めようとするみたいだった。

今回、ついに北の過去が明らかになった。冤罪で捕まってしまった彼は、しかし親友にも、恋人にも、家族にすら信じてもらえなかった。そればかりか「生まれなければよかった」「顔も見たくない」といった暴言を浴びせられる。そんなものだろうか。

そして壊れたように笑う。見ていて不安になるような笑いだった。社会的に、そして、精神的に、彼はこの時、1度死んでいる。

さらに、その後も職場の同僚と思しき人たちから「変態野郎」とレッテルを貼られてからかわれる。反論をしようとするも、堪えきれずにトイレで嘔吐。

「俺が一体何をした」と当時の北は言うが、それが自業自得であったと思い至る。大事な人たちを、大事にできなかった。その報いなのだ、と。

それに気付いたからこそ、強く強く彩女を抱きしめたのかもしれない。もう2度と失う痛みを味わいたくないと叫んでいるようだった。

銀山温泉で迎えた夜、彩女は体調が悪いにもかかわらず、北にキスも、それ以上も求める。明らかに様子がおかしい。そして、北はそれが自暴自棄なのだと悟る。

北の目がまた暗く沈んだ。自分は愛を感じていたのに、その相手が自分を受け入れてくれていたのは愛ではく、自棄ゆえ。北の思いは届かないのだろうか。

翌日、早くも北海道へ渡ろうと言い出した彩女に対し、田沢湖や弘前城へ寄ることを提案する北。死にたがっていたはずの北の、生への執着がまたしても表出した。

Ⓒ「雪女と蟹を食う」製作委員会

しかし、すでに手持ちの現金が70万円を切ったということで、フェリー乗り場へ向かうことに。道中、北海道のガイドブックを買いに立ち寄った書店で、北は雪枝一騎という作家の小説を手に取る。彩女の夫は作家で、彩女の苗字もまた雪枝だ。

実話に基づいているというその小説の内容は壮絶だった。作家の若く美しい妻は、作家を執筆活動に専念させるために自分を犠牲にして生計を立てた。そのことに重さを感じた作家は不倫に走るも、妻はそれを咎めない。そして、妻を捨てる……。

これが事実なのであれば、彩女は夫のために働きながら、最終的には捨てられてしまったということになる。そこにどんな苦悩があったかはわからない。だが、少なくとも、彼女が自棄を起こしたきっかけを知ることができた。

銀山温泉での夜、婚約指輪をお守りと表現した彩女の姿が勝手にフラッシュバックしてきた。あれは、彼女がまだ夫に愛されていた記憶の象徴だ。“氷みたいな石”からしか、温かさを感じられない日々を送ってきたのだろう。これまでほとんど見えてこなかった彩女の内面を、少しだけ感じられた瞬間だった。

Ⓒ「雪女と蟹を食う」製作委員会

そして、北は彩女に「死ぬつもりで俺についてきた?」と問いかける。すると彩女は驚いたようにそれを肯定する。彼女があの日言った「いいですね」は、蟹を食べることだけに、ではなかった。

「この夏が終わったら、私がしれっと元の生活に戻ってしまうと思っていたのに、優しくしてくれていたのね」「でも大丈夫」「私もあなたと一緒だから」……彩女はそう言って、北を抱き締めた。

彩女の死への渇望は、北よりもずっとずっと強い。というより、北はすでに当初の目的を失っているのではないかとすら感じる。その証拠に、ここでは北は彩女のハグをただ立ち尽くして受け止めているだけだった。薬局の駐車場では彩女のことをあんなにも強く抱きしめていたにもかかわらず。

恐らくは長い間、静かに死を渇望してきた彩女と、彩女と過ごすことで生への希望を見出しはじめた北。念願の北海道へ足を踏み入れた2人は、この後どんな道を辿っていくのだろう。

(文:あまのさき)

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