「下剋上球児」4話:球児たちのこれからと南雲(鈴木亮平)の進退、どちらに注目すべきか?
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鈴木亮平主演の日曜劇場「下剋上球児」が2023年10月15日放送スタート。菊地高弘の「下剋上球児」(カンゼン刊)を原案に、新井順子プロデューサーと塚原あゆ子演出のタッグが帰ってくる。弱小高校野球部を舞台に繰り広げられる下剋上ストーリーに期待だ。
本記事では、第4話をCINEMAS+のドラマライターが紐解いていく。
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「下剋上球児」4話レビュー
ついに南雲(鈴木亮平)が、教員免許の不所持や公文書偽造の罪を償うため、警察へ出頭する。美香(井川遥)や子どもたちが仕事の関係で一年間、東京へ行ってしまうタイミングを見計らっての自首だった。共犯になることを覚悟した山住(黒木華)との約束通り、夏の終わり、甲子園の予選一回戦で惜しくも越山高校が負けてしまうのを待って、南雲は監督も高校も辞める。
越山のエース投手である犬塚翔(中沢元紀)、責任をとるため自ら試合に出ることを辞退した日沖誠(菅生新樹)、投げ続け体力を消耗しつつあった翔をサポートしたもう一人の投手・根室知廣(兵頭功海)など、選手たちは皆、100%の力を出した。
9回戦で負けてしまったが、彼らにとってはそれでも異例のこと。最後の試合に出られなかった誠のスピーチ、そして、兄の悔しさを背負う形で弟の日沖壮磨(小林虎之介)が野球部へ入った展開も含めて、熱い。
丁寧に描かれた試合のシーンも、そうだ。効果的に入るスローモーション、生徒たちの心情をあらわしたナレーション、サインや目配せも取りこぼさない。その描写すべてに、彼らを応援したくなる要素が詰まっている。
だからこそ、南雲の進退をめぐるやりとりが、そぐわないほど重く感じられる。
このドラマを見守る視聴者は、生徒たちを応援したい。奇しくも、この4話放送日は、阪神タイガースが二度目の日本一を飾った夜と重なった。相乗効果、とまではいかないが、部員一人から始まった弱小野球部にエールを送りたい。まさに「下剋上」を狙う彼らを、練習のしすぎで食事中に眠ってしまうような選手たちを、見ていたい。
なぜ、南雲は罪に手を染めたのだろう。理由はわかっている。卒業直前で単位が足りていないことがわかった。家族を養うには金が必要で、そのためにはどうしても卒業し、教員免許を取得しなければならなかった。
しかし、たったそれだけのことで、不正をしようとまで思うだろうか。家族を養わなければならない、その一点だけが彼を罪に向かわせたのか。もっと別の、まだ明かされていない理由があるのでは? そう勘繰ってしまうのは、「たったそれだけのこと」と思ってしまうのは、安全圏にいる人間の無責任な言い分なのだろうか。
南雲が警察へ自首したことによって、遅かれ早かれ生徒たちにも知れることになる。このとき、彼らは何を思うだろう。賀門英助(松平健)が言ったように「生徒たちを裏切った」ことになるのだろうか。南雲の進退と、生徒たちのこれからのこと。どちらに注目するべきなのだろう。
南雲に対する心ない噂が広まることは避けられない。キーパーソンとなるのは、南雲と共犯関係になると決めた山住の存在だ。南雲が、落ちに落ち切った底から這い上がって「下剋上」を成し遂げるのは、いつになるだろう。
(文:北村有)
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