続・朝ドライフ

SPECIAL

2024年08月16日

「虎に翼」寅子、轟(戸塚純貴)が男性とつきあっていることを知る<第100回>

「虎に翼」寅子、轟(戸塚純貴)が男性とつきあっていることを知る<第100回>


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2024年4月1日より放送スタートしたNHK連続テレビ小説「虎に翼」。

日本史上で初めて法曹の世界に飛び込んだ女性をモデルにオリジナルストーリーで描く本作。困難な時代に生まれながらも仲間たちと切磋琢磨し、日本初の女性弁護士となるヒロイン・寅子を伊藤沙莉が演じる。

ライター・木俣冬がおくる「続・朝ドライフ」。今回は、第100回を紐解いていく。

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第100回は一番の幸せを考える

「虎に翼」が100回に突入しました。
懸案の猪爪家の家族裁判は、とりあえず同居してみることでまとまります。ただ、それが絶対ではなく、その都度、それぞれの気持ちを率直に述べて、どうすることがいいか考えていく、「借家の更新みたいに」と寅子(伊藤沙莉)は提案します。

玲美(菊池和澄)はそもそも結婚にこだわっていなかったけれど、直明(三山凌輝)が優しいので結婚相手としては申し分ないと思っていて。でも、優しくて、なんでも言うことを聞いてくれる彼が唯一、自分の希望を述べたのが、家族との同居であったため、添いたいと考えたのです。
直明と玲美の相性は良さそう。

花江(森田望智)も直明にそれだけ思ってもらって幸せ義姉であります。ふつうだったら、彼女のような立場は邪魔にされがちですから。

ただ、ここで、ちょっと「はて?」と一視聴者的に思うのは、花江が同居に懐疑的なのは、自分が嫁として猪爪家に入ったとき、居づらい気持ちになり、一度は別居もしていたからでしょう。
結果的に再び、いつの間にか同居していて、義母であるはる(石田ゆり子)とも仲良くやって、最期は寅子と看取るまででした。

花江がしんどかった時期は確かにあって、玲美にはそんな思いを味わせたくないという利他の心がここでは優先されています。それはそれですばらしい。航一(岡田将生)は、玲美の気が強いから玲美がストレスになることはなく、ストレスになるとしたら花江のほうだと言って、笑い話になります。

でも花江のストレスが心配。息子の嫁ではなく、義弟の嫁という、やや距離のある、しかも口の減らない気の強い年下の人物との同居はストレスにならないのでしょうか。結局、直明の一方的な親切心を押し通しているような気が……。これって穂高(小林薫)の良かれと思っての言動を寅子が怒ったことと変わらなくないでしょうか。今回は、多数決から花江が納得する全会一致の形で決定したので、一方的ではないという理屈でしょうか。

寅子は多数決ではなく全会一致で結果を出し(最初に設定してなくてあとから全会一致に決めた)、花江が家族を全力で愛してきたから、みんなに大事にされるのだと称えます。
おそらく、邪魔者にされがちな高齢者が、そうならない可能性を描いているのだと思います。花江がなんだったらお嫁さんのように若々しく見え、いくらでも仕事もできそうな雰囲気もあるので、なぜ、”母”として家事をして、子供たちに面倒みてもらうという可能性しか提示されないのか気になってしまいました。あーもう、考えれば考えるほど、花江のパーマのようにくるくるこんがらがる! いやでも考えることが大事なドラマなのだと思います。

花江は「赤毛のアン」におけるダイアナのようです。名作「赤毛のアン」の主人公アンの腹心の友・ダイアナは、当初、アンが憧れるきれいで聡明で、服の袖の膨らみも申し分のない女の子でした。いつしか、アンが夢をどんどん叶え羽ばたいていき、ダイアナはちょっとなまっている田舎のおばちゃんにおさまって、それを自分でも卑下します。それでもアンにとってはどんなにお互いの環境が変わってもずっと「腹心の友」と特別視されるのですが、筆者は子供ごころに、ダイアナの扱いが納得できなかった。ただ、三つ子の魂百まで。どんなに環境が変わっても友情は変わらない、その麗しさは読み甲斐がありました。

「虎に翼」では、花江を演じる森田望智さんが強烈に個性的なので、家のなかにずっといても、時々、何かに不満を述べても、魅力的に輝いているので、花江のような生き方にも尊厳があると思わせます。

家族裁判は閉廷し、航一は猪爪家の人々の聞いてるところで、寅子にプロポーズします。道男(和田庵)が「寅子」と呼び捨てにしたのを聞いて嫉妬したというのです。99回でぴくりとしていたのは嫉妬の感情だったのです。
寅子は玲美と同じく、結婚に積極的ではありませんので、時間をくださいとその場で返事を保留にしました。

返事ができないまま日々が過ぎ、ある日、寅子が山田轟法律事務所に行くと、轟(戸塚純貴)が遠藤(和田正人)の肩にもたれて手をつないでうたた寝しているのを目撃します。遠藤はごまかそうとしますが、轟は寅子におつきあいしている人だとはっきり言います。
寅子はいつになく、真剣な顔でふたりを見つめます。

航一が猪爪家で「毎朝目が冷めたとき寅子さんが隣にいたら幸せだろうなと思いました」と言ってましたが、轟は目覚めたときに遠藤が隣にいる幸せを感じていたのでしょう(目が覚めたとき幸せを噛みしめる前に、目の前には寅子がいたわけですが)。その姿を見た寅子の考えに変化が起こるのか。101回以降も楽しみです。

気になる原爆裁判は準備手続きがまず行われ、クールな被告指定代理人の反町を演じているのは川島潤哉さんでした。「舞いあがれ!」のリュー北條です。川島さんは、4月期の他局のドラマ「Destiny」で元内閣総理大臣の秘書を演じていました。気難しい役が続きます。

(文:木俣冬)

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