「どうする家康」第36話:女性たちの戦い。憎しみを抱えたあの姫が、ついに。
[※本記事は広告リンクを含みます。]
2023年1月8日放送スタートしたNHK大河ドラマ「どうする家康」。
古沢良太が脚本を手がける本作は、弱小国の主として生まれた徳川家康が乱世を生きる姿を描いた波乱万丈エンターテイメント。大河ドラマ初主演となる松本潤が、従来のイメージとは異なる「ナイーブで頼りないプリンス」の家康に扮する。
本記事では、第36話をCINEMAS+のドラマライターが紐解いていく。
▶︎「どうする家康」画像を全て見る
「どうする家康」をU-NEXTで見る
「どうする家康」第36話レビュー
それぞれの戦いが、ある。今回、スポットが当たったのは家康(松本潤)の側室、於愛(広瀬アリス)。瀬名(有村架純)と信康(細田佳央太)が亡くなる少し前から家康と共にいた。
そんな彼女もまた戦で夫を亡くしていた。
夫の死と共に自分の心も死んだという於愛は、自害することも考えるが思いとどまる。
そして家康のもとへ。
於愛は登場時から家康のお尻を威勢よくはたくなど、ユーモアたっぷりな様子を見せていた。彼女のチャームポイントは笑顔。
正直、於愛が登場して以降は悲劇とも言えるシーンが多かった。だからこそ於愛の笑顔は視聴者にとっても癒しだったと言ってもいいかもしれない。
しかし、その笑顔こそが於愛の武装だった。
於愛は真摯に家康を支え続け、でも、ただ媚びるだけではなく時には助言もした。家康のことを敬ってはいるけれど、慕っているわけではない。ただただ、家康を支える。それが自分の役目だと思っていたのだろう。
そんな於愛を家康も信頼している。
病を患っているであろう於愛に自分が薬を煎じて飲ませている様子は、愛情の印にも見える。
於愛はまもなくこの世を去る。瀬名が亡くなったときも於愛は家康を支えていた。その悲しみはいかばかりだっただろうか。
於愛以外にも、今回は女性たちの戦いぶりが印象的だ。
家康は、真田昌幸(佐藤浩市)から北条へ領地を渡すかわりに徳川の姫を妻として寄越すよう要求されていた。
家康は本多忠勝(山田裕貴)の娘・稲(鳴海唯)を養女にして真田に嫁がせることを考えるが、親子そろって猛反発をする。
一方で、鳥居元忠(音尾琢真)が千代(古川琴音)を匿っていたことが分かる。千代はもともと武田家の人間で、家康が探していた人物だ。やはり徳川家の人間としては信用できないところだろう。しかし、元忠は千代を愛してしまった。
元忠が千代を匿っていたことを知ると、忠勝は「真田の間者の可能性がある、そんなところに娘はやれない」と息巻く。
前回はこのままだと輿入れ先がないと言っていた忠勝だが、なんてことはない。娘を嫁にやりたくないのだ。
家康が千代を認めたあとも忠勝はダダをこねるが、稲は千代が元忠の寝首をかけば、自分が真田の寝首をかいてやる、と言う。普通ならなかなかできないことだろうが、稲ならできる。忠勝に小さいころから鍛えられていたので……。
稲の登場は前回からだが、たった2回でも忠勝が娘を溺愛しているのが分かる。素直ではないので愛情表現がちょっとイカついが。
そんな女性たちの決意と戦いにグッと来ていたところで、終盤に強烈な登場を果たしたのが茶々だ。
誰が演じるのかと話題になっていたが、お市を演じた北川景子が一人二役を務める。
オープニングのクレジットで茶々=北川景子という盛大なネタバレをしていたが(事前に発表していなかったのだから、登場まで伏せられないものだったのだろうか)、それにしたってインパクトがある。
お市は凛としていて、健やかな美しさがあった。
茶々は幾何か派手で、その笑顔はどこか残酷さも感じられる。
共通しているのは武芸に秀でているところだろうか。
茶々と相対して驚く家康に向かって銃を構え、「ダーン!」と撃つフリをして笑顔を見せる茶々。
笑っているが、まるでいつかこんなふうに殺してやる、と宣戦布告しているよう。
でも、そういえば、お市が家康の前に現れたときもインパクト大だった。お面をかぶって家康と戦っていたな……抱く思いによって表情がこんなにも変わるものなのか、と驚いてしまう。
美しきラスボス。家康はどう対峙していくのか。
(文:ふくだりょうこ)
「どうする家康」をU-NEXTで見る
無料メールマガジン会員に登録すると、
続きをお読みいただけます。
無料のメールマガジン会員に登録すると、
すべての記事が制限なく閲覧でき、記事の保存機能などがご利用いただけます。
(C)NHK