「かしましめし」第7話:私たちはシャッターチャンスに溢れた“青春”を生きている
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おかざき真里の同名漫画を原作としたテレビ東京のグルメドラマ「かしましめし」が放送スタート。前田敦子、成海璃子、塩野瑛久が演じる、人生につまずいたアラサー男女3人がどんな日も美味しく“かしましく”ご飯を食べる模様を映し出す。
本記事では、第7話をCINEMAS+のドラマライターが紐解いていく。
「かしましめし」第7話レビュー
©「かしましめし」製作委員会想いを寄せる榮太郎(若林拓也)に「あーん」と味見させられ、ドキドキが隠せない英治(塩野瑛久)。それを目の前で見ていた蓮井(渡部篤郎)がボソッと「青春だな」と呟く。その青春というふた文字に、なんだかくすぐったいような気持ちにさせられた。
多分、それはどこかで青春が10代、20代前半の若者のためにあるものだと思っているからなのだろう。だけど、青春は人生に幾度となく訪れる。むしろ私たちは気づかないだけで、生きている間はずっと青春を送っているのかもしれない。
「かしましめし」第7話では、そう思わざるを得ない瞬間がいくつもあった。
©「かしましめし」製作委員会
“たぐっちゃん”こと、田口(倉悠貴)が一心に注いでくれる愛情から逃げたくなって旅行を抜け出してしまったナカムラ(成海璃子)。あれからずっと距離を置いていたが、ある日の昼休みに田口から声をかける。
たまたま隣にいた常盤(大沢あかね)に気遣われ、田口と二人きりにさせられたナカムラはまるでこれから告白する女生徒みたいだ。言わなきゃいけないことは山ほどあるのに切り出せなくて、言おうと思ったら今度は邪魔が入って結局言えなくて。そんなもどかしい二人のシチュエーションが、長縄跳びという小学生の青春にじんわりと溶け込んでいく。
©「かしましめし」製作委員会
それを目撃した英治は、榮太郎の仕事上のパートナーである種の恋敵でもある土屋(坂東希)にあることを頼まれる。仕事の方向性で榮太郎とすれ違ってしまったため、英治に間を取り持ってほしいというのだ。
英治が気にかかったのは、土屋の「“外側”から言えばあいつも動くと思う」という一言。絵を描き始めたはいいものの、現実を突きつけられて「自分には何もない」と思っている時にこれは辛い。
思わず声を荒げてしまい、お店を飛び出した直後から激しい後悔に襲われる英治。だけど、その姿さえも木の隙間から降り注ぐ光に包まれ、傍目から見ると青春の一コマに見える。
©「かしましめし」製作委員会
みんなより遥かに年上で、いつも冷静な蓮井(渡部篤郎)だって思わず千春(前田敦子)に本音を零してしまうこともある。何があっても動じることなく、上手く生きられたらどんなにいいか。だけど、右往左往するその姿こそ、案外人の目には眩しく映るものだ。
蓮井と榮太郎を誘った豚しゃぶパーティーの後、英治は榮太郎に思いを告げる。それに言葉を返すことなく、「めちゃくちゃ綺麗」「魅力的だった」と無我夢中で英治をカメラに写す榮太郎。その行動に納得せざるを得ないほど、ツツジの花をバックにした英治の表情は美しくて、切なくて、愛おしくて……。
この世界はシャッターチャンスで溢れている。本人がそれをどう思うかに限らず、見逃したくない一瞬一瞬を誰もが今日も生きているのだ。
(文:苫とり子)
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