「ペンディングトレイン」4話:紛れ込んだ殺傷犯、謎の子ども登場……果たして彼らに未来はあるのか?
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山田裕貴主演の“金10”ドラマ「ペンディングトレイン―8時23分、明日 君と」が2023年4月21日放送スタート。本作は、山田裕貴演じる美容師・萱島直哉をはじめ、上白石萌歌演じる体育教師・畑野紗枝や、赤楚衛二演じる消防士・白浜優斗らが、乗車した電車内に閉じ込められ、近未来に飛ばされてしまうSFサバイバルストーリー。
本記事では、4話をCINEMAS+のドラマライターが紐解いていく。
「ペンディングトレイン ー8時23分、明日 君と」4話レビュー
加藤(井之脇海)を刺したのは、前回フラグが立っていた殺傷犯の仕業で間違いなさそうだ。まだ顔は映っていないが、刃物を持ち逃げまわる様子が見てとれる。今後、彼が仲間に加わることはあるのか……。少なくとも、萱島(山田裕貴)たちが元の現実へ戻るための“キーパーソン”になりそうだ。加藤は刺され、三日三晩寝込むほど熱にうなされたが、白浜(赤楚衛二)の適切な応急処置と萱島の思い切りによって、なんとか一命を取り留めた。加藤自身が研究のためにつけていた、植物にまつわるノートも功を奏した形に。不幸中の幸いと言ってはなんだが、この一件がより彼らの団結を深めたのは間違いない。
キーパーソンはもう一人いる。突如あらわれた子どもの存在だ。小学生くらいの男の子が、前触れなく白浜と畑野(上白石萌歌)の前に登場したのだ。
元の世界に戻るため、どんなことでもいいから取っ掛かりを欲していた白浜たち。逃げる子どもの後を急いで追うが、子どもは「ママを連れてくるからここで待っていて」と言い残して去ってしまう。
川べりで火おこしをしながら待つ、白浜と畑野。そこに萱島も合流する。再び姿をあらわした子どもの誘導によって、彼らは目を疑うものを目にする。それは確かに「6号車」と書かれた車両、そして「初めまして、5号車のみなさん」と口火を切る男性、そして複数人の男女……。
素直に考えれば、彼らも現実から30年後の未来へワープしてしまい、元の世界へ帰ろうとしつつも叶わず、村のような自治体を形成し生活していることになる。「初めまして、5号車のみなさん」の言葉から、過去にもいくつかの団体が未来へワープしてきたこと、そしてあらかじめ、萱島たち5号車の人間がやってくることを予期していたことがわかる。
6号車の彼らは、どうやら現実へ戻る術を知っているようだ。知っていて、その条件が揃わずに苦しんでいる様子も感じ取れる。その“条件”が、仮に“一定数の人間が揃うこと”だとしたら、5号車と6号車の人間が引き合わせられたのはプラスに働くかもしれない。
果たして、彼らは現実に帰れるのか?
第4話では、火おこしに手こずる白浜の様子にも焦点が当てられた。誠実な人柄で、こんなに凄惨な状況でも場の空気を保ち、できることを着実にやってきた白浜。しかし、人一倍、正義感が強いがゆえにヤキモキする一面も。
加藤が刺されたときも、応急処置をするのが手一杯で、麻酔もなしに傷を縫うか縫わないかの判断ができなかった。そこを無理矢理に突破したのが萱島だ。
白浜の誠実さと信頼性、そして萱島の楽天家な気質と思い切りの良さ。確かに白浜は萱島の言うとおり、一人で背負い込みすぎだ。とくにこんなサバイバルな状況なのだから、各々ができることをやり、支え合っていくしか道はない。
「過去を変えることはできないけれど、今ここで火をつけることはできる」
「未来を信じましょう」
畑野の言葉は、まるで漢方のようにじわじわと沁みる。きっと白浜と萱島だけだったら、仲違いして終わっていたかもしれない。潤滑剤のような、クッションのような役割をする畑野がいたからこそ、彼らは生きて帰る希望を失わずに済んだ。
彼らが未来を信じるのと同時に、視聴者である我々も願わずにはいられない。どうか、彼らが現実に帰れますように。待ってくれている人の希望が繋がりますように。
(文:北村有)
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