「おむすび」バーボンロックを頼む愛子(麻生久美子)がかっこいい【第18回】
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2024年9月30日より放送スタートしたNHK連続テレビ小説「おむすび」。
平成“ど真ん中”の、2004年(平成16年)。ヒロイン・米田結(よねだ・ゆい)は、福岡・糸島で両親や祖父母と共に暮らしていた。「何事もない平和な日々こそ一番」と思って生きてきた結。しかし、地元で伝説と化した姉の存在や、謎のギャル軍団、甲子園を目指す野球青年など、個性的な面々にほん弄されていく。そんな仲間との濃密な時間の中、次第に結は気づいていく。「人生を思いきり楽しんでいいんだ」ということを――。
青春時代を謳歌した自然豊かな糸島、そして阪神・淡路大震災で被災するまでの幼少期を過ごした神戸。ふたつの土地での経験を通じて、食と栄養に関心を持った結は、あることをきっかけに“人のために役立つ喜び”に目覚める。そして目指したのは“栄養士”だった。
「人は食で作られる。食で未来を変えてゆく。」 はじめは、愛する家族や仲間という身近な存在のために。そして、仕事で巡りあった人たちのために。さらには、全国に住む私たちの幸せへと、その活動の範囲を広げていく。
ライター・木俣冬がおくる「続・朝ドライフ」。
今回は、第18回を紐解いていく。
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1995年になった
今回も9年前・1995年1月の海藻、いや回想と2004年を行き来する構成です。まず2004年、結(橋本環奈)と喧嘩した歩(仲里依紗)が天神の街をぶらついていると、昔因縁のあった 天神乙女会の明日香(寺本莉緒)という人物が声をかけてきて、勝負を挑みます。
その勝負はラーメン大食い競争。ズコー。ここずっこけるところでしょう。
明日香は歩が東京でギャル雑誌のモデルもやっていたと説明セリフを語ると、歩は昔から自分は「ギャルじゃなかった」と謎の言葉を吐きます。
その謎は明かされないまま、明日香は帰ってしまい、昔なじみのラーメンも出してくれるカフェバーのようなところ(HEAVEN GOD)で歩がひとり飲んでいると、愛子(麻生久美子)がやって来て……。
展開の見本のような脚本です。
愛子は、警察に来たり、お店に来たり、と何かと勘の鋭い人です。さすが元スケバン(ヤンキー)。「野生の勘」と言ったのは、おじいちゃん(松平健)が「野生の勘」で歩はまだ福岡にいるに違いないと予想したから。
おじいちゃんの野生の勘と愛子のヤンキーの勘が掛け合わさって、歩を見つけることができました。
バーボンロックとさらりと言う愛子、かっこいい。
探しに来たのはあのときの歩と同じと、愛子は9年前を回想します。
そのとき(1月13日)は結が行方不明になって、歩があちこち探して、神社にいるのを見つけました。
なんで結がいなくなったのかというと、アーケード設置の件でみんなが揉めて結が悲しくなってしまったのです。
あのときの何が同じかというと、勘というよりは、いつも大事な人のことをちゃんと見てきたから、何かのときに行きそうな場所に気づけるということでしょう。2004年の愛子もさらりと見えて実はあちこち一生懸命探し回ったということかもしれません。
ひとしきり昔のことを思い出して、家に帰ろうと促す愛子。糸島に来てから本音をいっさい言わなかった結の本音がついに出たのはむしろいいことだと愛子は考えていました。
その頃、結がひとり部屋にこもっていると、「おいしいもの食べたら悲しいこと忘れられるよ」とおばあちゃん(宮崎美子)がおにぎりを握ってきてくれます。
「おいしいもの食べたら悲しいこと忘れられるよ」は第1話から何度も結が言っていた言葉。じつはおばあちゃん仕込みなのかもしれません。
おいしいものを食べたあと、結は、ハギャレンを続けてもらう決意をします。結のなかで強い意思がむくむくと育ちはじめています。
結にハギャレンのかっこいい踊り楽しみにしていたと言う、あったかいムードを醸しているおばあちゃん・米田佳代役の宮崎美子さんのオフィシャルコメントです。
写真提供:NHK
Q1出演が決まったときの気持ちは?
あぁ、いよいよおばあちゃん役が来たのかと。「おばあちゃんです」と言うのも、だいぶ慣れてきました(笑)。
佳代さんは、私の実年齢より少し上の設定なので、話し方も意識しています。今は、70代もまだ若いイメージじゃないですか。北村有起哉さんが息子なので私の実年齢よりも少し老けて見えた方がバランスが良いかな、でもまだ先もあるので、あまりに老けてしまうのもな…とか、今も手探りですね。あと、ちょっとだけ背が縮んでいる感じも意識しています。
子どもって、おじいちゃんやおばあちゃんのこと好きですよね。慕ってくれるところがあるから嬉しいなと思っています。
Q2演じる役・米田佳代について
佳代さんは後ろで見守るポジションだと思います。うちは、なんといっても、おじいちゃん(松平健さん)があぁですから。威厳があるというか、わがまま気ままにやりたいことをドーッとやっていく人なので、手綱を引っ張ってコントロールしつつ、息子夫婦を見守っています。
ときどき愛子さんが実の娘なんじゃないかと思ってしまうくらい、愛子さんとの距離が近いですよね。仲の良い姑とお嫁さんで、すごく良い関係だなと思います。愛子さんも肝が据わっていて、佳代さんと似ているところもあるので、頼りにしているんだろうと思います。優しいと言えばいいんですけど少し気が弱くてクヨクヨしがちな息子を、うまく愛子さんが引っ張ってくれているんですよね。
佳代さんは糸島でずっと生きてきて、農業に携わってきて、“生きもの”を育てている。農作物も、生きものなんです。佳代さんは、自然の恵みをいただき、生きものを育てて、その育てた美味しいものを提供することで、みんなを育てている“育む人”だと思います。どっしりと根を張っている人ですが、その力強さを表に押し出すんじゃなく、じんわり頼りがいがある人みたいになれたらいいなと思っています。
Q3ドラマに登場する“食”について
やっぱり「おむすび」がキーになるんですよね。大事なところでたびたび登場するので、終わるまでにおむすびを何個握るのかなと思っています。きっとすごい数になるんじゃないでしょうか(笑)。昔はドラマの中でも素手でおむすびを握って食べるシーンがよくありましたが、今はすっかり無くなってしまいました。私自身もおむすびを握るとしたら、やっぱりラップを使ってやります。だから、久しぶりに素手でおむすびを握るシーンは嬉しかったです。
糸島野菜や料理が登場するシーンでは、実際に糸島から食材を運んでいただいています。市場に出せないような形が曲がったお野菜なども選んで持ってきてくださるんですけど、それが本当に美味しいんです。おいしい食材を料理を監修している広里さんが、さらにおいしいお料理にしてくれるので、食卓のシーンはすごく幸せです。
糸島ロケでは農家の方にご指導いただいたのですが、帰るときにキャベツの苗を3つ持たせてくれたんです。2年前から私も自分で菜園を借りているので、そこにいただいた苗を植えておいたら、立派なキャベツが出来ました。それを現場に持っていき、お料理して使っていただいたものが、ドラマにも出ております。みんなに「甘くて、シャキシャキして美味しい」と言っていただいて、生産者としては食べてくれる消費者が「美味しい」と言ってくださるのが、一番嬉しいんだなと実感しました。
Q4視聴者へのメッセージと見どころ
『おむすび』で描かれているのは、身近な等身大のお話です。日常の中にある現実と戦うというか、乗り越えるというか。その中で、家族だから言えること・言えないことを抱えながら、少しずつ進んでいくような家族の普通を、明るく丁寧に描いていくドラマだと思っています。
おむすびは、ぬくもりの伝わる、あったかい食べ物だと思います。いざという時に、一番頼りになる食べ物のイメ―ジなので、このドラマがそんなふうになれたらいいなと思っています。どなたにとってもどこか懐かしく、あったかく、元気になるドラマです。
(文:木俣冬)
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