海外ドラマ

REGULAR

2022年09月02日

「シー・ハルク:ザ・アトーニー」第3話:賛否両論の内容にも迫る!女性ヒーロー活劇

「シー・ハルク:ザ・アトーニー」第3話:賛否両論の内容にも迫る!女性ヒーロー活劇

[※本記事は広告リンクを含みます。]

▶︎「シー・ハルク:ザ・アトーニー」画像を全て見る

マーベル・スタジオが送るドラマシリーズの最新作「シー・ハルク:ザ・アトーニー」が2022年8月18日より配信された。

突如、強大なパワーを手に入れた女性弁護士・ジェニファー。緑の怪物・ハルクの後継者“シーハルク”となった彼女の運命やいかに……。

本記事では、「シー・ハルク:ザ・アトーニー」第3話の魅力をマーベル好きのライターが紐解いていく。

■「シー・ハルク:ザ・アトーニー」記事をもっと読む

>>>ディズニープラスで「シー・ハルク:ザ・アトーニー」を観る

>>>【関連記事】Disney+(ディズニープラス)の使い方|こういう人は絶対使うべき!

マーベル要素



今回のエピソードでも、これまで同様、マーベル作品のファンには嬉しい小ネタが多数登場した。

■シェイプシフターのエルフ


劇中では、主人公の元同僚・ブコウスキーが訴える元カノとして、シェイプシフターのラルフ(姿を変えることのできる妖精)が登場した。
ミーガン・ザ・スタリオン(アメリカの女性ラッパー)に姿を変えていた彼女は、ニュー・アスガルド出身であることが明かされていた。
ニュー・アスガルドとは、『アベンジャーズ/エンドゲーム』以降、ソーシリーズに登場している地名である。

■記憶に関する発言


劇中では、ブロンスキーの証人となった至高の魔術師・ウォンが「人々の記憶は二度と消さない」と発言する場面がある。これは『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』を踏まえた発言。
『NWH』では、正体を暴露されてしまったスパイダーマンことピーターが、魔術で人々の記憶を消そうとしたことから、大事件に発展してしまう。

■「アスガルドは場所ではなく、民だ」


こちらは、エルフが裁判中に発したセリフ。
『マイティ・ソー バトルロイヤル』では、主人公・ソーの故郷・アスガルドに壊滅の危機が発生。
住民たちを避難させたソーが発言した名台詞で、移民となった人々は、地球に拓かれた新たな土地・ニューアスガルドに移り住むこととなった。

■チンピラ集団の正体


ラストには、シー・ハルクを謎の武装集団が襲った。彼らは原作で「レッキングクルー」と呼ばれていた悪役集団。レッカー、ブルドーザー、パイルドライバー、サンダーボールの4人からなる集団で、ソーの弟・ロキから力を奪ったという設定もあった。(ここからも今回のエピソードは、ソーネタだらけだったとも言える)

今後のアボミネーション



劇中のエミル・ブロンスキーは、アボミネーションへの無期限変身禁止、永久に抑制装置を付けることを条件に仮釈放が認められた。

しかし、この条件は本当に守られるのだろうか。今後のマーベル作品を知っているものとしては、不穏な空気を感じざるを得ない。

現在マーベルは、悪役アベンジャーズとも言われる『サンダーボルツ(原題)』の制作を発表している。

数十年ぶりに本格復帰を果たしたアボミネーションが、今回の出番で本当に終了なのだろうか。名優ティム・ロスだけに、今後の大活躍を期待せずにはいられない。

強い女性の強調



本作では、賛否両論を呼んでいる部分がある。

それは強い女性、愚かな男性という構図が強調されている点だ。例えば、今回のエピソードにおける男性キャラクターの描き方でも明白である。

複数の女性と文通をする色男・ブロンスキー、自信過剰でナルシストな元同僚・ブコウスキー、自分の罪に甘いウォン、女性蔑視気味なジョークを飛ばす一般人男性や主人公の話を聞かない無礼な男性キャスターなど。



主人公の活躍を描く一方で、あえて男性キャラクターたちを軽薄に描いている面は否めず、この描写をフィクションとして許せるかどうかで、本作を楽しめるかが変わってくるだろう。

ちなみに、この作風はカット・コイロ監督の作家性とも言えるのかもしれない。彼女がかつて監督・脚本を手掛けた作品『ラブ・アフェア 年下の彼』では、夫の出張先で若い男性に恋をしてしまう主人公の物語を展開している。

劇中では、主人公が2人の男性の間を揺れ動くが、最終的には彼らに囚われず、自分の道を突き進むことを選択する。

この内容はまさしく現段階でのドラマにも通ずるもの。
「男性に囚われない自由な女性」として主人公を描くことで、ヒーローではなく、あくまで一人の女性として、シーハルクというキャラクターを描こうとしているのかもしれない。

ガールズエンパワーメントムービーの系譜



上記では、本作が過去のマーベル作品とは一線を画していることを紹介したが、この要素はガールズエンパワーメントムービー(と筆者が勝手に呼称している作品群)の系譜に通ずる部分がある。

例えば、代表例として『テルマ&ルイーズ』の存在を挙げたい。
女性2人のロードムービーが描かれる本作では、彼女たちの行く末をどうしようもない男性が阻む。
「女性の生きづらさ」、「女性の友情」を描くために、あえて愚かな男性像を誇張しているのだ。
(ちなみに、本作のメガホンをとったリドリー・スコット監督は『最後の決闘裁判』しかり、有害な男性性や戦う女性というテーマを頻繁に描いている)

また近年の作品では、女性版『ゴーストバスターズ』が印象的である。
劇中では、ゴースト退治に立ち向かう女性たちと対比的に頼りない男性陣が描かれ、クライマックスには“その一人”が敵にもなる。その内容ゆえ、いまだに反発するシリーズファンも存在する本作だが、男性キャストがメインとなった初代2作では、女性嫌悪的な描写も多く、そのカウンターとしては秀逸な作品なのだ。


(C)2019 WBEI and c&TM DC Comics

アメコミヒーローの分野では『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY』も革命的な一作だ。本作では、女性ヴィラン(悪役)たちが団結し敵を倒す物語が展開していくが、その相手となるのがまさしく有害な男性キャラクターなのである。

このように、映画の中では、フィクションとして、あえて愚かな男性陣を描くことで女性キャラクターの活躍を描く作品も多く、今回のドラマはその系譜に通ずる一作と言えるのだ。


第3話ながらも、まだまだ勢いを失わなかった「シー・ハルク:ザ・アトーニー」

マーベル最新作としてのみならず、現代を生きる女性を描く物語として、本作がどのような着地を迎えるのかにも乞うご期待だ。

(文:TETSU)

>>>ディズニープラスで「シー・ハルク:ザ・アトーニー」を観る

>>>【関連記事】Disney+(ディズニープラス)の使い方|こういう人は絶対使うべき!

無料メールマガジン会員に登録すると、
続きをお読みいただけます。

無料のメールマガジン会員に登録すると、
すべての記事が制限なく閲覧でき、記事の保存機能などがご利用いただけます。

(c) 2022 Marvel

RANKING

SPONSORD

PICK UP!