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2023年02月19日

「Get Ready!」第7話:エース(妻夫木聡)が命を選ぶ理由。救った命に責任を持てるか?と問いかける衝撃のラスト

「Get Ready!」第7話:エース(妻夫木聡)が命を選ぶ理由。救った命に責任を持てるか?と問いかける衝撃のラスト

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妻夫木聡主演のドラマ「Get Ready!」が2023年1月8日放送スタート。

本作は、多額の報酬と引き換えに、手段を選ばず患者の命を救う正体不明の闇医者チームの活躍を描いたダーク医療エンターテインメント。闇医者チームのメンバーには、主人公で孤高の天才執刀医・波佐間永介(通称:エース)を妻夫木、その相棒である交渉人・下山田譲(通称:ジョーカー)を藤原竜也、凄腕オペナース・依田沙姫(通称:クイーン)を松下奈緒、若き万能ハッカー・白瀬剛人(通称:スペード)を日向亘が演じる。

本記事では、第7話をCINEMAS+のドラマライターが紐解いていく。

「Get Ready!」第7話レビュー


人間には等しく「生きる権利」がある。おそらく、その言葉に反論する人は少ない。しかし、同様に「死ぬ権利」があるかと言われたら、多くの人がしばらく考え込んでしまうだろう。

あるいは、頭では「死ぬ権利」があると思っていても、実際に自分の身近な人がその権利を訴えたら、どうにか考え直してもらえるように説得するはずだ。たとえ、その人の人生に一生責任を持つことができない場合でも。

患者候補の“生きる価値”を見定めてから、手術をするかどうかを決めてきたエース(妻夫木聡)。彼には「自ら死を選んだ人間を救う必要はない」という一つのポリシーがある。

生きる価値があるのならば、手術を受けて生き延びるのか、それとも手術を受けずに死を待つのかどうかは患者本人が決める。実際、第4話で患者候補となった天才彫刻家の洋子(美村里江)は自らの才能と引き換えに命を選ぶことを拒んだ。

命を救う医者でありながら、エースは「生きることこそが至上」とは決して言わない。その理由が、いじめを苦に校舎から飛び降り、意識不明の重体となった女子高生・望月遙(畑芽育)が患者候補となる「Get Ready!」第7話で見えてきた。


遙は闇医者チームの天才ハッカー・スペード(日向亘)の初恋の人。中学の頃は先輩だったスペードが祖母に説得され、一年遅れで高校に入学したことで二人は同級生になった。

しかし、1歳年上ということでクラスでは浮いた存在だったスペード。そんな彼に気さくに話しかけてくれたのが遙だ。祖母が亡くなり、結局高校を中退することになったスペードに遙は「やりたいことが見つかったら連絡して」と言ってくれたが、そのまま連絡は取らずじまいに。自分が学校を去ってから遙がいじめを受けていたことを知ったスペードは何とかしてその命を救いたいと願う。

だが、自ら死を選んだ人間の命は救わないというエースの気持ちは変わらない。それに対し、「好きで自殺なんかするやつがいるかよ」と猛反発するスペードは、まず手始めに遙とその友人である夏美(池間夏海)をいじめていたとされる里佳(竹内カンナ)の父親に手術費を払わせるため、いじめの証拠を独自に集め始める。


無事にいじめの証拠を見つけ、里佳の父親から手術費を払わせることに成功したスペード。だが、真実はもっと複雑だった。

まず、遙と夏美をいじめていたのは里佳じゃない。担任の林真利奈(前田亜季)だった。真利奈は暴力を伴わない、陰湿ないじめで最初は夏美を、そして夏美が不登校になってからは遙を精神的に追い詰めていった。普通なら学校に訴えることもできたが、真利奈は里佳の父親でもある学園理事長の愛人。

女手一つで育ててくれている母親に迷惑をかけたくないという思いもあり、ただ耐えることしかできなかった遙。どうすれば真利奈に反省させることができるかを考えた末に導き出した答えが、自分が犠牲になることだった。その思いを夏美と里佳は受け継ぎ、今回の計画を実行したのだ。


真実を知ったスペードはエースに「救ったとして、生きられるのか」と問われ、「俺が守るから」と答える。その思いを受け、エースは遙の意識を回復させるだけではなく、ちゃんと歩けるようになり、もう一度生き直せる治療を施す。結果として、遙は松葉杖をついて歩けるまでに回復した。

しかし、ラスト5分で急展開。遙は学校に復帰して早々、カッターナイフで真利奈の腹部を刺した。一命はとりとめたが、殺人未遂で逮捕されることは間違いない。遙はエースに繋いでもらった命を復讐に費やしたのだ。

スペードはようやくエースが命の選別をしてきた本当の意味を知る。「生きる価値って割り切れるものじゃない」と語るスペードの思いもわかるが、割り切れないからといって、救った命に最後まで責任を持てるのか。持てないのであれば、中途半端に救うべきではない。エースがスペードに放った「ちゃんと生きられるって言ったのはお前だろ」という言葉は重い。

「死にたい」という人に「そんなこと言わないで」「生きてさえいれば、必ずいいことがある」「生きててほしい」と声をかけてしまいがちな私たちの胸にもその言葉は刺さる。だからといって、じゃあ「わかった」と言ってその選択を受け入れるべきとも思わない。

簡単には答えを出せない問題であることを示唆した回だったように思う。


人一倍、誰かの命を救うことに慎重なエース。彼はどういう人生を歩んできたのか。今わかっているのは天野真一という本名。そして、千代田医科大学附属病院に勤めていたが、臓器移植手術の不正が発覚し、姿を消したということだけだ。どんな病気も治してしまう若き天才外科医に過去何があったのか。ついに次週明らかとなる。

(文:苫とり子)

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