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2022年10月07日

郷ひろみの映画俳優路線、アイドルのイメージチェンジについて

郷ひろみの映画俳優路線、アイドルのイメージチェンジについて



郷ひろみ。年齢はなんと66歳。

NHK紅白歌合戦などの歌番組やテレビCMなどで相変わらずキレキレダンスを披露しているので、意外な気もしますがプロフィールを見ると確かに1955年生まれとあります。

16歳でジャニーズ事務所からトップアイドル候補としてデビューしているので、芸能キャリアだけ見ても45年を超える大ベテランでもあります。その長いキャリアを見るといろいろな顔を見せていること、さまざまな方向を模索していることがわかります。

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脱アイドルへの道



年代・時代・性別に関係なくアイドル的に、若くして売れっ子となった俳優や歌手やタレントにとって、イメージと年齢との兼ね合いについての課題はどの時代でも常について回る事柄と言えるでしょう。いつまでもティーンアイドル的な要素を求められる一方で、実際には確実に年齢を重ねていきます。

爽やか青春系恋愛だけではなく、“オトナの要素”を感じさせる人間関係や人の親を演じることも求められるようになることもあるでしょう。デビュー当時の印象を持ったまま応援し続ける人たちにとっては、そこで生じてしまうイメージへのギャップは決して小さなものではないかと思います。

需要と年齢を巧く連動させてスライドさせていければ、根強い人気を保ったままずっと第一線で活躍することも可能ですが、失敗するとなかなか大変です。

西城秀樹、野口五郎と共に“新御三家”と呼ばれ、トップアイドルとなった郷ひろみも、もちろんそのなかの1人です。ジャニーズ事務所を退所して、30歳という節目の年齢が見え隠れしはじめたタイミングで、郷ひろみが“新境地“のフィールドとして選択したのが映画でした。

80年代の映画路線



郷ひろみの映画出演歴は70年代のアイドル時代と、80年代の脱アイドル路線探求時代の大きく2つに分かれます。

ドラマ出演は今もありますが、映画に関して言うと90年代以降はわずかに2本。対して70年代に8本、80年代に8本出演しています。もちろん、時代によってプロモーションツールとしての映画の在り方が変わってきたことが大きいというのもあります。

70年代、80年代にアイドル(的な存在)として世間に売り出すツールとして映画は有効な手段として認知され、“実質的な芸能デビューが映画デビュー”という人も少なくありませんでした。

郷ひろみは70年代には認知度を拡げるために、80年代はイメージを大きく変えるために映画というツールを選んでいることになります。

80年代の郷ひろみ



俳優、タレントのイメージチェンジといえば(少し安易かもしれませんが)、やはり“オトナな要素”の取り込みです。

ハードなバイオレンス描写のあるアウトローの物語やじっくりとしたラブシーンのある恋愛劇などがわかりやすい例です。また、時代劇(史実モノ・実話モノ路線)もやはりある程度の大人と言われる時期まで年齢を重ねた方がリアリティも増します。

時代モノに関して、郷ひろみは松竹出身の名匠・篠田正浩監督の競作を続けました。『瀬戸内少年野球団』『ALLUSION 転生譚』『鑓の権三』『舞姫』と4作品の篠田正浩監督作品に主演しています。

原典・原作があるものから、オリジナルのものでさまざまなバリエーションのドラマ作品が並んでいます。松竹ヌーベルヴァーグの1人としても知られる篠田正浩監督と郷ひろみという組み合わせはどういう経緯で固まっていったのか興味があるところです。

もう一方のアウトロー路線の作品が『聖女伝説』と『さらば愛しき人よ』があたるでしょう。後者は現在公開中の『ヘルドッグス』も話題の原田眞人監督の初期の作品。『ヘルドッグス』がツボにはまった方は“原田バイオレンスの原点”的な作品でもあるので『さらば愛しき人よ』をチェックしてみるのもおすすめです。


(C)1985松竹株式会社

もう1本の『聖女伝説』も松竹製作ですが、監督が角川春樹や松田優作と共に和製ハードボイルド作品『“遊戯”』シリーズや『蘇える金狼』『野獣死すべし』を手掛けた村川透監督なので、同じ空気感を感じることができるアウトロー作品です。

Wヒロインを岩下志麻と小野みゆきが務め、共演陣に岩城滉一、夏八木勲、さらには何と大スター三船敏郎まで登場します。昭和のクライムサスペンスでお馴染みのバイプレイヤー・成田三樹夫が顔を出しているのは村川透監督作品らしいでしょう。

身体を張ったハードなアクションシーンや濃厚なラブシーンなど、アイドル・郷ひろみを追いかけてきた人たちはどんな思いで見たのか少し知ってみたいところです。

アイドルの新境地とは?

各種“オトナな要素”を多分に含んだ形でされることが多い“アイドルの新境地”や“アイドルのイメージチェンジ”。

イメージチェンジが受け入れられるかは、やや運頼み・タイミング頼みであり、正解や勝利の方程式はないというのが実情です。ただ、これまでのアイドルのイメージチェンジの成功例を思い返して見ると、“時代”や“年代”そしてもちろん“性別”に関係なく、愚直に新しい方向をやり通した人は上手くいっている印象があります。

郷ひろみも80年代のほぼ10年間を費やしていました。

アイドル的な存在だった人の過去出演作を振り返って見る時、その前後でどのようなスタイルを見せていたかに注目するのも楽しみ方の1つだと思います。

(文:村松健太郎)

■『聖女伝説』配信サービス一覧



| 1985年 | 日本 | 122分 | (C)1985松竹株式会社 | 監督:村川透 | 郷ひろみ/岩下志麻/小野みゆき/岩城滉一 |

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