「ブギウギ」アホのおっちゃんとアサの結婚にびっくりしかない<第53回>
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2023年10月2日より放送スタートしたNHK連続テレビ小説「ブギウギ」。
「東京ブギウギ」や「買物ブギー」で知られる昭和の大スター歌手・笠置シヅ子をモデルにオリジナルストーリーで描く本作。歌って踊るのが大好きで、戦後の日本を照らす“ブギの女王”となっていく主人公・福来スズ子を趣里が演じる
ライター・木俣冬がおくる「続・朝ドライフ」。今回は、第53回を紐解いていく。
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ジャルジャルにもびっくり。
地方巡業の合間、久しぶりに大阪に帰ったスズ子(趣里)。真っ赤なおしゃれな衣裳を着て、スターの貫禄です。
なつかしいはな湯。戦争で、看板の金属は拠出されたらしく、木製に変わっている(「ツヤさんのはな湯」になってるのが泣ける)ものの、常連たちは健在。
「みんな変わらへんなあ」とスズ子は言いますが、じつは少し変化が起こっているようで……。
ゴンベエ(宇野祥平)と光子(本上まなみ)に子供が誕生していたことは想定内として、まったく思いもよらなかったのが、アホのおっちゃん(岡部たかし)とアサ(楠見薫)の結婚。しかも手をつないでベタベタしていたことにはかなりの衝撃を覚えました。アサ、60歳の高齢結婚です。
熱々先生(妹尾和夫)がぽっくりいって(これもびっくり)、キヨ(三谷昌登)を含めての三つ巴の恋愛バトルを繰り広げたとかいう流れは、皆さん、あまりにも手近で済ませ過ぎていませんか。でも、常連の方々は、いつもはな湯でつるんでいて、ほかの交流がなさそうなので、紅一点のアサに集中してしまうことも、なんとなくリアルな感じもしないではありません。
朝ドラでは終盤、うちうちで結ばれる展開もあります。直近では「舞いあがれ!」がそうでした。ヒロインを含んだ3人の幼馴染が家族になってしまうのです。ヒロインと幼馴染の男性、ヒロインの兄と幼馴染の女性が結婚しました。
また、「ひよっこ」では、おひとりさまの星のようだった、和久井映見演じる愛子が、佐々木蔵之介演じる省吾と結婚します。ふたりとも、愛する人を失った傷を抱えていたけれど、もう一度、新しい人生を生きようとするいい話なのですが、おひとりさまの星でいてほしい気もしたものです。
「ブギウギ」に近いのは「あまちゃん」でしょう。田舎の男女がくっついたり離れたりを繰り返すという状況でした。「ひよっこ」や「舞いあがれ!」のようなふんわり、やさしい世界の話ではなく、肉体的な欲望に抗えない、腐れ縁的な関わりの生々しさ。まあ、ふんわりしても、生臭くても、ひとはひとりでは生きられないということです。
スズ子は梅丸少女歌劇団も訊ねます。リリー(清水くるみ)、桜庭(片山友希)、秋山(伊原六花)と再会して、キャッキャウフフ。
「ごっついきれいになったわ」「うれしいわ〜」という大阪弁の会話がそれっぽいです。
洋食屋のジャルジャルが夜逃げしていたという、あってもいいけど、なくてもよさそうな出来事をわざわざ描いているのも良かったです。
スズ子が大阪の空気を思い切り吸って、東京に戻って来ると、愛助(水上恒司)からの大量の手紙。なんと、はな湯にも行って、常連たちの話に耳をそばだてたとか、スズ子を天使とたたえ、「天使の原点を知った思い」とか書いています。
「どっかおかしくないとこんだけの手紙書けねえべ」
小夜(富田望生)、よく言った。梅吉(柳葉敏郎)とハメを外しすぎたり、お金を失くしたり、なんとなくうざい小夜でしたが、今回の小夜はなかなかいい。
下宿まで訊ねて来た愛助に「手籠めにすっきだな」「奉公先で何度も危険な目にあった」などと自身の経験から、愛助を目の敵にします。
チズ(ふせえり)も、吾郎(隈本晃俊)も愛助を睨んでいます。
スズ子は「ええ年のおばちゃん」と謙遜していますが……。
趣里さんが少女のようで、おばちゃん感がまったくないので、アイドルを追いかけてくる濃いファンみたいな雰囲気です。
水上さんが好青年なので、中和されているとはいえ、スズ子の夢の中で亀を持って迫ってくる感じが、なんかやばかった。
(文:木俣冬)
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