「おむすび」時は遡り、平成6年の神戸へーー【第17回】
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2024年9月30日より放送スタートしたNHK連続テレビ小説「おむすび」。
平成“ど真ん中”の、2004年(平成16年)。ヒロイン・米田結(よねだ・ゆい)は、福岡・糸島で両親や祖父母と共に暮らしていた。「何事もない平和な日々こそ一番」と思って生きてきた結。しかし、地元で伝説と化した姉の存在や、謎のギャル軍団、甲子園を目指す野球青年など、個性的な面々にほん弄されていく。そんな仲間との濃密な時間の中、次第に結は気づいていく。「人生を思いきり楽しんでいいんだ」ということを――。
青春時代を謳歌した自然豊かな糸島、そして阪神・淡路大震災で被災するまでの幼少期を過ごした神戸。ふたつの土地での経験を通じて、食と栄養に関心を持った結は、あることをきっかけに“人のために役立つ喜び”に目覚める。そして目指したのは“栄養士”だった。
「人は食で作られる。食で未来を変えてゆく。」 はじめは、愛する家族や仲間という身近な存在のために。そして、仕事で巡りあった人たちのために。さらには、全国に住む私たちの幸せへと、その活動の範囲を広げていく。
ライター・木俣冬がおくる「続・朝ドライフ」。
今回は、第17回を紐解いていく。
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朝ドラぽくなった
「お姉ちゃんなんて大嫌い」歩(仲里依紗)と喧嘩した結(橋本環奈)は家を飛び出し、海辺で涙します。
そこから回想ーー。
9年前の神戸。「平成6年10月」とテロップが出ます。西暦だと1994年です。
結(幼少期:磯村メアリ)は5歳で「セーラームーン」が大好き。姉・歩(少女期:高松咲希)のセーラー服を着て、セーラームーンに変身しようとします。歩は16歳。
「お姉ちゃん大好き」
この頃の結はやさしいお姉ちゃんが大好きでした。
昨日、名前の出た真紀(大島美優)は歩の同級生で、結にもやさしく接してくれていました。
神戸での米田家は、糸島の米田家のムードとはだいぶ違います。ギスギスしてなくて、あったかく善意しかない家族という印象です。「てるてる家族」的な。
聖人(北村有起哉)が糸島から神戸に移住して17年。理容室を営み、家族もできて、街にも馴染んで、商店街にアーケードを設置する計画の責任者に推薦されます。
気の良い町内会の人たちに扮するのは、キムラ緑子さん、内場勝則さん、新納慎也さんと、これまで朝ドラに出演されてきた方々です。キムラさんは「ごちそうさん」のこわい小姑、内場さんは「わろてんか」の
寄席を愛する元席主、新納さんは「ブギウギ」の外国かぶれの演出家を演じました。
町内会の仕事って面倒くさいことを押し付けられているような気もしないではないですが、ここではそういうネガティブな話ではなく、この街の人たちはとてもいい人たちのようです。
まだまだよそ者と遠慮がちな聖人ですが、自分を受け入れてくれた街への「恩返しだ」と思って責任を引き受けようと決意します。
実はバブルが弾けて景気が悪く、反対の人もいました。うーんやっぱり面倒くさいことを押し付けられた? いや、信頼されているからこそ面倒なことも突破できると期待される。かように物事にはいいことと悪いことが隣り合わせであります。
真紀ちゃんのお父さん(緒形直人)は反対派で、親同士が対立すると子どもの仲にも影響が……。
ほのぼの明るいひだまりのような朝ドラファミリーに、少しばかり影が差してきます。
ちなみに、美佐江(キムラ緑子)が持っていた痩せる海藻石鹸。昔、流行って、香港旅行のお土産の定番でした。
と、ここまで海藻じゃなくて回想。
いったん、9年後の平成16年。2004年に戻ります。
海辺にハギャレンがやってきて、ハギャレンを解散すると結に伝えます。「こんなことに巻き込んでごめんね」とハギャレンのほうが結に気を使います。いや、結と歩の姉妹の問題に巻き込まれたのはハギャレンのほうでは……。彼女らなりに一生懸命だったのにちょっとかわいそう。
ただ、歩の平成16年時の年齢が24、5歳とわかったので、彼女はギャル卒業しても当然だなとはナットクしました。
途中でいったん過去に戻るのは「おかえりモネ」がそうでした。ちょうど同じころの第14回、幼少期、少女期の回想が入りました。
過去と現在が行き来するのは、朝ドラでも大河ドラマでもあまり好まれません。基本、オーソドックスなもの(時系列順に進むもの)を好む層が見ているからでしょう。でもたまに凝った構成に挑むことを止める権利は誰にもないのです。
(文:木俣冬)
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