「おむすび」結(橋本環奈)、倒れる【第28回】


「木俣冬の続・朝ドライフ」連載一覧はこちら

2024年9月30日より放送スタートしたNHK連続テレビ小説「おむすび」。

平成“ど真ん中”の、2004年(平成16年)。ヒロイン・米田結(よねだ・ゆい)は、福岡・糸島で両親や祖父母と共に暮らしていた。「何事もない平和な日々こそ一番」と思って生きてきた結。しかし、地元で伝説と化した姉の存在や、謎のギャル軍団、甲子園を目指す野球青年など、個性的な面々にほん弄されていく。そんな仲間との濃密な時間の中、次第に結は気づいていく。「人生を思いきり楽しんでいいんだ」ということを――。
青春時代を謳歌した自然豊かな糸島、そして阪神・淡路大震災で被災するまでの幼少期を過ごした神戸。ふたつの土地での経験を通じて、食と栄養に関心を持った結は、あることをきっかけに“人のために役立つ喜び”に目覚める。そして目指したのは“栄養士”だった。
「人は食で作られる。食で未来を変えてゆく。」 はじめは、愛する家族や仲間という身近な存在のために。そして、仕事で巡りあった人たちのために。さらには、全国に住む私たちの幸せへと、その活動の範囲を広げていく。

ライター・木俣冬がおくる「続・朝ドライフ」。
今回は、第28回を紐解いていく。

[※本記事は広告リンクを含みます。]

▶︎「おむすび」画像を全て見る

「おむすび」をU-NEXTで視聴する

「このくだり、久々」

家族すき焼き会議のあと、いったん、静かになった米田家ですが、皆、それぞれなにかわだかまりみたいなものを抱えながら過ごしています。

結(橋本環奈)はギャルと書道をやめ、粛々と農業の手伝いをしています。書道に関しては、今一度、風見(松本怜生)に休部ということにしてまた戻って来るといいとやさしく言われますが、そういう気持ちにはなりません。
書道部に関しては、もともと書道に興味がないのに、すてきな風見に惹かれて勝手に盛り上がってしまった自分が恥ずかしいのだと思います。

ギャルに関しては、あれ以来、口をきいていなかったりさぽん(田村芽実)が下駄箱に忍者のように現れて結を驚かせ、「このくだり、久々」と喜びながら、結に手帳を渡します。
それを浜辺で開くと、なかは、この数ヶ月の楽しかった日々が写真やプリクラや絵で記録されていました。
ギャルはデコるのが得意なので、紙の上でも見事にデコっています。
「うちら一生マブダチ」の文字に心打たれる結。
アルバムってどうしてこんなにエモいのでしょうか。
ハギャレンの子たちは、純粋にやさしくていい子たちで、ただニコニコしている姿に心洗われるようです。

そこへまた、四ツ木(佐野勇斗)が現れます。
そして、甲子園に行く宣言。
結がどうせ何を頑張っても消えてしまうからと諦めムードなことに対して「俺が一生懸命やることの意味を証明してやっから」という理由です。
結は「熱血スポーツ漫画かよ」とうざがります。

「俺は消えねえ」というのは、古いドラマですが、亡くなった恋人のことが忘れられない主人公(浅野温子)に「僕は死にましぇん」と言って、走る車の前に飛び出した武田鉄矢さんを思い出しました。「101回目のプロポーズ」は1991年のドラマです。「おむすび」は2004年の設定なので、四ツ木も子どものときに見ていたのかもしれません。いや、まだ幼児のはずだから記憶にないでしょう。再放送? ってそんな想像は無意味ですね。
「おむすび」の視聴層がどのあたりなのか。トレンディドラマ世代なのか、もっと若い世代なのか、気になります。

結がさみしい顔をしていると四ツ木が言うのは「キャンディ・キャンディ」の丘の上の王子様的です。この漫画は長く読みつがれていますが、やっぱり古い作品です。この漫画は「あさが来た」のときに意識したと言われていて、朝ドラ制作において無関係なものではないのです。
ついでに記すと、甲子園は「タッチ」かなと。これも古い漫画ですが古典的名作です。ドラよりも漫画のほうが息が長くあとの世代にも読み継がれていきます。

四ツ木の熱い思いを聞いた結ですが、その直後にバタリと倒れてしまいました。

高校時代から行きつけのバーで働き始めた歩(仲里依紗)のもとに家から電話がかかってきて、歩はまた猛スピードで家に帰ります。
歩がカウンターのなかで働いている姿がやけに様になっていました。

結が倒れた理由は過労。農業を頑張りすぎたようです。やっぱり書道やギャル活動を掛け持つよりも農業という労働はいかに大変であるかがわかります。

眠っている結は、子どもの頃の夢を見ていました。
ものすごく心配する歩。いまはお互い、意地を張っていますが、姉妹がほんとうはとても大事に思っていることがわかります。早く仲直りできるといいですね。
米田家は基本、みんな意地っ張りで素直になれない人たちです。誰に似たのか。おじいちゃん(松平健)か。そういえば、先祖の遺影はみんな松平健さんです。


(文:木俣冬)

“朝ドラあるある”満載!「朝ドラ辞典」を見る


木俣冬著「ネットと朝ドラ」、現在好評発売中

「おむすび」をU-NEXTで視聴する

無料メールマガジン会員に登録すると、
続きをお読みいただけます。

無料のメールマガジン会員に登録すると、
すべての記事が制限なく閲覧でき、記事の保存機能などがご利用いただけます。

(C)NHK

RANKING

SPONSORD

PICK UP!