「おむすび」ヨン様っておバカ様なん? 四ツ木翔太の素朴さ 【32回】
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2024年9月30日より放送スタートしたNHK連続テレビ小説「おむすび」。
平成“ど真ん中”の、2004年(平成16年)。ヒロイン・米田結(よねだ・ゆい)は、福岡・糸島で両親や祖父母と共に暮らしていた。「何事もない平和な日々こそ一番」と思って生きてきた結。しかし、地元で伝説と化した姉の存在や、謎のギャル軍団、甲子園を目指す野球青年など、個性的な面々にほん弄されていく。そんな仲間との濃密な時間の中、次第に結は気づいていく。「人生を思いきり楽しんでいいんだ」ということを――。
青春時代を謳歌した自然豊かな糸島、そして阪神・淡路大震災で被災するまでの幼少期を過ごした神戸。ふたつの土地での経験を通じて、食と栄養に関心を持った結は、あることをきっかけに“人のために役立つ喜び”に目覚める。そして目指したのは“栄養士”だった。
「人は食で作られる。食で未来を変えてゆく。」 はじめは、愛する家族や仲間という身近な存在のために。そして、仕事で巡りあった人たちのために。さらには、全国に住む私たちの幸せへと、その活動の範囲を広げていく。
ライター・木俣冬がおくる「続・朝ドライフ」。
今回は、第32回を紐解いていく。
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やばいやばい
「俺が甲子園に行ったら米田結が好きだって告白する」
(四ツ木翔也)
お弁当は禁止されましたが、結(橋本環奈)と四ツ木(佐野勇斗)の距離がぐんぐん縮まっていきます。
夜、改めて謝りに来た四ツ木。
結が経験した地震の話を聞いたあと、彼なりにいろいろ調べて。調べれば調べるほど結や家族がどれだけつらかったか想像したと。それで、「いつか消えてしまう」から「一生懸命やっても意味ない」とやさぐれていた理由がわかったと、凛々しく語ります。
だからお弁当を要らないとは言えなかった誠実な四ツ木に、結は「やばいやばいやばい」と結は自分の恋ごころが止まらなくなっていることに焦りはじめました。
自分の心に蓋をしないことにしてギャルファッションになったのに、なぜか恋を認めようとしない結。
とうとうハギャレンにけしかけられて告白したときの、四ツ木の返事がこれ↑でした。
振られた……とがっかりする結にハギャレンたちは、でもそれって好きと言ってるではないかと指摘します。確かに。好きだけど交際はお預けということです。
「ヨン様っておバカ様なん?」というスズリン(岡本夏美)のセリフが端的。
四ツ木は見た目はかっこいいし、野球もうまいけれど、素朴すぎる人であります。
なんとなく「あまちゃん」の大吉(杉本哲太)と少しかぶって見えてきます。
今日は、四ツ木翔太役の佐野勇斗さんのコメントをご紹介します。
写真提供:NHK
Q1 出演が決まったときの気持ちは?
インタビューを受ける際に「将来の夢は何ですか」とよく聞かれるので、グループとしての夢はドームツアー、僕個人としての夢は朝ドラに出たいとずっと答えていました。祖父母がずっと朝ドラを見ていて、僕も遊びに行った時に一緒に見たりしていました。その時に「これに出て欲しいな」と言われていたのをずっと覚えていたので、祖父母孝行できたらと。仕事を通して家族や身近な人を喜ばせたいという気持ちが大きいですね。なので今回出演が決まって、家族もとても喜んでくれました
Q2 演じる役・四ツ木翔也について
翔也は本当に純真でド直球の愛すべきキャラクターで、応援したくなります。翔也と僕は共通点が多いんです。
翔也はノートに目標を書いて、その実現に向かって努力していますが、僕も日記に夢や目標を書くことを何年も続けています。「朝ドラに出たい」という目標も日記に書いていました。ほかにも、ウソをつけなくて周りに「アホやん」なんて言われたり、涙もろかったりするところも自分と似ているなと思います。純粋すぎてちょっと抜けているのが翔也の可愛いところなので、力まずに自然体で演じることを意識しています。
栃木ことばについては、最初は難しいだろうと思っていたんです。ところがやってみたら、すごく得意で!先生にも「栃木出身だと思うくらい話せている」と言ってもらいました。さすがに、とっさに栃木ことばでアドリブを言うのは難しいですが(笑)。
野球の練習もたくさんしました。小学校の時にソフトボール部に入っていて、父親も野球が好きで、ドームにもよく観戦に行っていました。なので、お話しをいただいた時は、正直できると思っていたんです。ところがソフトボールは下手投げなので、いざ上から投球する練習をはじめたら、結構難しくて。翔也は140キロを投げるピッチャーなので、できるだけ速い球を投げるために、たくさん練習をしました。先生に教えてもらうだけでなく、他の仕事の合間にキャッチボールをしたりして、最終的に 120 キロ近くまで投げられるようになっています。
Q3 結と翔也の関係性について
翔也にとって結は、ずっと「なんだか気になるし、気付けば考えてしまう存在」でした。結と翔也は何度も出くわしますし、その度に翔也は結のことをとても気にしているんですが、翔也はかなり初心(うぶ)なのでそれが恋だとは気づいていないんです。最終的に翔也がしっかり恋に落ちたのは、結が手をけがしながらも毎日弁当を作ってくれた時だと思います。
結は“与える人間”なんです。はじめて二人が出会ったシーンも、結は泣いている子どものために帽子を拾おうと海に飛び込んでいます。人のために行動することができる。僕自身も、エンターテイナーとして誰かに感動やエネルギーを与える人間になりたいと思っているので、 結のそういうところが素敵だと思います。結はそれを呪いだと言いますが、翔也は“米田家の呪い”にほれたんだと思います。
結を演じる橋本さんとの共演は2回目です。本人も気付いていないかもしれませんが、“環奈”から“結”に切り替わる瞬間があって、その時にこちらもスイッチを入れてもらえるというか、引っ張ってもらえる感覚があります。
ヒロインだから連日撮影する量も多いのですが、セリフもしっかり準備しているし、周りに気遣いもして現場の空気を作ってくれます。本人からしたら当たり前のことなのかもしれませんが、裏でしっかり努力をしているところを尊敬しています。
Q4 視聴者へのメッセージと見どころ
僕自身が人間関係などを大事にしたいと思っているので、“結”の名前のとおり“つながり”を大切にする物語なのが素敵だと思っています。物語が分かりやすく、元気で明るい登場人物が多いので、朝から楽しんでいただけると思います。
今週放送される、翔也が夢について話すあるセリフがとても良いんです。演じている僕自身も翔也に励まされました。翔也の夢に向かってまっすぐな姿を見て、「自分も頑張ろう」と思っていただけたら嬉しいです。
青春、恋、の回だった第32回。
陽太(菅生新樹)と恵美(中村守里)の関係がなにげに甘酸っぱくて注目しています。
結が好きな陽太をたぶん恵美は好きなんだろうなあと思うのですが、陽太は気づいていない。でもいつも恵美は陽太の横にいます。堤防に座っているふたりが清涼飲料水のCMのようでした。
(文:木俣冬)
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