「おむすび」結、黒髪に戻し面接に挑むが……【52回】
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2024年9月30日より放送スタートしたNHK連続テレビ小説「おむすび」。
平成“ど真ん中”の、2004年(平成16年)。ヒロイン・米田結(よねだ・ゆい)は、福岡・糸島で両親や祖父母と共に暮らしていた。「何事もない平和な日々こそ一番」と思って生きてきた結。しかし、地元で伝説と化した姉の存在や、謎のギャル軍団、甲子園を目指す野球青年など、個性的な面々にほん弄されていく。そんな仲間との濃密な時間の中、次第に結は気づいていく。「人生を思いきり楽しんでいいんだ」ということを――。
青春時代を謳歌した自然豊かな糸島、そして阪神・淡路大震災で被災するまでの幼少期を過ごした神戸。ふたつの土地での経験を通じて、食と栄養に関心を持った結は、あることをきっかけに“人のために役立つ喜び”に目覚める。そして目指したのは“栄養士”だった。
「人は食で作られる。食で未来を変えてゆく。」 はじめは、愛する家族や仲間という身近な存在のために。そして、仕事で巡りあった人たちのために。さらには、全国に住む私たちの幸せへと、その活動の範囲を広げていく。
ライター・木俣冬がおくる「続・朝ドライフ」。
今回は、第52回を紐解いていく。
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四ツ木がプロポーズ
就職活動のシーズン。J班はそれぞれ進路を考えます。佳純(平祐奈)に結(橋本環奈)は就職しなくても彼(四ツ木)と結婚すればいいのではと問われます。結は彼を支えるために栄養士を目指したのですから、確かに永久就職という方法もアリのはず。
ですが、結は学校での様々な出会いによってもっと経験を積まなくてはと考えるようになっていました。
向学心が芽生えたようです。
黒髪に戻して就職活動開始しますが、前途多難。見た目は黒髪、リクルートスーツで真面目になっても、内面は急に変われません。
大事な面接で、ふだんの口調が出てしまい、ちゃんとした発言ができません。
「うち」と言ってはいけないと聖人(北村有起哉)に注意されたにもかかわらず、言ってしまうというベタすぎる間違い。面接の結のうまくできなさは、ベタすぎる展開でした。
ほかの志望者たちは、管理栄養士の資格があったり、空手をやっていたり、自己アピールに優れているのに、結はパラパラを踊って面接官をドン引きさせてしまいます。
勝ち目なしと、家に戻って落ち込んでいると、野球好きの若林(新納慎也)が新聞に四ツ木(佐野勇斗)が載っていると大騒ぎ。
四ツ木は魔球ヨン・シームによって変化球投手に切り替えて、活躍していました。結が直球にこだわらなくていいのでは、とアドバイスしたおかげですね。落ちるボールって、豪速球投げるパワーがないから途中で力つきて落ちるの?と筆者はいつも思うのですが、すみません野球をわかってなくて。
四ツ木の好調と裏腹に、結はまったく内定がとれません。佳純と沙智(山本舞香)は内定がとれます。沙智はスポーツに力を入れている大企業・まんぷく食品から内々定をもらえました。
朝ドラ辞典 「まんぷく食品」まんぷく・しょくひん「まんぷく」(2018年度後期)の朝ドラで、主人公・福子(安藤サクラ)の夫・萬平(長谷川博己)が作った会社。モデルは日清食品。「おむすび」で沙智が内定をとった。
結は一向に内定がとれないまま日々が過ぎていきます。わりと難関な会社を狙っているからというのも
あるようですが、面接のできなさを見ていると難関だからということではないような……。でも面接って
うまくできないものですよね。企業が求める理想的な言動をするのが最適解であって、自分らしさを封印するのがいわゆる就職試験ですから、ギャル精神とは相性がよくないのだと思います。
面接のときの、結の様々な表情の変化が、じつに鮮やかでした。橋本環奈さんは瞬間の顔芸に優れています。たぶん、福田雄一さん作品で磨き上げてきたのでしょう。
ところで、時代的には、2008年になっているかと思うのですが、リーマンショックの影響はないのでしょうか。「舞いあがれ!」では主人公がリーマン・ショックに翻弄されていた頃です。
経済的な題材までやっていると、話しが進まないので、さておいているのかもしれません。
就職試験の合間、四ツ木の会社・星河電器が準優勝し、太極軒でお祝いの食事をしているとき、唐突に四ツ木が「結婚」を口にします。このときの結のいぶかしげな表情も見事でした。
こうなったらこのまま永久就職でもいいのでは……。
(文:木俣冬)
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