「舞いあがれ!」第15回:ちょっとさみしい。子役のターンが終了、福原遥へーー
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2022年10月3日より放映スタートしたNHK連続テレビ小説「舞いあがれ!」。
本作は、主人公が東大阪と自然豊かな長崎・五島列島でさまざまな人との絆を育みながら、空を飛ぶ夢に向かっていく挫折と再生のストーリー。ものづくりの町・東大阪で生まれ育ち、 空への憧れをふくらませていくヒロイン・岩倉舞を福原遥が演じる。
本記事では、第15回をライター・木俣冬が紐解いていく。
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飛行機が舞いあがって、福原遥、舞いあがって!
舞(浅田芭路)と久留美(大野さき)がそれぞれのお父さんを元気づけるために飛行機を作り、ついに完成します。
日曜日、学校の校庭に家族が集まります。お母さん・めぐみ(永作博美)、お父さん・浩太(高橋克典)、工場の笠巻さん(古舘寛治)、章(葵揚)がまずやって来て、久留美のお父さん佳晴(松尾諭)もやって来ます。貴司(齋藤絢永)も。
佳晴は、父兄参観のお知らせを隠されて、無職の自分が恥ずかしいのだろうと思っていたから、誘われてうれしい様子。ラグビーシャツのようなものを着てやって来ます。
久留美が飛行機を飛ばすとき、後ろから見守っている画がよかったです。
「舞いあがれ!」のお父さんは、舞のお父さんは問答無用に働き者でいい人で、家族のためにがんばっています。景気が悪くなったけれど試作ネジを作って、なんとか首がつながりました。その逆の存在として、働いていないお父さんが久留美のお父さん・佳晴ですが、決して悪い人ではなく、穏やかで、久留美が料理していると手伝おうとしたりもします。自信のあったラグビーができなくなって、元気がなくなっている人物です。
仕事がうまくいってる浩太と、うまくいってない佳晴が対比として配置されているのかなと思いますが、校庭であからさまにふたりを並べて映したりしないところに配慮を感じました。
舞と久留美が飛ばした飛行機は、交差してすーっと上空に上がっていきます。試作のときはすぐに落ちたけれど、いつまでも飛んでいて、舞と久留美はその飛行機を見上げます。
部屋のなかにいながらにして、清々しい広い空を感じさせてもらいました。理屈で何か考えるのではなく、心が深呼吸したような気持ちになりました。お腹の真ん中がお味噌汁を飲んだようにじわっと熱くなります。
行かないと言っていた兄・悠人(海老原幸穏)もそっと見に来ているところもうれしい。
あんまりいいことのない今の日本、「あさイチ」放送中に、物価が3.0%と31年1ヶ月ぶり、歴史的上昇であるとニュース速報が流れたくらいです。だから、いやなことをドラマで描くよりも、誰かのために飛行機を作って、飛ばして、みんなで眺めて……というささやかさとスケールの大きさが隣り合わせになっているような表現を見せてもらえるのは、救われます。
その気持ちよさのまま、時は2004年、春へーー
いよいよ福原遥さんの登場です。
【朝ドラ辞典 交代(こうたい)】主人公の子供時代からはじまることが多いので、子供時代から成人の俳優に変わるときのタイミングが序盤の見どころのひとつ。自然かつ劇的に見せるのは演出の見せどころでもある。「舞いあがれ!」では飛行機が飛んだ空を境にして時間が経過した。
類語:バトンタッチ
(文:木俣冬)
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