「らんまん」寿恵子、120円で空き家を買う<第115回>
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2023年4月3日より放送スタートしたNHK連続テレビ小説「らんまん」。
「日本の植物学の父」と呼ばれる高知県出身の植物学者・牧野富太郎の人生をモデルにオリジナルストーリーで描く本作。激動の時代の中、植物を愛して夢に突き進む主人公・槙野万太郎を神木隆之介、その妻・寿恵子を浜辺美波が演じる。
ライター・木俣冬が送る「続・朝ドライフ」。今回は、第115回を紐解いていく。
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「今夜はお疲れですか」
寿恵子(浜辺美波)の”大一番”。万太郎(神木隆之介)を真似して、渋谷の街をくまなく探索し、地形を把握、街の人達の話も聞いて、地図まで作ります。この地図がものすごくよくできていて。寿恵子の才能を感じます。家庭におさまる器ではない。只者じゃないですよ。これはもうヒロインの器ですよ。
寿恵子は渋谷のポテンシャルを発見し、120円で空き家を買い、待合茶屋を開店することを決意。
万太郎が2ヶ月ぶりに、植物採集から疲れて帰ってきた晩、「今夜はお疲れですか」と相談します。
さっそく万太郎や虎鉄(濵田龍臣)や子供たち総動員で家のまわりを掃除してきれいにして、近所の人たちをお食事会に招き、挨拶します。
招いた場所はどこ? 渋谷のお店をどこか借りた? 新橋の料亭・巳佐登 に呼んだ? と一瞬わかりにくいのですが、あっという間に空き家の一室をきれいに(現代の言葉でいえばリノベーション)したようです。玄関にはぼろぼろの障子が立てかけてありました。朝ドラあるある展開早い。
寿恵子は、はじめましての方々に、いきなり、あれしよう、これしようとか、あれしてください、これさせてくださいとぐいぐい言い出すのではなく、「妄想」のお誘いからはじめます。
妄想なら、現実ではなく、気軽にアイデアを語れます。
「渋谷はあぶれ者のふきだまり。だからこそ誰のことも受け入れられる懐の深い土地です」
(寿恵子)
この街を活性化する妄想を繰り広げ、楽しい雰囲気になったところで、名を名乗り、待合茶屋をはじめるご挨拶。
名乗るのは最初がいいと思いますが、寿恵子の毅然とした態度と、妄想話でリラックスした人たちは、寿恵子を受け入れるしかなくなっています。さすが、まつ(牧瀬里穂)とみえ(宮澤エマ)の血を引いた商売人だなあ〜。お店の内装も、壁の色などが根津の白梅堂のようでした。
お食事のメニューは、渋谷で知った珍しいものーーボーロとかおにぎりを取り入れています。
あれよあれよという間にお店が完成し、通の人だけが知る新たな店になっていて、巳佐登の常連・相島圭一(森岡龍)が小林一三(海宝直人)を連れてきます。きっと岩崎(皆川猿時)も真っ先に来たのだろうなあ…とひと妄想(党派性を批評する表現が目立つわりに、主人公たちにコネがあるものだから、矛盾を感じるのですが、現実ってわりとそんなもの)。
店の名は「やまもも」。高知から取り寄せたやまももの木が、守り神として植えてあります。これは万太郎のアイデア。
渋谷編、新たなメンバーは、とよ香(入山法子)、葉月(実咲凛音)、弘法の湯の主人・佐藤弘(井上順)。
万太郎のモデルの牧野富太郎は家族で円山町あたりに住んでいたそうです。やまもものある場所は、地図を見ると、百軒店あたりでしょうか。
ちなみに、渋谷の金王八幡宮といえば、松本幸四郎さんが「渋谷金王丸伝説」というカブキ踊りをつくって渋谷のホールで上演しています。
(文:木俣冬)
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