Netflixでしか観られない刺激的でスリリングなインド映画3選
観る人の感情を掻き立てるドラマチックなインド音楽、エンターテイメント性の高い演出、俳優陣の高い演技力、そして鋭い社会的メッセージ性。
今回は、Netflixでしか観られない“刺激的でスリリング”な珠玉のインド映画をご紹介します!
ダマカ: テロ独占生中継
2021年より独占配信中、テロ×報道番組がテーマのサスペンス映画。
ジャーナリストとして名誉ある賞を受賞し、同業者の妻との結婚生活も順風満帆だったアルジュン・パタク(カルティック・アーリアン)。
その後色々あって離婚、仕事でも報道番組を降板させられてしまいます。
ある日、担当するラジオ番組の生放送中にリスナーの男性から電話で爆破テロ予告を受けますが、アルジュンはこの“特ダネ”を利用して報道番組のニュースキャスターとして返り咲きを狙います。
犯人は、テロ予告をする際にまず自身の貧しい暮らしぶりと国に対する激しい怒りを切々と訴えるのですが、本作に限らずインド映画では“貧困”が物語の主要なテーマになっていることが非常に多いです。
アルジュンは、報道番組の中で犯人を電話越しに説得する様子を生中継するという大胆な賭けに出るのですが、一歩も譲らず強硬な要求を突き付けてくる犯人を相手に苦戦。
アルジュンの交渉術と緊迫の心理戦から、目が離せません。
そして本作のもう一つの重要なテーマとなっているのが、“謝罪”です。
“謝罪”について、日本人とは全く異なるインド人の価値観が現れています。
日本人が考える謝罪よりも、遥かに重い意味を持っているところが非常に印象的でした。
→「ダマカ: テロ独占生中継」Netflix配信ページ
ライトニング・ムラリ
2021年より独占配信中、インドのスーパーヒーローが故郷のために立ち上がる異色のアクション映画。
インドの貧しい農村で仕立て屋を営む青年ジェイソン(トヴィノ・トーマス)は、恋人との結婚を強く望んでいました。しかしジェイソンは貧しかったため、警察署長である恋人の父親は結婚に反対。
ジェイソンは結婚を認めてもらうため、渡米してビジネスで成功する計画を立てていましたが、その矢先に雷に打たれてスーパーヒーローの特殊能力を授かります。
「渡米して成功し、豊かに幸せになりたい」「しかし生まれ育った故郷も見捨てる訳にはいかない」
葛藤に苦しみながらも宿命を受け入れ、ズタ袋を利用した手作りのボロボロ衣装でスーパーヒーロー“ライトニング・ムラリ”に変身するジェイソン。
洗練されたデザインのスーツでニューヨークなどの大都会を舞台に颯爽と戦うアメリカのスーパーヒーローと比べると、たしかに見た目のB級感は漂っています。
しかし限られた材料を何とか工夫して活用しながら、故郷の貧村のため、なりふり構わず戦うインド版スーパーヒーローは、アメリカのそれとはまた違った格好よさがあります。
→「ライトニング・ムラリ」Netflix配信ページ
トリッキー・ワールド
2021年より独占配信中、イギリスにおける移民問題を扱った社会派ギャング映画です。
お金大好きで抜け目のない性格のタミル人ギャングのスルリ(ダヌーシュ)は、その高い能力を買われて、移民排斥を進める白人至上主義者のイギリス人ギャングに雇われます。
しかしやがて、自身の民族的アイデンティティーとの間で葛藤するようになります。
“民族的な誇り”では、ご飯を食べていけない。しかし“民族的な誇り”を捨てた時、人間は一体どうなるのか……。
本作の中でスルリが直面する問題は、日本で生きる私たちにも鋭い問いを投げかけてきます。
「ライトニング・ムラリ」との共通点は、好きな女性と結婚したい主人公にとって、“お金の問題”がハードルとなっているところ。
スルリもジェイソンも、実は非常に頭が良く優秀で、女性に対しても優しく誠実な男性です。
しかし個人の努力だけではどうしようもないほどの根深い貧困が、彼らの幸せを無慈悲なほど邪魔し続けているのです。
→「トリッキー・ワールド」Netflix配信ページ
華やかで楽しい雰囲気の中に、生きることへの情熱と逞しさを兼ね備えているところがインド映画の魅力。
落ち込んだ時は、インド映画から元気を貰ってみてください!
(文・吉野潤子)
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