「星降る夜に」第4話:一星(北村匠海)のバックハグはたまらんし、春(千葉雄大)の苦悩がつらい
本作は、恋愛ドラマの名手・大石静が紡ぐ大人のピュア・ラブストーリー。人に本音を吐けない孤独な産婦人科医・鈴(吉高)と、音のない世界で自由に生きる遺品整理士・一星(北村)。10歳差の2人が既成概念をひっくり返し、新たな価値観を見せる物語から目が離せない。
本記事では、第4話をCINEMAS+のドラマライターが紐解いていく。
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「星降る夜に」第4話レビュー
「子どもかと思ってたけど、私なんかよりずっと優しくてまっすぐで強いんだね」 無料メールマガジン会員に登録すると、 無料のメールマガジン会員に登録すると、
一星(北村匠海)の魅力に、鈴(吉高由里子)も視聴者もあらためて気づいた前回のラスト。
もっと一星と話したい鈴は、より一層手話の勉強に熱が入る。
2人のデートシーンが大変よかった。まず、白いワンピとコート姿で走ってくる鈴が可愛すぎる!
撮りたくなる気持ちもわかる。
雑貨屋さんを見て、一星がバックパックをしていたときに知り合ったギリシャ人がやっているレストランでお腹いっぱいになって……ひたすら楽しそうな時間だった。途中、食券がうまく買えなくて困っているおじいさんを見つけて助け、ハイタッチする一星。微笑ましいおせっかいだ。
わからない手話があるとその場で調べる鈴の前で、レストランの曇ったガラスに文字を書き始める一星。
「ス」で始まったので「スキ」って書くの? と思いきや、書かれた文字は「ステイ」。
「手話頑張りすぎ」「ゆっくりゆっくり」「俺と話したいと思ってくれるのがうれしいから、頑張りすぎないで?」と気遣いを見せた。優しすぎてたまらん。しかも、鈴に告白した後にキスしようとして言われた「ステイ」をここで応用してくる粋さがいい。
「ゆっくりゆっくり」という手話、観ながら思わず真似してやってしまった。
「よきよき」といい、人の名前といい、使ってみたくなる手話がたくさん出てくるドラマだ。
そして今回焦点が当たったのは、一星の同僚で親友の春(千葉雄大)の物語。妻のうた(若月佑美)は
深夜(ディーン・フジオカ)に妊娠を告げられたが、にこりともしなかった。
うた自身は内心うれしかったのだが、春は「わからない」「責任があることはわかっている」と言う。「そう言うと思った」と言ったうたは、春の気持ちが一番大事だから、と言う。
春は一人でマロニエ産婦人科医院を訪れ、いつまでなら中絶できるか尋ね、自分の気持ちを打ち明けた。
春とうたは、同じ会社の同僚だった。激務だけど楽しい仕事の中で意気投合した2人はすぐに結婚。
うたがどんどん評価を上げて仕事を任されていく一方で、春は怒られることが多かった。
毎日くたくたな2人は、会話も減っていった。ある日仕事に行けなくなった春は、休職ののちに辞めることになったが、家を出られない日が続いた。うたはそんな中でも全く文句を言わず「家のことをしてくれてありがとう」と言ってくれていたが、春はかえって生きてて申し訳ないという気持ちを募らせてしまった。
「新しい会社にも行けるようになったけど、今はまだ底なんです」と、親になる自信がないことを告げた。
客観的に見ると、仕事の向き不向きの問題で、春には向いてない仕事だったのでは……という気もするが、実際に自分が挫折を味わった側だったら、自信を喪失してしまう気持ちもわかる。
春が悪いわけではないし、産婦人科医である以上このようなケースに対応するのは仕方ないのだが、望んでいた赤ちゃんと、妻までも喪った深夜は複雑な気持ちだったろう。看護師の蜂須賀が「さっきの旦那さんの言ってること、わかる気がする」「お産は感動するけど関われば関わるほど、産めないなって思う」とこぼす。
鈴も「私たちは無力、それでも何かしてあげたいとは思うけど……」と言う。難しい……。
春の様子を気にしていた一星は、鈴に「黙って見守る優しさもあるよ」と言われていたが「そういうの俺苦手」と答えた。鈴は「知ってる」と言ったし、観ているこちらも「でしょうね!」と思った。
優しくてお節介な一星は、やはり放っておけず話しかけてしまう。
「子ども、うたに似るといいね」「名前考えてやるよ」と話しかけたが、タイミングが悪かった……。
春は怒りをあらわにして「黙っててくれよ。俺はそんなに強くないんだよ。お前みたいに耳が聞こえなかったら、お前みたいに自信満々に笑って生きられない。もし生まれてくる子の耳が聞こえなかったら、そんなの俺は無理だよ。抱えきれないよ」と言って部屋から出ていってしまう。
部屋の外で聞いてしまった北斗(水野美紀)の娘・桜(吉柳咲良)、「悪気はないよ」「一星は悪くないよ」と瞬時にどちらのこともフォローしていて、いい子だ。「俺が悪いんだ」と悲しそうに微笑む一星。優しい奴だ。
北斗は桜のことを「私の子、かわいいうえに頭もいい!」とほめていたが、実は北斗の元夫の連れ子で血のつながりはないことが判明して驚いた。人生いろいろだ。
元気のない一星を見て、鈴とケンカをしたのかと勘違いした祖母・カネ(五十嵐由美子)は、「今日は私の誕生日です」「好物はシャンパンとビザ」と嘘をついて鈴を呼び出す。おばあちゃん、キュートで機転がきいて最高!
デートのときに鈴が見ていた、星が降っているように見えるネックレスをこっそり買っていた一星。
プレゼントしてつけてあげて、バックハグ、「鈴が好き」「鈴が大好き」と、バックハグの体制のまま、鈴の顎のところで手話をするの、めちゃくちゃよかった。その後のキスシーンもよかった。
そんな中、帰宅したうたが玄関でお腹が痛いと倒れてしまい、SNSに「雪宮鈴は人殺し」と書き込まれる……。ま、まだ逆恨みしてる人がいるの……? 次週はつらい展開になりそうだ。
出産の素晴らしいシーンと、生まれたのに子を置き去りにする母親や妊娠を喜べない親、無事に生まれないケース。
産婦人科医の割り切りと、それでもなんとかしたい気持ち。
一星のおせっかいで救われる人と、怒り出す人。
これまで明るく楽しそうな様子が印象的だった春の苦悩。
さまざまなものごとや人の相反する面に焦点を当てるこの物語が、とても好きだ。
(文:ぐみ)
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