(C)2023青山剛昌/名探偵コナン製作委員会

『名探偵コナン 黒鉄の魚影』コナン映画史上最高の4DXとなった「5つ」の理由


1:ホエールウォッチングの疑似体験!


今回のコナンたちは八丈島にホエールウォッチングに行く。そして、座席にプシュっと吹きかかる水と、劇場全体に降る雨の演出によって、クジラが海上へ飛び上がり、また海に落ちた時の水しぶきを表現しているのだ。

つまり、これはホエールウォッチングの疑似体験。そのシーン自体はごく短いおまけ程度のものではあるのだが、4DXの演出が序盤からさっそく「おもてなし」をしてくれるのが嬉しかった。

2:バラエティ豊かな海上&海中アクション!

本作の主な舞台は海洋施設であり、サブタイトル通りに潜水艦(submarine)が登場する。もうお分かりだろう、前述したホエールウォッチング以上に、座席に吹きかかる水と雨によって、海洋施設×潜水艦という組み合わせだからこその、水しぶきがかかる海上での様々なアクションを演出しているのだ。

さらに、海中に潜ってからの、阿笠博士の発明品により勢いよく移動する様、はたまた「水をかいくぐる」ような抵抗感も、座席の動きにより存分に感じさせてくれた。その他にもバラエティ豊かな海上&海中アクションが待ち受けているので、楽しみにしてほしい。

3:ターボエンジン付きスケボーも加わったカーチェイス!

4DXともっとも相性が良く、かつコナン映画の定番と言えるのがカーチェイス。今回は冒頭からバイクでのチェイスが展開する上に、中盤ではこれまたコナン映画のお約束である「ターボエンジン付きスケボー」も加わった派手なカーチェイスの大サービスが待ち受けていた。

そのカーチェイスで、急カーブでの傾きが座席の動きで表現されているのは序の口、地面スレスレのスリルは座席下の「くすぐり」で、スピード感は劇場全体を吹く風でも表現されているのだ。コナンに同調して、ターボエンジン付きスケボーに乗る体験をしたい方も必見だ。

4:蘭姉ちゃんの空手がアクロバティックな領域に!

さらに4DXと相性が抜群なのが格闘シーン。今回は空手の使い手でもはや人間離れした強さを誇る蘭姉ちゃんがやってくれていた。その動きはキレキレを超えてもはやアクロバティックで、もちろんその動きに合わせて座席がまあ揺れる揺れる。もはや良い意味で笑ってしまう勢いだった。

しかも、その蘭姉ちゃんの拳がクリーンヒットする様を座席の後ろの衝撃で、もしくはギリギリで避ける様をプシュッと吹き付けるエアーで表現してくれる。さらに笑ってしまったのは、蘭姉ちゃんがとある理由で小五郎のおっちゃんを殴るシーンで、その重いダメージがとある演出によってより伝わりまくったのである。

5:阿笠博士のクイズもフラッシュでより楽しく!

コナン映画のお約束はまだまだある。それは「阿笠博士のクイズ」パート。4DX上映では、出題のタイミングや、何かを思いついた時に、劇場の斜め上にある照明が光るのである。

つまりは、「わかった!」な感じの「閃き」をフラッシュの演出に見立てているというわけ。それだけと言われたらそれだけなのではあるが、なんだか楽しいのでオールオッケーである。

もはや爆笑ものの4DX全部乗せクライマックス!

ネタバレになるので詳細は何も書かないでおくが、クライマックスのアクションは、やっぱりコナン映画のお約束でものすごく派手である上に、「待ってました!」と言わんばかりに4DXの演出が凝縮して全部乗せされていたので、そのゴージャスさにもはや爆笑してしまった。

近年のコナン映画はアクションの荒唐無稽さが良い意味で笑って楽しめる領域になっているので、そこに4DXをプラスしてこそ、さらなる笑いを夢いっぱい詰め込めるということでもある。まあ、今回のクライマックスに笑ってしまった理由は、とあるキャラの扱い(これ自体がもうギャグ)のせいでもあるけども。

灰原哀ファンが「ありがとうございます」と拝む内容に

この『黒鉄の魚影』の作品全体の印象を告げておくと、今回は人気キャラクターである灰原哀の、灰原哀による、灰原哀のための映画だったということに尽きる。


これまた詳細は書かないでおくが、「観たかった灰原哀の姿」「観たかった他キャラクターとの関係性」「灰原哀のこういうところがいい!」が、もう出し惜しみなく提示されていたのだから。作り手の「哀ちゃん愛」が伝わったし、彼女のファンであると「ありがとうございます」と拝みながら観るに違いない。ていうか、哀ちゃんとコナンくんの関係性はもちろん、別のとある関係性が悶絶するほど尊かったよ!その先に待ち受けているあの展開の尊みのために天に召される人が出かねないよ!

また、コナン映画は原作漫画の物語がある以上、キャラクターの関係性を進ませることが難しいという問題があるのだが、今回はそこも見事にやってくれていた。灰原哀が、なぜ予告編にもある「バイバイだね、江戸川コナンくん」と言ったのか、その絶望的状況からどのようなコナンとの関係の変化があるのか。それはもう脳髄の奥まで届く尊みであった上に、「これから」の物語にさらなる期待ができるものだった。

さらに、他キャラクターの萌えっぷりにもさらに拍車がかかっており、個人的にはウォッカにも超萌えた。いや悪人ではあるんだけど、慌てふためきながらもがんばる姿を応援したくなったよ!



合わせて観ておくといい映画はこれだ!

前述した『灰原哀物語』以外に、もうひとつ『黒鉄の魚影』と合わせて観るのをおすすめしたい作品がある。それは劇場2作目である『14番目の標的』だ。

【関連記事】『名探偵コナン 14番目の標的』の魅力

両者は「海洋施設が舞台」という見た目にもわかりやすい共通点があるのだが、それだけではない。これまた詳細はいっさい明かせないのだが、今回の『黒鉄の魚影』は『14番目の標的』のリスペクトとさえ思える展開があるのだ!賛否両論もあるかもしれないが、個人的にはコナン映画を長く観続けたファンへのご褒美でもあると受け取った。

それ以外にも、コナン映画はつくづくファンを喜ばせるサービスが上手いと思えることばかりだ。「人気キャラを満遍なく活躍させる」「関係性に萌えさせてからの燃える展開」など、かなりの計算の上で作られていることがわかるし、だからこそさらなる厚い支持を得ているのだと感服するばかりだ。この際、推理要素がおまけのような扱い&ツッコミどころ満載なのは気にしない!

もちろんディープなファン以外にも広く開かれている、日本のエンターテインメントの最前線、そしてキャラ萌え&関係性萌えの極致が、間違いなくコナン映画シリーズだ。ぜひ4DXも「盛って」最大限に楽しんでほしい。

(文:ヒナタカ)

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