©和久井健/講談社 ©2023 映画「東京リベンジャーズ 2 血のハロウィン編」製作委員会

高杉真宙、滲み出る“内側”を演じる魅力

©和久井健/講談社 ©2023 映画「東京リベンジャーズ 2 血のハロウィン編」製作委員会

2023年4月21日・6月30日に前後編で公開される『東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編』で新キャラ・松野千冬を演じ、4月から始まったドラマ「わたしのお嫁くん」では山本知博を演じる高杉真宙

俳優の中では「この役は彼らしい・この役は意外」と言われがちな、“高杉真宙らしさ”のイメージがあるほうだと思うが、どういうところが”高杉真宙らしさ”だろう。

彼がこれまで演じてきた役を振り返りつつ千冬の見どころもネタバレにならない程度にお伝えし、あらためて彼の魅力に迫りたい。

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『虹色デイズ』将来に悩むリア充優等生

(C)2018「虹色デイズ」製作委員会 (C)水野美波/集英社

少女漫画原作、男子高校生4人組の青春と恋を描いた『虹色デイズ』。佐野玲於・中川大志・横浜流星・高杉真宙という豪華な顔ぶれが4人を演じた。高杉真宙が演じた“つよぽん”こと直江剛は、比較的“高杉真宙っぽい”役かもしれない。

4人の中で唯一勉強ができて彼女持ち、一人だけ制服の着方がかっちりしている。モテるが本当の恋を知らないまっつん(中川大志)と恵ちゃん(横浜流星)、そして初恋に奮闘するなっちゃん(佐野玲於)を一歩引いて見守る感じのポジション。

実は本人も東京の大学に進みたいが、彼女のゆきりん(堀田真由)と離れ離れになりたくない気持ちもあり葛藤している。アニメが好きで、同じ趣味を持つゆきりんとはコスプレを楽しんでいる。

(C)2018「虹色デイズ」製作委員会 (C)水野美波/集英社

友達同士でつるむときはもちろん、彼女のゆきりんとのやり取りがいいのだ。2人だから生まれる空気感や彼氏感がたまらない。ゆきりんもつよぽんのことを本当に好きなうえで彼の人生を優先しようとするよくできたいい子なのだ。

顔が見えない状態で「行きたい大学に行きなよ」と言うゆきりん(お面の下では泣いている)に対して、つよぽんは「顔見せて」とちゃんと気づくいい彼氏。より切なさが伝わってきた。

「婚姻届に判を捺しただけですが」本気の恋に出会ったチャラ男



おそらく多くの人にとって意外だったであろう、チャラ男を演じたのがドラマ「婚姻届に判を捺しただけですが」

主人公・明葉(清野菜名)が行き倒れそうになっていたところに米を恵んで助けた、ノリが軽めの唯斗は、男女ともに友達が多くモテる。動物病院の看護師をしており、飼い猫を連れてきた明葉と再会。彼女ことを本気で好きになり、偽装結婚相手の百瀬(坂口健太郎)に対抗できるよう、獣医師を目指して本気で勉強する。

これまでチャラチャラした役は多くなかったと思うのだが、モテ男を演じることで彼のビジュアルのポテンシャルが十二分に生かされていた。

明葉を振り向かせようとするも、彼女が百瀬を好きなのを知っているため結局は「一生不毛な恋してろ、バーカ」と百瀬の背中を押してしまう、お人好しなところも含めていいキャラだった。



ちなみにParaviでのスピンオフ「とにかく婚姻届に判を捺したいだけですが」では、この役を活かした壁ドンやどアップなど、チャラい高杉真宙を堪能できるのでぜひ観てほしい。

【関連記事】<独占インタビュー>高杉真宙:「婚姻届に判を捺しただけですが」で強く共感したセリフとは?

「おいハンサム!!」高スペックモラハラ男



彼の役の中で珍しく嫌われそうなのが、ドラマ「おいハンサム!!」のエリートサラリーマン・学。昭和を引きずる父・源太郎(吉田鋼太郎)ととにかく男運がない3姉妹の物語で、学は三女・美香(武田玲奈)と合コンで知り合う。顔もいいし大企業勤めのエリートだが、徐々に彼のおかしさが明らかになっていく。

初めて美香の家にきたとき、ハエ取りグモをその辺にあったトロフィーで殺して黙っているし、「歩くときは右側にいてほしい」「半歩下がって歩いてほしい」と自分の物差しで相手を縛るタイプ(しかも価値観、古!)。映画好きな美香が鑑賞後に感想を言うと気に食わなかったのか、「どこで調べたの?無理しなくていいよ」と言う。

あくまで自分の立場が上でないと気が済まず、気に食わないことがあるとドタキャンしたり。一緒にいるのにわざと長電話したり。

「僕が(美香を)見つけてあげたよ」「なかなかいい白馬の王子様だと思うんだけどな~」と白馬の真似(なぜ馬側)をするヤバさ。最終的に美香に振られ、ちょっとだけ成長したように見えたのがせめてもの救い。モラハラ男役はびっくりしたけど、絶妙にうまかった。

「わたしのお嫁くん」人畜無害の家事男子と見せかけて……?



ドラマ「わたしのお嫁くん」で彼が演じるのは、憧れていた先輩・穂香(波瑠)が家事力皆無なことをひょんなことから知り、“お嫁くん”としてルームシェアすることになる家事力最強男子の山本知博(ちひろ)。家庭の事情から兄弟と家事をしてきたため料理も洗濯も掃除も完璧。

知博側は巻き込まれてルームシェアすることになったのかと思いきや、第2話ではこの状況を利用し、何とかして穂香を手に入れようとしていることがわかった。

あのプロポーズは本気ではなかったと謝罪する穂香に「嘘つき!俺のことお嫁さんにしてくれるって言ったくせに!」と言って嫁入りシミュレーションにこぎつけ、穂香がいい生活を送れるよう自分を犠牲に。

監視するあまり「嫁というよりお母さん」と言われて落ち込み、いろいろありつつもめでたくルームシェアにこぎつける。さらに穂香を押し倒して「朝まで嫁でいられるかはわかりません」という衝撃発言をして終了。

若干メンヘラ感がするし、執着が強そうで怖い。だがそこがいい。今後の展開がいろいろな意味で楽しみだ。

『東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編』見た目も中身も“千冬”そのもの

©和久井健/講談社 ©2023 映画「東京リベンジャーズ 2 血のハロウィン編」製作委員会

キャストの発表前から予想キャストに挙がったり、金髪になったことで「やはりそうなのでは?」と噂されていた『東京リベンジャーズ2』の千冬。まず、ビジュアルの再現が完璧だ。

さらにネタバレにならない程度にお伝えすると、アクションや中身の再現も素晴らしかった。一見かわいい見た目だがケンカが強いところ、慕う場地(永山絢斗)とのエピソード、要所要所の表情など、「千冬=高杉真宙は大正解だな」と思わずにいられなかった。

特に後編終盤のドアップで抜かれるシーンが最高なので、6月に公開される後編も楽しみに待っていてほしい。

【関連記事】『東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編 -運命-』の見どころ紹介!

舞台「TRUMP」運命に翻弄される孤高のヴァンプ(吸血鬼)



筆者が彼の演技をがっつり目にしたのは、2015年の舞台「TRUMP」Truth公演だった。高杉が演じた主人公・ソフィは、優秀だが人間とヴァンプの混血(ダンピール)であるために周りから疎まれ、ほぼいじめのような扱いを受けている。そんな扱いに決して屈さない、気高さと意志の強さを感じるソフィ役は絶品だったし、ゴシックな衣装が似合っていた。

名家の生まれである同級生・ウル(早乙女友貴)に好かれ、ティーチャー・クラウス(陣内将)に執着されることで、ソフィーは運命の渦に巻き込まれていく。



「TRUMP」は「刀剣乱舞」や「鬼滅の刃」舞台を手掛けた末光健一のオリジナル作品で、15年続くシリーズものである。「TRUMP」という演目は複数回上演されており、高杉が演じたソフィーは作品をまたがって登場するキャラクター。ネタバレになるので俳優名は伏せるが、当時すでに演じられていたソフィーと思われる人物複数人の面影をそれぞれ感じるようなソフィーだった。

顔も背格好も違うのに不思議なのだが、彼の演技はシリーズ他作品のソフィーたちを彷彿とさせるすごさがあった。

ちなみにタイミングは違うが、山田裕貴も「TRUMP」に出演していたので『東京リベンジャーズ2』での共演は勝手に胸が熱い。機会があったらせひ観てほしい作品だ。

“高杉真宙らしさ”とは?



数作品振り返っただけでも、実にさまざまな役をこなしていて、その全てをものにしている高杉真宙。『虹色デイズ』でみんなに「キャラ違いすぎだろ、つよぽん」と言われ「勝手にキャラ決めないでください」と言っているシーンがあるが、まさにそうだろう。「高杉真宙ってこんなキャラ」とイメージを持つことがもはや失礼な気がしてきた。

ただ、あらためてわかったのは「ぱっと見Aだけど実はB」という、ぱっと見ではわからない内面を抱えている役、「皮をかぶっているけど中身は違いますよ」という表現が本当に秀逸なこと。

その役が持つ、複雑な内面まで表現できる。それこそが“高杉真宙らしさ”なのかもしれない。

(文:ぐみ)

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