「おむすび」結(橋本環奈)一瞬で高3になる 【33回】


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2024年9月30日より放送スタートしたNHK連続テレビ小説「おむすび」。

平成“ど真ん中”の、2004年(平成16年)。ヒロイン・米田結(よねだ・ゆい)は、福岡・糸島で両親や祖父母と共に暮らしていた。「何事もない平和な日々こそ一番」と思って生きてきた結。しかし、地元で伝説と化した姉の存在や、謎のギャル軍団、甲子園を目指す野球青年など、個性的な面々にほん弄されていく。そんな仲間との濃密な時間の中、次第に結は気づいていく。「人生を思いきり楽しんでいいんだ」ということを――。
青春時代を謳歌した自然豊かな糸島、そして阪神・淡路大震災で被災するまでの幼少期を過ごした神戸。ふたつの土地での経験を通じて、食と栄養に関心を持った結は、あることをきっかけに“人のために役立つ喜び”に目覚める。そして目指したのは“栄養士”だった。
「人は食で作られる。食で未来を変えてゆく。」 はじめは、愛する家族や仲間という身近な存在のために。そして、仕事で巡りあった人たちのために。さらには、全国に住む私たちの幸せへと、その活動の範囲を広げていく。

ライター・木俣冬がおくる「続・朝ドライフ」。
今回は、第33回を紐解いていく。

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四ツ木は甲子園にまだ

アヴァンで、「うち四ツ木くんのことが」と結(橋本環奈)が言いかけたら「ごめんなさい交際できません」と四ツ木(佐野勇斗)が断っていたのを見て、結に気持ちはすぐ気づく聡さはあるのだなあと思いました。頭のなかは結が好きで、きっと結も自分が好きと思い込んでつきあう気満々ながら、甲子園に行くまでは忍耐を自分に強いている真面目キャラなのでしょう。いちいち先走るタイプかもしれません。

こうして結と四ツ木はメル友になりました。結はメールでせっせとスタミナのつく情報を送ります。
栄養に関心を持ち始めた結は、おじいちゃん(松平健)の食事にも口を挟み始めます。

それからあっという間に2年が経過。えええ。
「一瞬で高3になった気がする」と結のセリフはそのとおり。

平成18年(2006年)、結も四ツ木も高校3年生になり、結局、甲子園にはまだ行けず、最後の夏を迎えます。
甲子園に行ったら好きだと告白すると言っていたのに、告白できないまま……。

ハギャレンは、結とリサポン(田村芽実)以外は社会人になっています。ハギャレンの数はすっかり増えてルーリー(みりちゃむ)たちはOGとなっています。ファッションがすこし大人ぽくなりました。

リサポンは進学してギャル研究を極めたいと考えていますが、結は進路を考えていませんでした。
せっせと料理の勉強をしているけれど、それを進路にとはまだ結びつかないようです。そういえば書道はやめたのでしょうか。

愛子(麻生久美子)は思いついたことをなんでもやってみればいいとアドバイス。自分が結の年齢のとき、歩がお腹にいたので、母になる選択しかなかったことを明かします。愛子がやけに若く見えるのは、十代でお母さんになったからだということがわかりました。聖人(北村有起哉)とはどういう交際だったのか……。

聖人も娘にはうるさいことばかり言うけれど、若いときは自由にやっていたようです。聖人のキャラ造形がへんにリアルで、理想的ないい人でもないし、かといって理想的な悪い人でもない、どっちつかずなところがそれこそものすごく庶民的で、北村有起哉さんだから演じられているのだと思います。

一方、愛子のキャラもこれまでの朝ドラにはいない感じの人です。なにしろ元スケバンです。
テレビドラマとは、例えば、下町の定食屋にいる人達が見るものを想定して作ると言われていたと聞いたことがあります。これは民放のプロデューサーの話です。朝ドラは始まった頃は一億中流家庭とされていた時代の専業主婦でした。

「おむすび」の場合、町のファミレスや、駅前の庶民的なカフェ的な視聴者設定なんじゃないかと思います。以前筆者が大阪の中心からちょっと電車に乗ったところの駅前のドーナッツ屋さんで時間をつぶしていたとき、若い女性が活発におしゃべりしている会話を聞く気はなくとも耳に入り、カルチャーショックを受けたことがあります。そのとき下町の定食屋という設定に合点がいったのです。

歩と結を育て、聖人を支え、神戸で被災したあとも家族と共に糸島で生活してきた愛子は、最近、得意な絵を生かしてブログを始めました。パソコンが普及し、ネットが進化すると、家にいながら余暇に特技を活かせるようになっていきます。SNSで火が点いて、絵でも文でも人気作家になった、それまでは一般人だった人たちもいまではたくさんいます。愛子のブログもいつかブレイクするかも。リサポンと合作するといいかもしれません。


(文:木俣冬)

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