映画『湯道』&「湯道への道」が教えてくれる”人生”の幸せ


もはや1本の映画!スピンオフ「湯道への道」

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映画のスピンオフドラマ「湯道への道」が、Amazon Prime見放題で配信されている。「映画『湯道』ができるまでにはこんな物語があったかも?」という架空のコメディドラマだ。生田斗真と窪田正孝が主演で、本編とは異なる人物を演じている。1時間39分のため、もはや1本の映画だ。

生田演じるペテン師と、窪田演じる湯道の家元が、湯の映画作り目指して仲間を増やしていく。2人を取り巻く登場人物として中村アン、平泉成、竜雷太など、豪華な面々が出演している。

『湯道』を観た人はもちろん「湯道への道」だけでも楽しめるつくりになっている。特に映画好きな人には特に観てほしい。騙されたと思って、この「湯道への道」だけでも観てみてほしい。

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■ペテン師・生田斗真とピュアな窪田正孝

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まず注目したいのが、主演2人のキャラクター造形だ。本編でそれぞれ活躍しつつガッツリ絡むことのなかった2人が、ひょんなことから映画作りに奔走することになる。

湯道の家元・梶山(窪田)は自分の代で終わりを迎えようとしている状況に絶望し、自ら命を絶とうとする。そこへ借金取りに追われて逃げ込んできたペテン師・安藤(生田)がやってきて、梶山を助けるのだ。実のところ安藤は泥棒をしようとしていたのだが、素直な梶山は湯道に入門しにきたと思い込んでおり、引くに引けなくなってしまった。

映画本編で演じている役もそれぞれ魅力的であり、スピンオフドラマで演じている役も、別の角度で“ファンが見たかった生田斗真”や“ファンが見たかった窪田正孝”なのではないかと思う。

生田斗真が演じる安藤は柄シャツにオールバックの長めの髪の毛、金のことしか考えておらず、口から出まかせを言うのが大得意。チャラくてうさんくさい服装がめちゃくちゃ似合う(ほめている)。

お調子者でしょうもなくても憎めないところは、本編で演じる史朗とも通じるかもしれない。湯道の話も全く信じていなかったが、金になるかもしれないと思うとやる気に。

窪田正孝が演じる梶山は、本編の梶と同じく湯道に関わる者。だが梶が家元の内弟子を演じていたのに対し、梶山は彼自身が湯道の家元。梶はクールな人物だったが、梶山は世間知らずでピュアな感激屋。安藤が湯道に興味があると聞き、喜んでハグする。

映画を一度も観たことがなかったが(そんなことある!?)、初めて観て号泣。きっちりスーツを着込み、同じオールバックでも安藤とは違いきっちりと撫でつけられた髪型といういで立ちも似合っている。

この正反対の2人が生み出すケミストリーがまた面白いのだ。インチキ占い師に声をかけられて素直に信じてしまう梶山と、こんな話聞くなと遮る安藤。あまりの梶山のまっすぐさに、安藤が気圧されてしまうシーンもしばしば。この2人は映画を作れるのか

■あなたはいくつ見つけられる?名作映画オマージュ

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「湯道への道」の注目ポイントは、邦画洋画問わず、名作映画のオマージュがそこかしこに散りばめられていることだ。

最近だとアニメ「チェンソーマン」OPにたくさんの映画のオマージュが入っていることが話題になったことも記憶に新しい。「湯道への道」もほぼ全編にわたって、名作映画のオマージュだとわかるシーンが入っている。

例えば序盤に『シャイニング』『スタンド・バイ・ミー』『レオン』などを彷彿とさせる部分がある。特別映画好きでなくても、パッケージに使われているシーンが出てくるため、ピンとくる瞬間があるはずだ。

人生で初めて映画に触れた梶山が映画にハマっていく様子も描かれるため、彼が有名すぎるハリウッド映画の名シーンを再現するところもいくつか見られる。

映画愛にあふれていて、制作陣も楽しんで作っていたのだろうなということが伝わってくる。きっと筆者も見つけきれていないと思うので、我こそは映画好きという方はぜひ観てみて見つけてほしい。

当たり前にある幸せに気づき、抱きしめたくなる映画



日常に潜む幸せに気づかせてくれる、映画『湯道』。お風呂っていいな、ささやかな幸せに気づける人になりたいなとあらためて感じた。

そして家のお風呂でも困りはしないが、“行きつけの銭湯”がほしいなと思った。映画を観た後に検索したらかなり少なく、映画で言われていた状況のように、立ち行かなくなっている銭湯は多いのだろうと痛感した。近々、銭湯に足を運んで、風呂上がりに牛乳を飲んで「く~!」と言いたい。

ぜひみなさんも観てほしいし、観たあとに気が向いたらお近くの銭湯に行ってみてほしい。湯 make me happy!

(文:ぐみ)

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Ⓒ2023映画「湯道」製作委員会

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