「虎に翼」寅子、再生。男(直明)が大黒柱にならなくていい。<第45回>
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2024年4月1日より放送スタートしたNHK連続テレビ小説「虎に翼」。
日本史上で初めて法曹の世界に飛び込んだ女性をモデルにオリジナルストーリーで描く本作。困難な時代に生まれながらも仲間たちと切磋琢磨し、日本初の女性弁護士となる“とらこ”こと猪爪寅子を伊藤沙莉が演じる。
ライター・木俣冬がおくる「続・朝ドライフ」。今回は、第45回を紐解いていく。
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家族会議
焼き鳥が包まれていた新聞紙にあった日本国憲法を読んだ寅子(伊藤沙莉)。亡くなった優三(仲野太賀)が言っていた、「寅ちゃんのできることは、寅ちゃんの好きに生きることです」「寅ちゃんが後悔せず心から人生をやりきってくれること、それは僕の望みです」、がんばってもがんばらなくても自由でさえあればいい(大意)、それが可能な自由な国になったのです。
寅子が河原で泣いていたのは、男女平等の新憲法の誕生と、もういない優三のことを思ってのことでした。あの河原には、優三の幻が存在していたのですね。
泣いてすっきりした寅子は、家に戻って新聞に載った憲法を丹念に読みこみ、ノートにメモします。そして、家族を集め「家族会議」を行いました。
「家族会議をはじめます」と言い、第13条、14条を読む寅子は、すっかり昔のはきはきした有無を言わせぬ口調に戻っていました。
日本国憲法の公布の情報を、花江(森田望智)も直明(三山凌輝)もはる(石田ゆり子)も知らなかったようです。貧乏になって新聞とらなくなったのか。ラジオでもやってないのか。
当時の国民にとって日本国憲法公布は関心のないことだったのか。この場面を見ると、遠い話のように見えます。まあ、それは現代でもそんなものなのですが、すると第1話にもあり、この回でも使用されている貧しい人や女性や子供も新聞(おそらく憲法公布)を読んでいるカットと矛盾してない?とも思いましたが、公布前と公布後のテンションの違いかもしれません。
“すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。”
という第14条を聞いても、花江たちはぽかん。「自分とは関係ないと言いたいの?」と寅子は問います。現代の我々に向かって問われているような気もします。当時からこんな感じだったから、いまも国民は政治や社会に無関心なのかもしれません。
寅子はすっかり元気がみなぎり、直明に「この国は変わるの」と言い、みんなの思う「しあわせ」を確認。寅子の幸せは「私の力で稼ぐこと」もう一度法律の世界に飛び込んで人生をやりきりたいと考え、彼女の稼ぎで、直明を大学に行かせると宣言します。
「そんなもの(大黒柱)ならなくていい」という寅子。
男女は平等なので、男が全部背負わなくていいと。
「これからは家族みんなが柱になって、みんなで支えていけばいいのよね」(花江)。
鬼滅の刃か。
「無理に大人ぶる」「胸がざわざわする」いまっぽい言葉がいろいろ。
20歳はまだ子供なので大人ぶらなくていいと寅子は直明に言い、花江だって20歳の頃はおまんじゅう作りながら泣いていたとも言います。でも花江はすでに結婚していたし、十分大人だったと思うのですが(大人だって泣くし弱音を吐くこともあるだけですよね)。令和的価値観にぐいぐい寄せてきているのが気になります。これは現在選挙権を持つ年齢が下がったことを考えた場合、まだまだ守られるべき年代が大人にされているという指摘なのでしょうか。
「はて」が渦まく場面でしたが、またときは進んで昭和22年、春。
寅子は、司法省に「雇ってください」と訪ねていきます。
そして、タイトルバック。ここまで2ヶ月が壮大なアヴァンだったのです。もうちょい大音量でぐいっと入ってほしかった(個人的な感覚ですが)。
そこにいたのは、桂場(松山ケンイチ)。彼が食べていた芋は、竹もとの夫婦が売っていたものだったようです。
さあここからが本番。
(文:木俣冬)
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