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2023年07月08日

『警部補ダイマジン』第1話レビュー|「三池崇史監督らしさ」と「ダークヒーローものらしくない」魅力とは

『警部補ダイマジン』第1話レビュー|「三池崇史監督らしさ」と「ダークヒーローものらしくない」魅力とは



三池崇史監督のエクストリームさは「完全版」で観られる?

本作のさらなる注目ポイントは三池崇史が監督を手がけていること(倉橋龍介も監督に名を連ねている)。なるほどエンタメ性マシマシのケレン味のある演出や、良い意味で極端な人物描写などに三池崇史監督イズムを十分に感じることができたし、後述するまさにダークヒーローを描いた3本の映画を連想させるところもあった。

とはいえ、多くの三池崇史監督作で打ち出されている、過剰なまでのバイオレンス描写や、引いてしまうほどの悪趣味なギャグなどは今回は控えめ。おかげで万人におすすめしやすい内容となっているとも言えるのだが……ひょっとすると、それは筆者が今回観た「地上波版」に限った話なのかもしれない。

実は、このドラマ『警部補ダイマジン』は、「濃厚すぎる未公開シーンを追加した本編」に「メイキング&インタビュー」も追加した『警部補ダイマジン完全版』が、TELASA(テラサ)で独占配信がされることが決定している。

その完全版について、生田斗真は「よりヤバいものが観たい方は、完全版へどうぞ」とコメントし、三池崇史監督も「『地上波版』あっての『完全版』。そんな仕掛けになっています。ふたつでひとつのエンターテインメント。そして、1+1=3になる興奮を体験してください」などとも語っている。

「完全版」が具体的にどういう内容になっているかは定かでないが、「三池崇史監督らしいエクストリームさ」が、完全版ではより濃厚に表れているのではないかとワクワクするのだ。

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おすすめの三池崇史監督のダークヒーロー映画3選

最後に、このドラマ『警部補ダイマジン』と同様に(あるいは別ベクトルの)ダークヒーローを描いた、おすすめの三池崇史監督の映画を3本紹介しよう。

1:『十三人の刺客』(2010)

1963年の同名映画のリメイク。文字通りに13人の刺客、つまりはダークヒーローが暴君を殺害するために団結し、血みどろの戦いへと赴くバイオレンスな時代劇だ。稲垣吾郎演じる悪役がトラウマ級の恐ろしさで、PG12指定ではやや甘いショッキングなシーンもあるが、それも作品に間違いなく必要なものだった。現在は配信で観る手段がないようで、ソフトを購入するかレンタルするしかないのがもったないところだ。

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2:『藁の楯』(2013)

孫娘を殺された大富豪が「殺人犯を殺したら10億円を払う」という新聞広告を打ち出し、その殺人犯を警視庁SPのメンバーが「守り続ける」様を追ったサスペンス。正直に言ってツッコミどころは多いのだが、スケールを感じさせるアクションや、醜悪な殺人犯を演じ切った藤原竜也がものすごいインパクトを残している。賞金を狙う多数の人間に対する敵になろうとも、一時的な感情に流されることなく「悪人を守る」選択をし続ける主人公の姿は、確かにダークヒーローと呼べるものだった。

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3:『初恋』(2019)

こちらの主人公は余命宣告を受けながらも、ただ追われていた少女を助けようとするプロボクサー。ヤクザたちの抗争に巻き込まれる人々の、濃厚な一夜を綴った群像劇となっていた。主人公を演じた窪田正孝だけでなく、とんでもないキレ演技をするベッキーも見どころ。個人的には三池崇史監督の最高傑作が本作であり、PG12指定相当の(やっぱり)バイオレンスな描写と悪趣味なギャグ以外は万人におすすめできる。

また、三池崇史監督はダークヒーローはもとより「悪人」描写にも定評があり、怖いお兄さんやおじさんが登場するヤクザ映画は得意中の得意。2012年の『悪の教典』に至ってはイケメンで善人に見える伊藤英明だからこその、最悪のサイコパスの殺人犯を誕生させることにも成功していた。

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そんな「悪さ」を描くことも上手い三池崇史監督の「らしさ」は、今回の『警部補ダイマジン』では前述したように端正な見た目なのにイヤらしい性格をした向井理のキャラクターにも存分に感じることができた。だからこそ、三池監督作が好きな映画ファンにも、ぜひ『警部補ダイマジン』を楽しんでほしいのだ。

(文:ヒナタカ)

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