「どうする家康」第24話:瀬名(有村架純)が夢見た国は、多くの人が夢見る国だった
2023年1月8日放送スタートしたNHK大河ドラマ「どうする家康」。
古沢良太が脚本を手がける本作は、弱小国の主として生まれた徳川家康が乱世を生きる姿を描いた波乱万丈エンターテイメント。大河ドラマ初主演となる松本潤が従来のイメージとは異なる「ナイーブで頼りないプリンス」の家康に扮する。
本記事では、第24話をCINEMAS+のドラマライターが紐解いていく。
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「どうする家康」第24話レビュー
なるほど、そう来たか! と思ってしまった。瀬名(有村架純)が信康(細田佳央太)と企んだ計画。それは戦のない世界を作ることだった。
力で奪い合うのではなく、米が足りなければ、米をもらう。塩があれば塩を、金山であれば金を。代わりに、相手が困っているときには自分たちが持っているものを渡す。
奪い合うのではなく与え合う。そうすれば争いは起きない。
話を聞いた石川数正(松重豊)らは納得しない。五徳(久保史緒里)も父・信長(岡田准一)も許さないであろう、と言う。確かに理想論にしか過ぎない。
しかし、瀬名は久松長家(リリー・フランキー)と於大の方(松嶋菜々子)、今川氏真(溝端淳平)と糸(志田未来)を味方につけていた。そして知恵も借りていた。
物々交換での繋がりは弱い。ならば、それらの国々が同じ通貨を使い、商売を自在にし、人と物の往来を盛んにする。そうすれば、東国に巨大な国ができる。それができれば、信長も手は出せまい、という考えだ。
またこの考えには武田側の千代(古川琴音)と穴山信君(田辺誠一)も賛同していた。
疑心暗鬼だった家康(松本潤)らも、瀬名の計画に心を動かされる。そもそも、家康は戦が好きではないのだ。戦をせずに済む方法があるのならば、賭けてみる価値はある。
まずは武田と密約を交わし、力を蓄えるまで信長を欺くことを決める。五徳もまた、信康と共にいると言い、計画について信長に話すことはなかった。
しばしの平穏。そして徳川家に訪れる家族団らんのとき。しかし、これは嵐の前の静けさでしかない。
やがて、武田勝頼(眞栄田郷敦)は千代たちに言う。
「おなごのままごとの如きはかりごとには乗れん」
そして、「築山の謀略、世にぶちまけよ」と命じる。
穴山信君は「人心が離れる」と反対するが、勝頼が聞き入れることはなかった。彼は、力ある者が全てだという教えを受けてきている。
今、信長に知られてしまっては元も子もない。間違いなく、攻めてくるだろう。
しかし、瀬名は言っていた。全ての責任は自分が負う、と。いざとなったら、自分の命を代償として差し出すつもりがもともとあったのかもしれない。
勝頼は「ままごと如きはかりごと」と言ったが、戦をしたくない者たちは瀬名の計画に夢を見た。が、一方で力が全てだと考える者がいるのだ。
今回の大河において、仲睦まじい家康と瀬名にどのようにして悲劇が起こるのか、と首をひねっていた。信康を守るために、武田と通ずるのか、と思ったが戦をしたくないと思っている信康を守るために武田と通じたとて、未来がないのは想像がつく。おなごだからできること、大切な者のために命をかけること。過去に言われた言葉が瀬名に決断をさせた。
でも、もしかすると家康にとっては、裏切られるよりも辛い結果になる可能性がある。
まだまだ先のことになるが、家康はやがて貨幣を統一し、街道の整備を行う。
もし、瀬名のこの考えがのちの家康を導くことになったのだとしたら、瀬名が今に続く歴史の礎を築いたと言っても過言ではないかもしれない。
(文:ふくだりょうこ)
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