5月8日は、イギリスでビートルズ13作目にして最後のアルバム「レット・イット・ビー」が発売された日。

事実上の解散から約1ヵ月後の1970年5月8日にイギリスで発売され、全英チャート8週連続、全米チャー 4週連続1位を記録した。「アクロス・ザ・ユニバース」「レット・イット・ビー」「ザ・ロング・アンド・ワインディング・ロード」など、数々の名曲が収録されている。

2021年にはスペシャル・エディション盤が発売、更に1970年に公開された同名映画『レット・イット・ビー』の修復版の配信がスタートするなど、今もなお愛されるビートルズの大傑作だ。

『ジョン・レノン　失われた週末』の日本公開を前に、ビートルズのラストアルバム「レット・イット・ビー」の歴史と魅力を紐解いていこう。

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アルバムの背景に隠されたドラマ

「レット・イット・ビー」にまとめられた楽曲の数々は“ゲット・バック・セッション”と呼ばれ、1969年1月2日から16日までロンドンの映画撮影所、同月21日から31日まではサヴィル・ロウに構えていたビートルズの事務所、アップルに作られたプライベートスタジオで行われたレコーディングセッション、そして30日に事務所屋上で関係者のみで行われたラストライブ、通称“ルーフトップ・コンサート”で演奏された曲から構成されている。


“ゲット・バック・セッション”は、その名のとおり、「原点回帰」を意図したセッションだった。ビートルズの原点に戻るべく「ライブ活動」再開を目指したポール・マッカートニーが企画した。背景にはマネージャーであるブライアン・エプスタインの他界が関係していると言われている。彼亡きあとグループをまとめようとしたポールだが、スタジオで直接顔を合わせて演奏しなくても制作を進められることも多くなり、さらにオノ・ヨーコと出会ったジョン・レノンは、前衛アートや平和運動へと突き進んでいく。

ジョージ・ハリスンはインド音楽を学ぶ中で出会った新しい友人との交流を深め、リンゴ・スターも単独で映画に出演するなど、それぞれがソロでの活動に動き出していた。ライブ活動再開以前にグループとしての結びつきの強さを求め、かつてのようにスタジオに集まり、演奏してバンドの原点を取り戻そう（Get Back）と提案したのだが...。


アルバム制作が進む中、映画『レット・イット・ビー』の公開が 1970年5月に決まる。多忙を極めていたビートルズはジョンやジョージが信頼を寄せる“ウォール・オブ・サウンド”の名物音楽プロデューサーのフィル・スペクターにミキシングを依頼する。だが、独特のエコーサウンドやオーケストラ演奏を付けるなど過剰なアレンジにポールが激怒。様々な行き違いが重なっていった。

そして1970年4月にポールが脱退声明を発表、ビートルズの解散は裁判沙汰にまで発展していった。1970年5月8日のリリースから54年、「レット・イット・ビー」というアルバムの背景には隠された数多くのドラマがあった。

その3年後、オノ・ヨーコとの別離が生んだジョン・レノンが過ごした「失われた週末」には、一体何があったのか。


『ジョン・レノン　失われた週末』では、ジョン・レノンのプロデュースでリンゴ・スターがシングル曲をリリース、ポール・マッカートニーとのセッションなどのマル秘エピソードなど、貴重な証言と写真の数々を交えて語られていく。

ビートルズ解散後のジョン・レノンの素顔に迫るドキュメンタリー『ジョン・レノン　失われた週末』公開は5月10日（金）となっている。

『ジョン・レノン　失われた週末』作品情報

【予告編】


【クレジット】
監督：イヴ・ブランドスタイン、リチャード・カウフマン、スチュアート・サミュエルズ
出演：メイ・パン、ジョン・レノン、ジュリアン・レノン、ポール・マッカートニー、デヴィッド・ボウイ、エルトン・ジョン

2022 年/アメリカ/英語/94 分/カラー/1.85:1/5.1ch

原題：The Lost Weekend:A Love Story 字幕：松浦美奈 字幕監修：藤本国彦
配給：ミモザフィルムズ

公式サイト：https://mimosafilms.com/lostweekend/