「転職の魔王様」1話:毒舌転職エージェント・来栖(成田凌)が繰り返し「本音」を問う意味
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成田凌主演、小芝風花がヒロインをつとめる“月10”ドラマ転職の魔王様」が2023年7月17日放送スタート。成田凌が毒舌転職エージェント・来栖嵐を、小芝風花が3年で広告代理店を辞めた新卒社員・未谷千晴を演じる。人生のステージを変える「転職」をテーマに、異色のタッグが繰り広げる爽快エンターテイメントドラマ。
本記事では、第1話をCINEMAS+のドラマライターが紐解いていく。
「転職の魔王様」1話レビュー
「パワハラ経験者は視聴注意!」そんなエマージェンシーコールを出したいほどに、パワハラ描写がリアルだった。本作のヒロイン・未谷千晴(小芝風花)は、前職の大手広告代理店を3年足らずで退職。原因は上司によるパワハラだった。このドラマは、そんな千晴が転職のために世話になる毒舌エージェント・来栖嵐(成田凌)と、ひょんなことからタッグを組むことになる物語。
毒舌エージェント・来栖の毒舌っぷりは、すごい。なんていったって、担当する求職者から恨みを買って刺されそうになるレベルである。千晴自身も、退職した代理店に無理やり連れて行かれ、トラウマを刺激された。今ならあなたを刺そうとした人の気持ちがわかる、と言っていたくらいである。
そんな彼は、千晴に繰り返し問いかける。「それがあなたの本音ですか?」と。
千晴は真面目だ。叔母であり、来栖が勤める会社・シェパードキャリアの社長でもある落合洋子(石田ゆり子)も、小さい頃から良い子で真面目、と評す。
自分自身にとくにやりたいことがないからこそ、周りの期待に応えたい一心で頑張りすぎた。前職で、パワハラによるストレス・過労で倒れ、味覚障害が残っても両親に相談できなかったほど。来栖からパワハラを指摘されても「私が悪かったんです」と譲らない。
ある意味、頑なな千晴に、来栖が繰り返し問う。「それがあなたの本音ですか?」……その言葉はそのまま、画面を通り抜けて視聴者への問いかけになっている。
「自分の価値ぐらい自分で決めたらどうですか?」と、来栖は重ねる。しかし、夢や目標なんて「持て」と言われてもそう簡単には持てないし、だったらせめて周囲のために働きたいと思い頑張り続けてきた千晴にとって、自分の価値は自分で決められるものではなかった。
むしろ、自分で決めてはいけない、他人からの評価を待たなければいけない、と無自覚に枷をつけてきたのだろう。
来栖との出会いによって、千晴はある意味「ぶっ壊された」し、これから「ぶっ壊される」。常識に縛られていた自分を。人のためだけに働くことが善だと決めてきた自分を。
そして、自分の価値を自分で決められるように、変化していく。
来栖は足を悪くしている。1話では「事故で」としか明かされなかった。しかし、この「事故」にこそ、来栖がこの仕事をしている意味が込められているのだろう。
来栖が転職エージェントをしている理由と、千晴の自己改革。あまりにも合わなさすぎる二人だが、働く意味を、そして生きる意味を考えるきっかけを与えてくれる……そんな月曜22時を提供してくれそうだ。
(文:北村有)
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