Ⓒ山田貴敏 Ⓒ2022映画 「Dr.コトー診療所」製作委員会

2022年、それは“柴咲コウ”の凄さを再確認した年。

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2023年で俳優デビュー25年となる柴咲コウ

俳優としてだけでなく歌手(RUIやKOH+など複数名義あり)、さらに近年は実業家としても活躍の場を広げています。多方面で活躍すればするほど、演技に見るということが難しくなります。

その一方で2022年の柴咲コウは、連ドラ1本に加えて長編映画5本、監督も務めた短編映画1本と、完全に俳優モードな一面を楽しめました。

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2022年までの柴咲コウ

(C)2010「BR3D」製作委員会

柴咲コウは14歳の時にスカウトされ、1998年に16歳で俳優デビューを飾ります。その2年後の2000年には早くも『バトル・ロワイアル』で存在感を示します。

本作は、惜しまれつつも閉館となった渋谷TOEIのサヨナラ興行作品にもなった“元祖デスゲーム系”映画。当時のベストセラー小説を、その時すでに巨匠となっていた『仁義なき戦い』シリーズの深作欣二監督が映画化することで事前から大きな話題になった逸品です。本作で柴咲コウは殺人ゲームを楽しむ側の女子中学生役を怪演し、一躍注目の存在となります。

その翌年の2001年には一転して、等身大のキャラクターを演じた行定勲監督の『GO』で映画賞を総なめします。



20歳の時までにすでに俳優としてのキャリアを確立した感があります。その後も攻勢は続き、2003年の『黄泉がえり』では演技に加えて、演じた歌手のRUI名義で「月のしずく」をヒットさせました。

2004年には『着信アリ』に続いて「泣きながら一気に読みました。私もこれからこんな恋愛をしてみたいなって思いました」というコメント寄せたベストセラー小説の映画化『世界の中心で、愛をさけぶ』に出演します。


以降も意欲的に、話題作・ヒット作に出演しています。

  • 『日本沈没』(2006)
  • 『容疑者Xの献身』(2008)
  • 『大奥』(2010)
  • 『信長協奏曲』(2016)
  • 『燃えよ剣』(2021)

ドラマでも「Dr.コトー診療所」「オレンジデイズ」「ガリレオ」と続き「おんな城主 直虎」(2017)ではNHK大河ドラマに初出演&初主演を務めました。大人気作である「ガリレオ」で演じた内海薫は、実はドラマの企画によって生まれたキャラクター。(※)

※2022/12/17 18:30 一部表記を変更しました。



アーティスト活動も2002年からスタートして、先述のRUI名義の「月のしずく」、テレビドラマ版の「世界の中心で、愛を叫ぶ」の主題歌「かたちあるもの」、福山雅治とのスペシャルユニットKOH+として「KISSして」から「最愛」「ヒトツボシ」など、各テレビシリーズ・各映画のメインテーマを担当しています。ドラマ「Dr.コトー診療所」では、挿入歌「思い出だけではつらすぎる」を担当。

ちなみに柴咲コウはどちらも「自分が生き生きとできる場」であるとしつつも、演技は「総合芸術の一部」であり、歌手は「自分の内なるものを発露する場」という違いがあると語っています。

2022年の柴咲コウ


柴咲コウは俳優・アーティスト活動に加えて、2016年以降は実業家に挑むなど多角的な活動を見せています。(東京と北海道の二拠点で活動中)
多方面で活躍する一方で、2022年は俳優としての柴咲コウをたっぷりと楽しめる年になりました。

ドラマでは高橋一生と組んだクライムサスペンス「インビジブル」にて、事件のカギを握る犯罪コーディネーター“インビジブル”のキリコを好演しました。直前にヘアドネーションを行い、黒髪ロングのイメージをガラっと変えた金髪ショートボブの新鮮な印象が記憶に新しいでしょう。

そして映画では、短編映画集『MIRRORLIAR FILMS Season2「巫.KANNAGI」』で出演だけでなく、監督業も手掛けています。本作は今後、大きなポイントになるでしょう。

(C)2022映画「ホリック」製作委員会 (C)CLAMP・ShigatsuTsuitachi CO.,LTD./講談社

2022年公開の長編映画では、4月に蜷川実花監督によって映画化された『ホリック xxxHOLiC』で壱原侑子を好演。人気コミックの人気キャラクターのため、寄せられる期待のハードルが高いなかでも、2次元のキャラクターを見事に3次元に昇華していました。

9月からは4ヶ月で4本の長編作品出演し、その全てにおいてメインキャスト級を務めています。

(C)2022「沈黙のパレード」製作委員会

福山雅治=ガリレオ=湯川学とのゴールデンコンビが復活した『沈黙のパレード』は大ヒットを記録し、健在をアピールします。続いて「スカイハイ」のスピンオフを映画化した『天間荘の三姉妹』では大島優子・門脇麦・のん・寺島しのぶ・三田佳子といった各年代のトップ俳優と絡むイズコ役を演じました。

(C)2022「月の満ち欠け」製作委員会

12月は2作品が公開され、『月の満ち欠け』では大泉洋・有村架純・目黒蓮と共演。大泉洋とは夫婦役を演じ、注目を集めています。

そして映画『Dr.コトー診療所』が公開。16年ぶりの新作にして集大成となる完全新作です。実際にも劇中でも16年の月日が流れており、柴咲コウが演じてきた星野彩佳は“コトー”こと五島健助と結婚していて、お腹には新たな命がいるという設定。 

Ⓒ山田貴敏 Ⓒ2022映画 「Dr.コトー診療所」製作委員会

主演の吉岡秀隆、柴咲コウのほか、時任三郎・大塚寧々・筧利夫・泉谷しげる・小林薫・朝加真由美・大森南朋のレギュラー組に加えて、本作限定で俳優復帰した富岡涼も出演します。さらに、今や主演級ともいえる堺雅人・蒼井優・伊藤歩・神木隆之介がドラマ版と同役という面白い形で出演していることも嬉しい演出です。(映画の新キャラクターである生田絵梨花・髙橋海人の演技も見どころ)

2022年の柴咲コウは、『沈黙のパレード』(ガリレオ)『Dr.コトー診療所』に出演したことにより、期せずしてかつての当たり役への復帰が続きました。『沈黙のパレード』の内海薫役は約14年ぶりであり、『Dr.コトー診療所』の彩佳役は約16年ぶりです。

実際の自身の年月をキャラクターの年月に重ねて、湯川学や五島健助との関係性の深さを上手く演じ切っています。

 芯の強さに裏打ちされた柔軟性

Ⓒ山田貴敏 Ⓒ2022映画 「Dr.コトー診療所」製作委員会

2022年の映画群を見て、改めて柴咲コウが演じる役の“振り幅の広さ”を実感しました。

『ホリック xxxHOLiC』や『天間荘の三姉妹』ではミステリアスで戯画化されたような役を演じた一方で、『沈黙のパレード』『月の満ち欠け』『Dr.コトー診療所』の役は“等身大”でした。

この両極端な役を交互に演じても説得力を与えてくれるのは、柴咲コウという俳優に圧倒的な芯の強さ、頼もしさがあるためでしょう。

俳優活動最初期に『バトル・ロワイアル』でブレイクした後、『GO』で賞レースを賑わした頃から頼もしさはありましたが、近年はより一層頼もしさを感じられます。

さて、次はどんな顔を見せてくれるでしょうか?例えば、近年では珍しいストレートなラブストーリーであれば、個人的にはかなり嬉しいところです。

(文:村松健太郎)

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