「約2年間の“キャンペーン”の成果」高杉真宙が主演映画で挑んだ新たな演技の構築方法
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この1〜2年は、高杉真宙にとって“転機”と呼べる時期になった。20代半ばを迎えて自ら事務所を立ち上げ、バラエティー番組のレギュラーも務めて……と、変化と起伏に富んだ日々はなおも続いている。そんな現況を本人はどう捉えているのか？ 主演映画『いつか、いつも……いつまでも。』公開のタイミングを機に、胸の内を聞こうと試みた。
共演者・石橋蓮司に見た「ただ、そこにいる」存在感
──今回主演された映画『いつか、いつも……いつまでも。』で祖父役を演じられた石橋蓮司さんとの共演はいかがでしたか？
高杉真宙（以下、高杉）：『いつか〜』の現場では、大先輩としての石橋さんの姿をたくさん見させていただきました。ただ、言葉を交わした回数はそれほど多くはありません。もっと自分から石橋さんのところへ行って、お話を聞けばよかったなと思ったりもするんですけど、まずは現場に立たれている姿から、いろいろなことを勉強させていただくつもりで、石橋さんを見ていました。
──石橋さんには大ベテランならではの「ただ、そこにいる」からこその存在感があるように思います。
高杉：すごくわかります。『いつか～』の取材で結構お話しているんですけど、石橋さんには“そこにいるだけの力強さ”があるように感じていて。しかも、“ただ、そこにいるだけの演技”って、本当に難しいんです。セリフにしても、声にしても動きにしても、芝居って大きければ大きいほど、役者としてはやりやすいんですよね。だからこそ、ただただ、その場に役としていることができる石橋さんは、本当にすごいなとあらためて思いました。
自分の芝居へのボーダー
──ちなみに、ご自身の芝居に対する合格点のボーダーってあるのでしょうか？
高杉：基本的には監督のOKが自分のOKでもあるんですけど……突き詰めていくと自己満足の域になってくるんですよね。自分がやりたいことをできたかどうか、という──。そのうえで、現場でご一緒した方々と噛み合うことができたとしたら、そのときはボーダーを超えたと言えるのかもしれないですね。
──自己満足ではあるけれども、相手ありきというアンビバレントな構造というのが面白いです。『いつか～』ですと、たとえば関水渚さんとお互いのリアクションがいい感じに噛み合って初めて、高杉さんのなかのボーダーを超える、といったような具合でしょうか？
高杉：僕は監督ともキャストの方とも芝居の相談をしないことが多いんです。現場でまず自分が準備してきた演技をやってみて、それが監督のイメージと違えば変えますし、合っていればそのままいきますけど、相手の方と噛み合っていなかったら修正していく……というような段階を踏みながら本番に入っていくのが、スタイルとしてはすごく好きで。でも、『いつか～』の現場では、そのスタイルをやめて、できるだけ関水さんとコミュニケーションをとりました。何となく違うなと感じたり、やりにくいような感覚があったりしたら相談する、と自分のなかで決めていたんです。そのほうが芝居を構築していくうえで、楽ではあるんですよ。噛み合わせの作業がいらないので。そのスタイルでやってみて、どっちにもメリットとデメリットがあるなと思いました。
──今回の芝居の構築の仕方というのは、いわば最短距離で着地点に近づいていく、みたいな解釈になるのでしょうか？
高杉：そういうイメージです。僕の好きなスタイルで芝居をつくっていくのは楽しいんですけど、時間がかかっちゃうんですよね。お互いに擦り合わせたり、噛み合わせたりするので。しかも、今回の作品は関水さんと2人のシーンがほとんどなので、間（ま）とテンポと空気感が大事だなと思って、そこを意識しながら演技を固めていったという感じでしたね。
──作品の公式SNSにアップされている映像からも、高杉さんと関水さんのコンビネーションの良さは伝わってきます。あれを見ていると、芝居以外のところでも、たくさんお話されたのだろうなという様子が垣間見えた気がしました。
高杉：そうなんですよ、共演者の方と積極的に話すことって、今まであんまりなかったので、僕にしては珍しいと思います。だから、公式SNSで関水さんとクイズをしている映像とかを見ると、もう……恥ずかしくて（笑）。素にほぼ近い姿で人前に出ることに慣れていないので、ファンの人たちにも見られているんだな〜って思うと、なんか照れくさいですね。
──人と打ち解けるのに時間がかかるタイプだと公言している高杉さんが、パーソナルな部分を関水さんと共有されていたのが見てとれたので、「オッ」と思いまして（笑）。
高杉：たぶん、「どこどこへ旅行に行きたい」みたいな、僕のそういうパーソナルな情報って、共演者の方々よりも取材をしてくださっている方々のほうが詳しいと思います（笑）。それぐらい、現場ではあんまりしゃべってこなかったんですけど、2年ぐらい前から“人見知りをやめようキャンペーン”を個人的にやってきたので、「今回は、その成果が出たな〜」という手応えを感じましたね。でも、本当に気持ち一つで変えられるんだなって思いました。2年近く“キャンペー”を続けてきて、初めてご一緒する共演者の方々ともだいぶしゃべれるようになった気がします。客観的に見ても、会話を続けようという意志が感じられるな、と。まだ花マルはあげられないけど、がんばってはいるよなって。
高杉真宙が見つめる“これから”や、役者というものについてなどを聞いたインタビュー全文は、10月17日（月）発売の『CINEMAS＋MAGAZINE』にて掲載！
（スタイリスト＝荒木大輔／ヘアメイク＝堤紗也香／撮影＝岡本武志／取材・文＝平田真人）
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