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『大名倒産』公開記念!経済系コメディ時代劇おすすめ“5選”



長引く不景気に物価高、なかなかいい話が聞こえてきません。賃上げやらなにやらとも言われていますが、増税とか社会保障の削減に暗澹たる思いを抱いてしまいつつあります。

しかし不景気でお金感情に困るのは、何も今の人たちに限ったことではないようで、江戸時代の人たち、身分としては上にいるはずのお侍さんたちも大変困られていたようです。

そんな当時の実情を反映させた時代劇が最近多く作られるようになりました。そんな“経済系コメディ時代劇”のオススメ映画をご紹介します。

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1:『武士の家計簿』


古文書をもとに幕末の武士の暮らしを読み解いた磯田道史による教養書「武士の家計簿『加賀藩御算用者』の幕末維新」をもとに、森田芳光監督&堺雅人主演で映画化したのが本作。

2010年の映画であるため、今から考えると“経済系コメディ時代劇”の嚆矢といえる映画でしょう。

加賀藩に代々仕えてきた猪山家の八代目・直之は御算用者(経理係)を務めていました。しかし当時の武家社会では身分が高くなるにつれて出費が増えるという慣習があり、猪山家の家計もいつしか窮地に追い込まれてしまいます。

そこで彼らは、直之の提案で武家とは思えないほどの倹約生活を実行することになります。

堺雅人主演作品ということでも今となっては貴重ですし、妻として仲間由紀恵が共演するなど豪華な組み合わせとなっています。

原作はあくまでも教養書でしたが、巧みな脚色により秀逸なエンタメに仕上がりました。

2:『超高速!参勤交代』シリーズ

(C)2014「超高速!参勤交代」製作委員会

“経済系コメディ時代劇”の代名詞といえば、この『超高速!参勤交代』と続編の『超高速!参勤交代リターンズ』でしょう。

勇壮な大名行列で知られる“参勤交代”は元々、江戸幕府による“各藩の経済力を削ること”を目的とされたものです。

各藩の大名からすれば、地元と江戸との二重生活を強いられるうえに、地元と江戸を往復する大名行列は頭痛の種でした。であれば行列をコンパクトにしたりして経費節減すればいいのではないかと思うところですが、行列の規模感・様相は各藩の石高をもとにした明確な規定があって“安上り”にはできません。

『超高速!参勤交代』では佐々木蔵之介演じる弱小藩主が急に参勤交代を命じられ、しかも8日かかる所を4日で江戸に馳せ参じろ!というムチャブリが……。その裏には老中の思惑もあって……。

『リターンズ』では江戸から地元への帰還を描きますが、なんとここでは2日以内で帰参しなくてはならくなり、さらなるピンチが訪れます。

3:『殿、利息でござる!』

(C)2016「殿、利息でござる!」製作委員会

『武士の家計簿』の原作者である歴史家・磯田道史による評伝「無私の日本人」に収録されている一編を映画化。阿部サダヲの初主演時代劇。瑛太・妻夫木聡・松田龍平など豪華な面々が揃いました。

仙台藩の第7代藩主・伊達重村役でフィギュアスケーター羽生結弦(仙台出身)が出演したことも話題になりました。

重税に困窮した宿場町の造り酒屋の穀田屋十三郎は、藩に大金を貸し付けて利息を巻き上げるという奇策に打って出ます。

原作を読んだ中村義洋監督が原作にほれ込み、映画化するように熱心に働きかけたという逸話も残っています。

舞台が仙台ということもあって東日本大震災からの地方再生のテーマも込められている1本です。

4:『引っ越し大名!』

(C)2019「引っ越し大名!」製作委員会

『超高速!参勤交代』シリーズを手がけた土橋章宏の時代小説「引っ越し大名三千里」を原作にして、星野源主演、高橋一生・高畑充希の共演で「のぼうの城」の犬童一心監督のメガホンで映画化したのが本作。

参勤交代と同等かそれ以上に、大名にとって経済的に“大ごと”なのが国替。要は領地の変更です。石高が増えたり減ったりいろいろあるのですが、その最大の目的は大名と地元の間に濃密な関係性を持たせないため。江戸幕府は徹底した大名の力を弱めることに腐心していたんですね。

書庫にこもりがちな引っ越し奉行役を星野源が演じ、それを支えるしっかり者のヒロインを高畑充希が演じるというのはイメージ通りしょう。高橋一生が“快活な豪傑”というちょっと珍しい役柄を務め、クライマックスでは大立ち回りを演じているレアな。

5:『決算!忠臣蔵』

(C)2019「決算!忠臣蔵」製作委員会

江戸時代に起きた一大事件“赤穂事件”の顛末を描いた「忠臣蔵」。様々に描かれてきた「忠臣蔵」を題材に、限られた予算の中で仇討を果たそうとする赤穂浪士たちの苦労を描いた、これまでには無かった「忠臣蔵」の物語。

堤真一が大石内蔵助を演じる一方で、ナインティナインの岡村隆史が勘定方の矢頭長助を演じW主演を飾りました。監督は『殿、利息でござる!』の中村義洋なので安心の布陣です。

これまでの作品でも経済的に困窮した大名たちが登場しますが、赤穂浪士の面々はお家取り潰しにあった者たちで藩という後ろ盾もなく、経済的な困窮の度合いはさらに深刻なものに。

主君の仇討ちですら“志”だけでは済まないという事情は、現代にも当てはまりそうですね。

限られた予算の中でたった一回の仇討ちのチャンスをモノにできるかに注目です。

“経済系コメディ時代劇”最新作は『大名倒産』

© 2023映画『大名倒産』製作委員会

“経済系コメディ時代劇”の最新作といえるのが、6月23日(金)公開の『大名倒産』でしょう。目下NHKの連続テレビ小説「らんまん」に主演中の神木隆之介の最新作。

『るろうに剣心』で時代劇(?)は経験済みですが、“髷姿”を映画で披露するのは今回が初めてとのこと。

【関連】「ここに居てもいいんだ」30歳を迎えた神木隆之介が10代の頃の経験から心がけていること

原作は多くのベストセラー小説を手掛けてきた浅田次郎。監督は『こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話』『老後の資金がありません!』『そして、バトンは渡された』などの話題作を手掛け、今年は『大名倒産』に加えて長澤まさみ×松山ケンイチの『ロストケア』、広瀬すず最新作『水は海に向かって流れる』など3作の映画が公開される前田哲です。

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神木隆之介演じる間垣小四郎は自分が徳川の血を継ぐ者だと知らされ、丹生山藩主になることに。しかし、藩は25万両(現在の通貨にして100億円)の借財を抱えていることが明らかに。小四郎を藩主に担ぎ上げた者たちは、すべてを小四郎に押し付けて“藩の倒産”を宣言させて借財を踏み倒そうと画策していました。

脚本を『七つの会議』の丑尾健太郎とテレビドラマの「下町ロケット」を手掛けた稲葉一広が担当していることもあって“時代劇の顔をした経済ドラマ”になっています。

(文:村松健太郎)

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