「ペンディングトレイン」8話:最後の最後で良いところをかっさらっていった田中(杉本哲太)
山田裕貴主演の“金10”ドラマ「ペンディングトレイン―8時23分、明日 君と」が2023年4月21日放送スタート。本作は、山田裕貴演じる美容師・萱島直哉をはじめ、上白石萌歌演じる体育教師・畑野紗枝や、赤楚衛二演じる消防士・白浜優斗らが、乗車した電車内に閉じ込められ、近未来に飛ばされてしまうSFサバイバルストーリー。
本記事では、8話をCINEMAS+のドラマライターが紐解いていく。
「ペンディングトレイン ー8時23分、明日 君と」8話レビュー
萱島(山田裕貴)が畑野(上白石萌歌)に対し「会えてよかった」と伝えた瞬間、ああ、彼は本気でここに残るつもりなんだと、その決心の強さを感じた。「俺は、誰も信じられなかった。信じてこなかった。でも今はちょっとだけ、信じられるかもって思ってる」
誰にも期待しない、期待したぶん裏切られるのが怖いから、と言っていた萱島が、最後のつもりで口にしたメッセージ。ことあるごとに憎まれ口を叩く天邪鬼、いつまでも素直になれない彼が、めずらしく真っ直ぐな言葉で気持ちを伝えたのは、本当にこれが最後だと覚悟したからだ。
しかし、萱島よりも格段に真っ直ぐな男・白浜(赤楚衛二)がその壁をぶちこわす。「必ず帰ろう、みんなが待っててくれてる」と常にブレずに周りを鼓舞してくれた彼が、萱島の目を真正面から見据えて言った。
「萱島さんを助けられなかったら、俺は一生後悔する」
「俺を信じろ」
決死の思いで見つけ出した発電所から電気を引き、おそらく隕石であろう物体を使って電力を導く。暴風雨やオーロラなど、平常時とは違う状況下で奇跡的な条件がそろえば、ワームホールが開く。そのワームホールを通れば、元いた2023年に帰れるという仮説が立った。
皆とともに元の世界へ帰ると意を決した萱島が、電車に乗るギリギリのところで邪魔され、危うく取り残されるところだったが……。最後の最後で、田中(杉本哲太)が萱島を車内に押し入れ、扉を閉めてくれた。たった一人で残ると決めた田中が、良いところをかっさらっていった見せ場だった。
ワームホールに電車ごと飛び込んだ彼らは、結果的に、未来から過去へ戻ってくることはできた。しかし、そこは2023年ではなく2026年の5月1日。隕石が衝突し、大災害が起こるとされている年である。
果たしてこの2026年は、萱島たちが生きていた2023年と地続きなのか。加藤(井之脇海)が本編で話していたように、パラレルワールド(並行する複数の世界のひとつ)に飛んでしまった可能性もある。無事に戻ってこられた喜びを噛み締めながら、目前に迫った災害をどう回避するか、頭を悩ませることになりそうだ。
こうなってくると、一人で未来に残った田中が、またもや良い働きをしてくれると想像してしまう。彼の出番が今回で終わらないことを祈る。
(文:北村有)
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