インタビュー

2022年11月03日

鈴木伸之、自分がワクワクすることに向かって取り組んでいきたい「自転車屋さんの高橋くん」インタビュー

鈴木伸之、自分がワクワクすることに向かって取り組んでいきたい「自転車屋さんの高橋くん」インタビュー

ドラマ「自転車屋さんの高橋くん」が11月3日(木)よりスタートする。原作は松虫あられ氏の同名作品。累計100万部を突破し、「マンガ大賞2022」にもノミネートされた人気マンガだ。

人付き合いが苦手なアラサー女子・パン子こと飯野朋子は、自転車の修理をしてもらったことをきっかけに、年下で見た目がヤンキーの高橋遼平と距離を縮めていく。遼平を演じるのは、様々な作品に引っ張りだこの鈴木伸之、パン子は内田理央が演じる。

今回、主演を務める鈴木にインタビューを実施。作品の魅力や自身が演じる“高橋くん”について話を聞いた。

日常の心の機微にフォーカスした作品

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――原作の松虫あられ先生がドラマ化のお話が出たときに「鈴木伸之さんがいいな~と思っていた」とコメントされていましたが、今回、高橋くん役が決まったときのお気持ちをお聞かせいただけますか?

鈴木伸之(以下、鈴木):まさかこんな僕が、原作の先生に「この人にやってもらいたいな」と思ってもらえたのが嬉しかったですね。お話をいただいてから『自転車屋さんの高橋くん』を読んだのですが、作品の温かさを感じ、惹かれる部分がありました。この役をやってもらいたいと言っていただいたことにやりがいを感じたので、ぜひやらせてもらいたいな、と思ったのを覚えています。

――原作で惹かれた部分というのは、具体的にはどういったところでしょうか?

鈴木:これといって大きな事件が起きるわけではないんですけど、日常のちょっとした心の機微にフォーカスした作品なんですよね。ちょっとした間だったり、相手の表情や仕草からいろいろ感じとったところから物語が進んでいく。そういうところはすごくおもしろいなと感じましたし、演じる上で大事にしたいと思っています。

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――おっしゃる通り、「自転車屋の高橋くん」は繊細な心理描写や人間関係が魅力のひとつかと思うのですが、演じる上で気をつけたことを教えてください。

鈴木:パン子はどうしたらいいのか迷うことの連続です。それは会社や家族の出来事だったり、自分自身のことだったり、さまざまなんですけど、遼平はそういった局面での彼女を見て、しっかりと指摘していきます。遼平は格好をつけるわけでもなく、思ったことをストレートに言うことしかできないので、そのストレートさが見てくれる人に刺さるといいな、と思います。自分も漫画を読んですごく刺さった部分もあるので。

――共演の内田さんとは、演技について相談されたり、ということはあったんでしょうか?

鈴木:いや、特に(笑)。パン子は終始悩んでいて、僕は僕でそんな彼女の変化を見逃さないように見守り、そっと背中を押してあげる役どころなので、自然と成り行きのまま進んでいった印象が強いかもしれないです。
 

鈴木伸之が演じるときに意識していること


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――ご自身が演じられている「高橋くん」はどのような人物だと捉えていらっしゃいますか?

鈴木:高橋くんは、寡黙で不器用な、田舎で自転車屋を営んでいる男。あまり感情を表情には出さず、多くを語らず。でも優しくて、相手のことも思いやれる、すごく温かい人物だな、と思います。

――高橋くんはちょっと世話焼きなところもあるのかな、と思うのですが、鈴木さんご自身はいかがですか?

鈴木:僕は世話好きではないですね。焼かれもしないですし、猫みたいな……ドライな、淡々としています。でも遼平と少し重なる部分もありますね。誰かがよっぽど困っているときは、声をかけられるような人間だと思います。遼平ほど正しく、困ってるから何かしてあげよう、というタイプではないんですけど。

――他にもご自身と似ているな、と思う部分ありますか?

鈴木:多くを語らないところは少し近いかな。あと、遼平は自分らしく生きている印象があります。こんな人になりたいというよりは、俺は俺だから、と割り切っているところはいいな、と思いますね。

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――今のご時勢、自分らしくいることは難しい部分もあると思うんですけど、鈴木さんが自分らしくいるために心がけているところはありますか?

鈴木:確かに、今は難しい時代ですよね。思い描いていたものと違う捉え方をされたりすることもあるので、発言に気をつけているところはあるかもしれないです。僕自身はやりたいことと、自分がワクワクすることに向かって物事に取り組んでいきたいな、と思っています。

――鈴木さんというと、不良の役を演じられる機会が多い印象があるのですが、そういった役柄を演じるときに、鈴木さんなりのこだわりなどはありますか?

鈴木:そうですね……そういう役がものすごく多いので、よく聞かれるんですけど(笑)。それぞれの役柄の心に流れる気持ちはすごく意識しているかもしれません。

例えば、『東京卍リベンジャーズ』の将貴と、「自転車屋さんの高橋くん」の遼平は同じ不良であってもその中に流れる気持ちや、目的は全く違うんですよね。将貴は「人を引きずりおろそう」「いなくなってしまえばいい」といったダークサイドの人間の心が流れてると思うんですけど、遼平は違う。ちょっとした人の変化に気がついてあげて、そこに対して自分の気持ちを恥ずかし気もなく淡々と発言してあげられる力がある人なので、それが遼平自身の魅力だなあ、と感じています。

役柄それぞれの優しさ


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――今クールでは、「自転車屋さんの高橋くん」のほか、「ファーストペンギン」(日本テレビ系)にも出演されています。演じられる永沢一希は「いわばお助けマンのような存在」と紹介されていますが、高橋くんと少し通ずる部分もあるのでしょうか。

鈴木:タイプの違うお助けマンではありますね。「ファーストペンギン」はよそから来た一人の女性が寂れた漁業を復興させていく物語なんですけど、狭い村での新参者、しかもちょっと日本人には特にある女性に対する偏見みたいなものがあって。誰も彼女を認めなかった中で、永沢は「この女性は本当に、本気で取り組んでいるんじゃないか」ということにいち早く気づいて力になっていく人物です。遼平より、永沢くんのほうがより、「助けてあげたい」という気持ちが前に出ているのかもしれないですね。遼平は、背中は押してあげるけど、果たしてそれが結果的に正解か不正解かはわからない。良くも悪くも、今を生きていて、遼平は遼平なりの優しさは確かにあるけど、また少し違う気もします。

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――最後に、実写版「自転車屋さんの高橋くん」の魅力を教えてください。

鈴木:親近感のある日常を切り取った作品の中に流れている温かい空気や温かい言葉だったり、誰しもが悩んでしまうようなことや不安などが描かれている、ドラマなんですがリアリティある物語です。この温かい世界観が皆さんに愛される作品になったら本当にうれしいな、と思っています。

(ヘアメイク=永瀬 多壱(VANITES)/スタイリスト=jumbo(speedwheels)/撮影=渡会春加/取材・文=ふくだりょうこ)

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