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2023年03月06日

「どうする家康」第9話:大たわけ! と言われても。家康の学びとは

「どうする家康」第9話:大たわけ! と言われても。家康の学びとは

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2023年1月8日放送スタートしたNHK大河ドラマ「どうする家康」。

古沢良太が脚本を手がける本作は、弱小国の主として生まれた徳川家康が乱世を生きる姿を描いた波乱万丈エンターテイメント。大河ドラマ初主演となる松本潤が従来のイメージとは異なる「ナイーブで頼りないプリンス」の家康に扮する。

本記事では、第9話をCINEMAS+のドラマライターが紐解いていく。

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「どうする家康」第9話レビュー

澄んだ瞳にハッとする。
本多正信。彼には彼なりのポリシーがある。


家臣たちに裏切られ、疑心暗鬼になり「怖くて仕方がない」と自室に閉じこもってしまっている家康(松本潤)。
いや、怖くて仕方がない、って貴方がそんなことを言っていてどうするの、という話である。
まだ戦中であるというのに、主がこれでは士気が下がって当然だ。

そんな家康にカツを入れたのは鳥居忠吉(イッセー緒方)。
道はふたつのひとつ。主君は家臣を信じるほかないのだということ。もうひとつは、少しでも謀反の疑いがある者は殺せ、ということ。それってどんな鎌倉殿……。


腹をくくった家康は、みなの前に姿を現し、「ついてきたい者だけが来い」と言い、戦場へと赴く。
要は、主の腹が坐っていなければ、家臣たちも迷いが出る。兵だって真っすぐに走っていけない。
形勢は逆転。松平側がぐんぐんと押していく。

 
そんな家康の傍らで描かれるのは正信(松山ケンイチ)の過去だ。
戦で連れ去られた幼馴染の玉(井頭愛海)。
その後、遊び女となっていた玉と再会するが、彼女は傷を負い、神仏にすがり、死を願っていた。
こんな世にいても何も良いことはない――。
戦国の時代はむごたらしい。裏切者の一族は処刑されるシーンも描かれていたし、略奪だって起こる。
でも、実は戦国の時代だからではなく、戦とはそういうものなのだ。命も物も、心も奪っていく。
だからこそ、主は民たちを守るために動かなければならないのだ。
 

信長(岡田准一)の命もあって、本證寺との和睦を進めることになる家康。
寺も全て元通り。空誓(市川右團次)の目を見てそう約束するが、もちろん腹の底では違う。許してしまえば、しめしがつかない。

そして正信。彼は切腹を覚悟していた。だからこそ、家康に想いをぶちまける。

「仏にすがるのは現世が苦しいからじゃ。生きているのが辛いからじゃ」
「殿が……お前が民を楽にしてやれるのなら、誰も仏にすがらずに済むんじゃ」

自分はその役目をはたしてないくせに、民からは救いの場を奪う。
 
「この大たわけが!」

それに対して、家康は表情を歪める。

「とうに悔いておる」

どのような過ちを起こしたのか、家康は気がついている。
自分がしてしまったことの愚かさ、恵まれている自分の生活の尊さを知る。

確かに、その日の米が食べられない者がいるというのに、妻と子どもを取り返すために戦をする、という家康の行動も民からすれば正気の沙汰ではないかもしれない。
それでも、民のために動いてくれてもいたら、気も収まるだろう。そうでなければ……。

「どうする家康」の家康はわりと好き勝手にしていて、それを周りの家臣たちが育てていっているようなイメージだ。
その中でも何人かの家臣たちは成熟していて、さまざまな地獄も目にしているであろう正信はその筆頭かもしれない。

家康は正信を殺さず、三河から追放とした。
彼は家臣を信じ、進んでいく。

今回は正信=松山ケンイチ回だったわけだが、魅力がてんこ盛りである。
登場時からの飄々とした表情だけではなく、悲しみ、怒り、憂い。戦場に出ないから武芸がダメかと思いきや、とんでもない弓の腕前を見せた。

だからこそ、家康のふがいなさも際立つのだろう。
本当に「家康、どうするつもり!?」と言いたくなる回が続くが、いまだ家康は成長過程である、と毎回思う。その証拠に、終盤の家康は前回の家康より、ほんの少し学びを得ている。


それにしても、個人的にも松山ケンイチの魅力を改めて実感した回だった。
何よりよく通る美しい声に聞き惚れてしまう。
再び、彼が家康のもとに舞い戻ってくるときが楽しみだ。

(文:ふくだりょうこ)

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