©TBS/撮影:ENO

【2023秋ドラマ】注目の俳優たち“9人”:新たな一面に期待が高まる


盛り上がりをみせる秋ドラマ。本記事では秋ドラマの出演者の中から、筆者の独断と偏見で、注目の男性俳優をピックアップしつつ、ドラマへの期待を綴りたい。

<関連コラム>【2023秋ドラマ】ドラマ好きライター注目の“6作品”

「フェルマーの料理」高橋文哉&志尊淳

■未知数なバディに期待!

©︎TBS

「お前の物語は俺が終わらせない」「お前が必要なんだ」と純朴そうな少年に迫る怪しげなイケメンーー。いろいろな意味で未知数すぎて楽しみなのが、高橋文哉×志尊淳の「フェルマーの料理」だ。

挫折した天才数学少年・北田岳(高橋)と、彼の才能を料理に利用しようと声をかける若きカリスマシェフ・朝倉海の物語。数学が料理にどう活かされるのかも気になるし、何よりこの二人の組み合わせがどんな化学反応を見せてくれるのか楽しみで仕方がない。

2020年秋から2022年春までは毎クール、その後も2022年秋・2023年冬とドラマに出ずっぱりの印象があった高橋。2クール出ていなかっただけなのに久しぶりな気がしてしまう。直近の作品ではツンデレや表裏がある人物などクセのある役を演じていたが、本作ではピュアな高橋文哉が久々に見られそうだ。

彼は実際に調理師免許を持っているので、その腕前を作品内でも見られそうでうれしい。本人も作品公式サイトのインタビューで「料理とお芝居を結びつけたいとずっと思っていたので、お話をいただいたときは本当にうれしく、今からやる気に満ちあふれています」と話しており、より一層期待が高まる。

先日最終回を迎えたNHKの連続テレビ小説「らんまん」では、神木隆之介演じる主人公・万太郎の相棒・竹雄を演じた志尊淳。二人の名コンビっぷりは素晴らしかったし、「神木を支える役だと聞いて引き受けた」というエピソードがアツかった。本作で高橋とどんなバディ感を見せてくれるのだろうか。

そして金髪・黒い制服・赤いタイという本作のビジュアルが大変似合っていてかっこいい。口調も俺様っぽいので、どんな振る舞いを見せてくれるのか期待が高まる。

ほかにも海に憧れる岳のライバルに板垣李光人、岳の挫折の原因となった人物に細田佳央太、海と密会を重ねる伝説のシェフに仲村トオルなど、気になる俳優がいっぱいだ。

ところで高橋光臣が上半身裸で食事をしているのが気になりすぎる。

「いちばんすきな花」松下洸平

■絶妙な演技が光る“さえない男”

©︎フジテレビ

松下洸平がドラマ「silent」制作陣の作品に出ると聞いたら観るしかない。松下は4人の主人公の一人で、結婚直前に婚約者を「友達だ」と言っていた男に略奪されてしまう春木椿を演じている。

松下はその演技力はもちろん、バラエティ番組に出演した際に垣間見える本人の人柄も含めて人気を集めている印象がある。

これまで松下が演じてきた役は、どこかしらそういった彼の人柄を感じさせる役が多かった。前クールの「最高の教師 1年後、私は生徒に□された」では松岡茉優演じる主人公の夫・九条蓮を演じ、その素晴らしさに「九条蓮と結婚したい人生だった……!」と何度叫びたくなったことか。

第1話時点の感想としては、本作で演じる椿は松下洸平が演じている役では珍しく「人としてあんまり好きじゃないかも……」と思う要素がある人物だ。

婚約者がほかの男と逃げたこと自体は気の毒だし相手がひどいが、その後の言動を見ていると捨てられてしまったのも「みんなのいい人にはなれるが誰か一人のいちばんすきな人にはなれない」のも、少しだけわかる気がしてしまう。

一見“いい人”だがちょっとネチネチしていたり、価値観が凝り固まっていたり、婚約指輪を埋めてお墓を作ったり、絶妙にめんどくさい男なのだ。

それでも、こんなに前出演作と印象が変わってしまうところに演技力を感じるし、胸に刺さるセリフが毎回ある。

椿が3人との関わりの中でどんな変化をしていくのか見守っていきたい。

「ONE DAY~聖夜のから騒ぎ〜」二宮和也

■アクションがかっこよすぎる!

©︎フジテレビ

目覚めると隣には男の死体と銃、さらに自分の記憶がないーー。

二宮演じる勝呂寺誠司にとって、最悪の場面からスタートする本作品。誠司は悪の組織のボス(中川大志)とも警視庁の管理官(江口洋介)とも親しい仲だったことがわかっており、彼がどんな人物なのかがわからない。同じく主人公である時生(大沢たかお)、桔梗(中谷美紀)ともどう絡んでいくのか楽しみだ。

二宮の演技が素晴らしいのは自明の理だし、ミステリー要素ももちろんだが、二宮のアクションがとにかくかっこよすぎるのだ。1話で見せた時生のレストランのカウンターを飛び越えて逃げて行く様子は実に鮮やかだし、自分を追ってきた刑事を障害物から助けたり、ビルの屋上から隣のビルに乗り移ったり。物理的にすごいことをやっているだけでなく、そのすべてがちゃんとかっこよく見えるのが素晴らしい。

本人がX(旧Twitter)で肩にできた痛々しいあざの写真を載せており、過酷さがうかがえる。真実が明らかになっていくのも、アクション俳優・二宮和也を堪能できるのも楽しみになりそうだ。

「下剋上球児」鈴木亮平

■“陰”の要素にも期待



日曜劇場二度目の主演となる鈴木が演じるのは、先生になる夢を諦めきれず、32歳で大学に再入学した教師・南雲。野球一筋でそれで大学にも入ったものの怪我で引退、退学してしまったという過去がある。野球部の監督を打診されはじめは渋っていたものの、周りの教師の熱意に押されて引き受けることに。

ヤクザ・漫画家・救命医など、鈴木がどんな役でも高い演技力でこなすのはもはや自明の理(本記事二度目)だし、リーダーシップを持ったスポーツマンという役は聞いただけでもピッタリだ。部員たちを笑顔で励ましているところはザ・鈴木亮平!と思った。

だが、本作の魅力はさわやかな学園スポーツものにとどまらない、“陰”の要素にもあると思う。南雲は野球で挫折したことや、当時の監督に「勝つためなら何でもやれ」という方針だったことから監督就任に消極的だった。

彼が秘密にしたい過去はまだあった。2話で明かされる南雲の秘密は、予想外の方向で衝撃的。また、彼のもとに集まる部員たちにも何やらそれぞれ抱えているものがありそうだ。

そんな“陰”の部分を鈴木がどう演じ、物語がどういう方向に進んでいくのか。制作陣が「Nのために」「アンナチュラル」「最愛」などの新井順子×塚原あゆ子タッグなことも加わり、展開が楽しみだ。

「パリピ孔明」向井理

■向井理だから出せる「全能感」

©︎フジテレビ

「パリピ孔明」が実写化されると聞いたとき、戸惑ったのは私だけではないはずだ。「ど、どうやって?」「アニメも好評なここで実写化する必要はあるのか?」「主演俳優が気の毒だな……」など、さまざまな考えが駆け巡った。が、初回を観て杞憂だったと反省した。

もちろんあんな格好の人がいるわけがないのだが、向井演じる孔明がスマホの操作・キャッシュレス決済・資料作成などを即座にマスターし、鮮やかにドリンクを作る(向井は実際にバーテンダーとして働いていた経験がある)様子を見ていると、こんなことも本当にある気がしてしまうから不思議だ。

「無理だと感じさせない力」が向井にあるのだと思う。孔明を現代に存在させることも、無理だと思うようなことをどんどん解決していく孔明の策士っぷりも、向井理なら「アリだな」と思わせてくれる説得力がある。しかもちゃんとかっこいい。

脇を固めるディーン・フジオカ、森山未來とともに、アラフォーにしてこういった二次元要素の強い実写を違和感なく成立させていて、ビジュアルや音楽のセンスもさすが。実写化作品の幅を広げてくれる作品になるかもしれない。

「単身花日」重岡大毅・田中樹

■全員ヤバくてツッコミながら観たい

©︎テレビ朝日

重岡大毅演じる舜は、愛する妻・ゆり子(高梨臨)と娘・花奈(宮崎莉里沙)と幸せに暮らしていたが、中学時代を過ごした鹿児島に単身赴任することに。そこで当時好きだった花(新木優子)と再会する。さらに、舜と二大モテ男としてライバル関係だった直哉(田中樹)もいてーー?という、相関図だけでお腹いっぱいになりそうな作品。

重岡が出演した「雪女と蟹を食う」や田中が出演した「うきわ ―友達以上、不倫未満―」のような色っぽい雰囲気を想像していたのだが、実際作品を見るとちょっと思っていたのと違った。

舜は家族を大切にするタイプなのかと思いきや、赴任先で花と再会したときはゆり子からの電話を切ったり、電源自体を切ったりしてとにかく最低。花と会うシチュエーションを妄想するシーンもあり、思考回路まで中学生に戻ってしまったみたいでイタい。さらに娘の名前を花を思ってつけ「ゆり子のゆりはお花だから」と説明した節まで浮上して、それはさすがに許しがたい。

直哉もイキってる感がすごい。常に薔薇の花束を持ち歩き、(不動産営業の)客に渡したりウインクしたり。花に飲み物をぶっかけていて最低だし、何より絶望的に髪型がダサい。絶対もっとかっこいい髪型があるが、この感じが直哉なんだろうな。

女性陣もヤバい。花は何かと思わせぶりだし、陰で怖い顔をしていたりして何を企んでいるのかわからない。ゆり子も若干メンヘラ気味というか、舜の浮気を疑って鹿児島までやってくるようだ(そもそも舜が悪いのだが)。

思っていたのとは違ったが、これはこれでツッコミを入れながら実況して楽しめそうだ。重岡と田中がどんなヤバさを見せてくれるのか、逆に楽しみになってきた。

「君には届かない。」「トクメイ!警視庁特別会計係」前田拳太郎

■美しさと演技力に注目

©『君には届かない。』製作委員会

若手の中で全力でおすすめしたいのが「君には届かない。」で超特急・柏木悠とダブル主演している前田拳太郎だ。これまで「仮面ライダーリバイス」主演のほか「女神の教室〜リーガル青春白書〜」「わたしのお嫁くん」などにも出演していた彼がお芝居の勉強を始めたのは2020年。経験が長いわけではないのに、自然な演技でスッと入ってくる。

「君には届かない。」で演じているのは、スタイル抜群・成績優秀・スポーツ万能で女子たちの憧れの的でありながら、実は幼馴染のカケル(柏木)に想いを寄せているヤマト。複雑な心情を表情や目、声で表現していて、観ているこちらも切なくなるシーンもたくさん。

写真で見てもかっこいいのだが、映像で見るとより造形の美しさが際立つ。演技力も美しさも兼ね備えており、今後もさまざまな役を観たいと思わせてくれる。

「トクメイ!警視庁特別会計係」では、アクの強い先輩刑事たちに囲まれた新人刑事・月村を演じている。こちらではギャグ要素も多そうだし、刑事ドラマならではのアクションなど、さまざまな顔が見られそうで楽しみだ。

さらに、全国中学生空手道選手権大会で優勝、学生競技ダンス連盟の種目別で優勝した経験を持ち、実の妹はアイドルグループ・BEYOOOOONDSの前田こころ、幼馴染が元モーニング娘。で女優の工藤遥という少女漫画に出てきそうな経歴と相関図にため息が出そうだ。

前田こころは工藤遥に憧れて同じ事務所のオーディションを受けアイドルになったのだが、拳太郎は「妹がアイドルの夢を叶えたことで、自分も諦めず素直になれた」と最も影響を受けた人として妹を挙げており、素直でまっすぐな人柄も魅力的だ。

秋ドラマ、俳優たちの新しい顔に期待!

さまざまなドラマに触れてきたが、今期はドラマ全体のジャンルのバラエティに富んでいるし、それぞれの俳優が新たな顔を見せてくれるような作品が多いと感じた。今後も新しい魅力を発見していけそうで楽しみだ。

(文:ぐみ)

<関連コラム>【2023秋ドラマ】ドラマ好きライター注目の“6作品”

無料メールマガジン会員に登録すると、
続きをお読みいただけます。

無料のメールマガジン会員に登録すると、
すべての記事が制限なく閲覧でき、記事の保存機能などがご利用いただけます。

RANKING

SPONSORD

PICK UP!