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<隠しきれない魅力がオーバーフロー>ケイト・ブランシェットのおすすめ出演作“5選”

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アカデミー賞主演女優賞の獲得は逃したものの、5月12日(金)公開の『TAR/ター』が「キャリア最高の演技」と絶賛されているケイト・ブランシェット。オーストラリア出身の彼女はハリウッドを代表する俳優のひとりとして名を馳せ、日本でも出演作の多くが劇場公開されるほど知名度が高い。

今回はそんなブランシェットのフィルモグラフィの中から、おすすめの出演作を5作ピックアップ。作品情報と各キャラクターの魅力をご紹介していこう。

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実在のジャーナリストに扮した『ヴェロニカ・ゲリン』

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2004年5月に公開された『ヴェロニカ・ゲリン』は麻薬犯罪が蔓延るアイルランドを舞台にした史実作品。タイトルロールのヴェロニカ・ゲリンも実在した女性ジャーナリストで、街を腐敗させたギャングを取材する中で凶弾に倒れた。

約20年前の作品であり、興行的に苦戦を強いられたため印象は薄いかもしれない。とはいえ『フォーリング・ダウン』や『評決のとき』などの社会派作品を手掛けてきたジョエル・シュマッカーが監督を務め、『トップガン』シリーズでお馴染みのジェリー・ブラッカイマーがプロデュース作品でもある。

取材活動中に命を落としたゲリンだが、アイルランドの麻薬犯罪が減少するきっかけを作った象徴的な人物でもある。ブランシェットが演じたゲリンは時に大胆な行動も起こすが、組織の脅迫を受けてなお屈することのなかったジャーナリズムには感服するばかり。

ハリー・グレッグソン=ウィリアムズによる哀愁漂うアイリッシュサウンドとともに、彼女の勇姿を見届けてほしい。

アカデミー賞助演女優賞を獲得!『アビエイター』

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巨匠マーティン・スコセッシ監督とレオナルド・ディカプリオがタッグを組んだ本作は、実在した大富豪ハワード・ヒューズの華々しくも波乱の半生を描いた伝記ドラマ。第77回アカデミー賞で編集賞などを獲得したほか、キャサリン・ヘプバーンを演じたブランシェットに助演女優賞をもたらした。

スコセッシ×ディカプリオのタッグとあって、ヒューズの人生を切り取ったドラマの描き方は非常に濃厚。実業家であり映画製作者でもあるヒューズの破天荒ともいえるビジネススタイルをリッチな絵面で見せつけつつ、それと同時に加速していく潔癖症や強迫観念による崩壊へのプロセスも生々しい。

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カメラはヒューズという個人を捉えているため、実は全編をとおして登場する人物は少ない。特に女性キャラクターはヒューズの遍歴からもわかるとおり、彼の前に現れたかと思えばいつの間にかフェードアウトしていく。ブランシェット演じるキャサリンもそのひとりではあるが、彼女の場合は芯にある強さとふとした瞬間に見せる脆さが印象に残る。

女優として名を馳せるキャサリンにとって、強引な手腕や浮き名で世間の注目を集めるヒューズとの関係性は脆い橋の上を歩くようなもの。出会いからたどるふたりの行く末は「よくある話」といえばそれまでだが、その後のヒューズの生活に影を落とすことになるほど重要なエピソードだ。

『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』ブラッド・ピットとの共演に目を奪われる

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ブラッド・ピットの名を一気に押し上げた『セブン』以来のタッグとなる、デヴィッド・フィンチャー監督作の『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』。老体の状態で生まれ徐々に若返っていくベンジャミンの、文字どおり“数奇な人生”を描いたヒューマンドラマだ。

奇抜なアイデアに思えるが、あくまで地に足の着いたドラマに徹しているのでSF的な展開は描かれていない。ベンジャミンが誰と出会い、影響を受け、別れを経験するのかという点に主題が置かれ、普通の人とは肉体時間の流れが逆転しつつもひとりの男の人生そのものを映し出す。

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そんなベンジャミンが老齢時代(正確には少年時代だが)に出会った少女・デイジー。まだ幼いデイジーをエル・ファニング、大人になった彼女をブランシェットが演じている。

従来の恋愛ドラマとは異なり、歳を重ねていくデイジーと若返っていくベンジャミンの“時が重なる瞬間”は言葉で説明できるほど単純ではない。その瞬間は永遠に続くものではなく、片や歳を重ね続け、片や成年から青年へと変貌を続ける。想像し得ない苦悩と軋轢、そして解放の物語を丁寧に紡ぎ上げた本作は大きな余韻を残すはず。

意地悪継母を演じきった実写版『シンデレラ』

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誰もが知る童話『シンデレラ』を実写映画化した本作。シェイクスピア俳優にして数々の長編映画を手がけてきたケネス・ブラナーが監督のみに専念し、シンデレラ役にリリー・ジェームズを起用して世界興収5億ドル超のヒット作へと押し上げた。

1950年制作のアニメ映画同様、物語の軸となるのはシンデレラと王子の運命の出会い。魔法使い、カボチャの馬車、舞踏会、ガラスの靴などポイントをしっかり押さえたクラシカルな作品であり、同時に煌びやかな衣装や視覚効果も取り入れた現代的な雰囲気も兼ね備えている。

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そしてシンデレラと王子の物語に欠かせないのが、シンデレラの継母・トレメイン夫人の存在。一度でも『シンデレラ』に触れたことがある人なら、シンデレラを見下し王子との恋路を徹底的に邪魔する意地悪な性格を知っているはず。

とはいえ今回ブランシェットが演じた夫人はなぜそのような人物になったか背景も垣間見えるため、意地悪キャラという駒ではなくひとりの人間として見ることができる。

そんな複雑なキャラを厭らしさも包み隠さず表現してみせたブランシェット。彼女の魅力も本作が成功を収めた要因のひとつではないだろうか。

惚れてまうやろ……『オーシャンズ8』

(C)2018 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC., VILLAGE ROADSHOW FILMS NORTH AMERICA INC. AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC

ジョージ・クルーニーやブラッド・ピットをはじめ豪華出演者が話題を呼んだ『オーシャンズ』シリーズだが、キャストの華々しさという意味では『オーシャンズ8』も負けてはいない。しかも舞台となるのが毎年大きな注目を集める「メットガラ」とあって、出演者はもちろん煌びやかな雰囲気も驚くほどリッチなエンタメ作品といえる。

主人公はクルーニーが演じたダニー・オーシャンの妹デビー・オーシャン(サンドラ・ブロック)。冒頭の時点でダニーが既に亡くなっているというショッキングな導入ともいえるが、その点を深掘りする物語ではない。デビーが“ある目的”も秘めつつ、メットガラの会場で億単位の高級宝石を盗むべくメンバーを集めはじめる。

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ブランシェットが演じるのは、デビーの右腕的存在のルー・ミラー。ここで彼女の活躍ぶりをじっくり語りたいのだが、それ以上にルーという存在そのものが上手く言語化できないほど魅力的。性格はクールで頭の回転も速く、「それどうやったら着こなせるんですか」と聞きたくなる衣装ですらさらりと身にまとう。緻密でスリリングなデビーの強奪計画と、どんな時も彼女を支えるルーのシスターフッド的な関係性にもぜひ注目を。

まとめ

Photograph by Jessica Miglio (C)2013 Gravier Productions, Inc.

ケイト・ブランシェットの出演作は多岐にわたるため、今回は作品の選出時点から苦労させられた。実際に『インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国』のような生粋のエンタメ作やアカデミー賞主演女優賞を獲得した『ブルージャスミン』など、イメージにこだわらない自由な作品選びにこちらまでわくわくしてしまう。

そして全米ではイーライ・ロス監督とタッグを組んだ同名ゲーム原作の『Borderlands(原題)』が公開待機中。作品内でどんな姿を見せてくれるのか、日本でのお披露目にも期待したい。

(文:葦見川和哉)

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