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2023年09月14日

<考察>「世界の果てに、ひろゆき置いてきた」旅番組としての革新性とは

<考察>「世界の果てに、ひろゆき置いてきた」旅番組としての革新性とは



ABEMAで配信されてきた「世界の果てに、ひろゆき置いてきた」(全9回)が、9月10日(日)で最終回を迎えた。論破王ひろゆきが、ナミビアのナミブ砂漠に置き去りにされ、自力でアフリカを横断するという型破りな旅番組。ネット界隈での盛り上がりに刺激され、筆者も毎週楽しく視聴させていただいた。

この企画を知ったときにまず思い浮かべたのが「東野・岡村の旅猿 プライベートでごめんなさい…」。現在でも放送は続いているが、初期は東野幸治と岡村隆史、そしてディレクターという超少人数でインドや中国に弾丸海外ロケするという、仕込みナシのいきあたりばったり旅番組だった。

それゆえに二人がカルチャーギャップに素直に驚いたり、思わぬ展開に目を見張ったり、演者の“素”の部分が強調されていたのが新基軸。企画ありきの「世界の果てまでイッテQ!」や、ゲストの思い出に迫る「アナザースカイ」とは根本的に異なるアプローチなのである。

「世界の果てに、ひろゆき置いてきた」も、<最小人数で旅をするノープラン番組>という基本フォーマットは「旅猿」と同様。だが、お笑いタレントである東野・岡村とは違い、ひろゆきは実業家。番組を盛り上げるための、“おいしい”リアクションをしてくれる訳ではない(番組プロデューサーも、「番組の都合を一切考えない。基本的には演者としては機能しない」とはっきり明言している)。

おそらくそんな理由から、制作サイドはいくつかのルールを設けて、コンテンツとして成立する保険をかけた。

  • 軍資金として10万円が貰える
  • 番組としての撮れ高が発生すれば、追加の軍資金2万円が貰える
  • 国境を越えると、さらに追加の軍資金5万円が貰える
  • 移動は陸路のみ
  • 一カ国につき一箇所は、24時間以上滞在する町をもうける

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実はこの番組の最も恐ろしいところは、ひろゆきという唯一無二の存在によって、上記のルールが無効化されていること。彼は持ち前のネゴシエーション能力と卓越したITリテラシーで、かかる難局をクリアしていく。予算がオーバーしないように自らタクシーの値段を交渉するし、ブッキングドットコムで最安値の部屋を予約してしまう。追加の軍資金ルールが意味をなしていないのだ。

陸路に限定することで、移動手段の確保が困難だと思われたものの、最初にヒッチハイクで車を拾った以降は、タクシーやバスを上手にやりくりする余裕旅。本人も第一回で「あとは消化試合ですね」と高笑いしているくらいだ。

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おそらく視聴者の興味は「理屈ばかりこねているひろゆきが、理屈だけでは通じない場所に放り込まれることで、悪戦苦闘する姿を見ること」だったはず(少なくとも筆者はそうだった)。だが旅慣れたバックパッカーとして尋常ならざる能力を発揮する彼の前に、制作サイドの目論見は完全に崩れ去る。

むしろ、そのプロセスを赤裸々に描いてしまうことが、「世界の果てに、ひろゆき置いてきた」の先進性なのである。

▶︎ABEMAで「世界の果てに、ひろゆき置いてきた」を観る

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