ウルトラマン、エヴァンゲリオン、鬼滅の刃。夜空で展開される新時代のエンターテインメントショー「STARDANCE」完全レポ
2023年12月23日(土)、24日(日)、29日(金)、30日(土)、31日(日)の5日間にわたって、横浜・八景島シーパラダイス(イベント広場・ボードウォーク)にて、花火とドローン1000機の光が織りなすエンターテインメントショー「STARDANCE in 横浜・八景島シーパラダイス」が開催される。
この記事では、23日(土)、24日(日)の模様を振り返っていく。
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「STARDANCE in 横浜・八景島シーパラダイス」について
今回のショーでは、「ウルトラマン」「鬼滅の刃」「エヴァンゲリオン」という日本を代表する作品とのコラボレーションが実現した。
詳細は追って述べるが、LEDを搭載した1000機のドローンによって現出する縦横200mの巨大キャンパスに描かれた各キャラクターの存在感は、本当に圧巻であった。巨大キャンパスという言葉を用いたが、映画館のスクリーンのように枠があるわけではなく、体感としては、広大な夜空の全てが物語の舞台と化しているような非常にダイナミックな印象を受けた。
また、写真や動画ではなかなか伝わりにくいかもしれないが、ドローンによって表現される各キャラクターは、平面状のものではなく、奥行きを持つことによってリアルな立体感を誇っていて、まるで本物のキャラクターが目の前に現れたかのような感動と興奮を味わえる。
世界の多くの国ではこの数年で、ドローンショーが一般的なエンタメとして大きく広がりつつあるが、日本ではまだまだ浸透していないので、今回初めてドローンショーを生で体験したという参加者も多かったと思う。
それ故に会場では、終始、驚きの声や歓声が飛び交っていた。ここから、それぞれのパートについてレポートしていく。
「空想特撮シリーズ ウルトラマン」
はじめに、「夜空を見上げると、無数の星が輝いている。」という子供の声によるナレーションが流れ、空一面に無数の星が煌めき出す。
「人類がまだ知らない無限の宇宙。」「そこにはどんな世界が広がっているのだろう。」「いつかそこへ行けるだろうか。」男の子の声による「僕は空想する。」という言葉を受け、ロケットと流れ星が、女の子の声による「私は空想する。」という言葉を受け、ケーキとトランペットが現れる。そして、「尽きることのない好奇心と、明日への願いを胸に。」「ウルトラマン!」という言葉の後、無数の星の中から、スペシウム光線を放つウルトラマンが登場する。
続いて、テレビシリーズのオープニング(「ウルトラQ」の文字がゆっくりとマーブル状に溶け出し、「ウルトラマン」の文字が鮮烈に映し出される)の再現を経て、主題歌「ウルトラマンの歌」が流れ始める。歌に合わせて、カネゴン、バルタン星人、ピグモン、レッドキング、ブースカ、ケムール人、ゼットンが続々と登場。それぞれのキャラクターの特徴を的確に捉えた表現力が見事で、また、その巨大さ故に、これまでテレビの画面では味わったことのないような、思わず身震いしてしまうほどの圧倒的な存在感を感じられた。
歌が流れ終わり、1話の冒頭の再現として、青い球を追う赤い球が描かれる。ベムラーが地球に登場し、ここでお馴染みのウルトラマンの登場シーンへ。力強く拳を突き出したウルトラマンが、3段階のカットを通して迫ってくる時の迫力が凄まじかった。そして、勇壮なBGMを受け、超巨大なウルトラマンが仁王立ちで現れ、無数の花火が打ち上げられる。その巨大さは、そのままウルトラマン特有の神秘的な美しさに繋がっていて、神々しさすら放つ佇まいに思わず惚れ惚れしてしまった。
はじめは両手を腰に当てていたウルトラマンが、次第に腕をゆっくりと動かし始め、右手を高く掲げ、左手を肩につけるお馴染みのポーズを披露。その堂々たる勇姿を彩るように、花火の量がさらに増え、クライマックスならではの高揚感が生み出されていく。ここで、カラータイマーが鳴り、「シュワッチ!」という声と共にウルトラマンが空の彼方へと消えていく。
最後に、再びナレーションへ。「一人の空想が、誰かに届き、世界へ広がる。希望ある未来をつくる原動力となる。」「私たちは、空想の力を信じて、歩み続けます。」そして円谷プロダクションのロゴが現れ、七色に煌めき、最後は、スペシウム光線を放つウルトラマンと、巨大なQRコード(「円谷ステーション」に遷移)が現れ、本パートは大団円を迎えた。
「エヴァンゲリオン」
果てしない高揚感を煽るBGMが流れる中、「EVANGELION」という巨大な英字が現れ、燦々と輝き出す。そして、初号機(上半身)が登場し、音を立てながらゆっくりと回転していく。回転することで豊かな奥行きが感じられ、その立体感は、目の前に確かにエヴァが存在しているという感動へと繋がる。
次にアラートが猛々しく轟き、アニメ1話のタイトル「使徒、襲来」の文字が現れる。そして、超巨大な初号機(全身)が登場、白い光が幾度となく体中に走り、激しいエネルギーで満たされていることが伝わってくる。
ゆっくりと体勢を変えた後、一気に力強く駆け出し、豪快な足音が勢いよく轟く。そのパワフルさ、スピード感は圧巻で、目の前に存在する初号機の巨大さと相まって、アニメや映画で同シーンを観た時以上の深い臨場感が伝わってくる。
ここから、次々と使徒が登場していく。無機質的で、生物ならざる印象を与えるデザインの使徒と、ドローンによる表現の相性は特に抜群で、その不気味さや不穏さを含めて非常に高い再現度であった。そして、使徒が襲来した時のお決まりのBGM「DECISIVE BATTLE」が流れ、壮絶な緊張感の中、初号機が再び登場。
アニメ序盤の屈指のハイライトの一つである、ポジトロンライフルでの狙撃シーンが再現される。ここで、熾烈な戦いを表現する花火が一気に打ち上げられ、使徒のうめき声が響く。無事に殲滅したところで、「残酷な天使のテーゼ」が流れ、ここからクライマックスパートへ。曲に合わせて、NERVのロゴ、ゲンドウ、レイ、アスカ、カヲル、シンジが次々と登場していく。
曲のリズムやキメと、次々と放たれていく花火のタイミングが絶妙で、また、レイのアンニュイな表情や、シンジの深い決意を感じさせる表情など、繊細な表現を実現するドローンの高度な技術に改めて驚かされる。
ラストは、カシウスの槍を持つ初号機が再び登場し、アニメ版の次回予告で流れるBGMと共に本パートは幕を閉じた。
「鬼滅の刃」
壮絶な戦いの幕開けを予感させるBGMを受け、夜空に一つずつ文字が浮かび上がり、柱が振るう刀に刻まれている言葉「悪鬼滅殺」が現れる。続けて、超巨大なタイトルロゴが闇夜に映し出され、お互いに額を重ね合わせる炭治郎と禰豆子が登場。
「お兄ちゃんが絶対に助けてやるからな!」という炭治郎の切実な決意の言葉が響き、次に、宿敵・鬼舞辻無慘が現れる。炭治郎の「俺はお前を逃さない、どこへ行こうと絶対に!」という言葉の後、禰豆子による「血鬼術・爆血」のシーンへ。
そして、刀を大きく振りかざす炭治郎が、「俺と禰豆子の絆は、誰にも引き裂けない!」と叫び、一斉に無数の花火が打ち上がる。ドローンショーと花火の掛け合わせが今回の公演の肝であり、その掛け合わせによる妙は、先に述べた「ウルトラマン」「エヴァンゲリオン」のパートにおいても存分に発揮されていたが、和のテイストが色濃い作品である「鬼滅の刃」は、特に花火との親和性が高いように感じた。
もちろん、刀に滲む炎のメラメラ感まで微細に表現してみせるドローンの表現力も素晴らしい。次に煉獄が登場し、ここから多くの人々の心を震わせたあの名場面が再現されていく。「俺は、俺の責務を全うする!」「ここにいる者は誰も死なせない!」両足を大きく広げて構え、両手で握った刀に渾身の力を込めていく煉獄。
そして、「心を燃やせ、限界を超えろ、俺は炎柱、煉獄杏寿郎!」と叫び、奥義「玖ノ型・煉獄」を炸裂させる。激しく昂るBGM、彼の想いを熱く彩る花火。続けて、炭治郎との別れのシーン、天国の母との心のやり取りのシーンが描かれる。最後の煉獄の微笑みの表情が特に感動的で、その豊かで繊細な表現力に深く引き込まれ、思わずドローンによって表現されていることを忘れてしまいそうになるほどだった。
クライマックスパートでは、天元、善逸、伊之助、甘露寺、無一郎が続々と登場。そして、「竈門襧豆子のうた」が流れる中、太陽を克服した襧豆子が第一声として「おはよう」と言葉にする屈指の名シーンが描かれる。最後は、炭治郎と襧豆子の2ショットで、2人の手からハトが飛び立っていき、本パートは感動的な大団円を迎えた。
一夜限りの特別公演「Xmas花火×ドローンショー」
今回の公演は、「ウルトラマン」「エヴァンゲリオン」「鬼滅の刃」の3つのパートから構成されるものであったが、24日(日)のみ、クリスマスイブの特別公演として、クリスマスをテーマとしたショーが届けられた。
荘厳な鐘の音が響く中、凛とすみきった夜空にベルや雪の結晶が映し出され、そして、緑色の螺旋状の線から成る巨大なクリスマスツリーが現れる。次々と打ち上げられる花火が、まるでクリスマスツリーのオーナメントのように輝く演出がとても見事で、ドローンショーと花火を掛け合わせた今回の公演だからこそ堪能できる粋な演出だったように思う。
その後も、定番のクリスマスソングの数々「赤鼻のトナカイ」「ラストクリスマス」「Happy Xmas (War Is Over)」が鳴りわたる中、ソリに乗ったサンタクロースが登場、また、プレゼントの箱の中から、八景島シーパラダイスのシンボルであるイルカも登場し、最後は、盛大は花火の中で、「MERRY X'MAS 2023」という文字が映し出され、クリスマスイブの夜空を美しく彩ってみせた。
総じて、今回の公演は、最新のドローン技術による卓越した表現力を堪能できるショーであったと思う。また、日本が世界に誇る作品の数々との親和性も抜群で、今回の公演が、日本国内に広まっていくにとどまらず、世界でも広く支持されていく可能性を感じた。
新しい時代における全く新しい形のエンターテインメントショー、ぜひ多くの人に体感してほしい。
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